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第13話:宇宙の果て
Bパート(4)
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『それで、ステーションとの通信はできないのか?』
『今のところ返信は返ってこない。沈黙したままだ』
『という事は、AIがダウンしているのか? それだとステーションからの誘導は期待できないな』
『そうだな』
『とにかく、後十分ほどでステーションに着く。スペースボートは気密室なんて物はないから、適当な場所に機体を固定して、近くのハッチから中に入ることになる』
シャトルや地球~火星の定期便の宇宙船はドーナッツの輪の中に停泊し、エアロックにステーションの接続チューブを接続するのだが、スペースボートはそんな事はできない。
ケイイチはスペースボートのスラスターを操作して、シャトルの外壁に近づいていく。
『ふぁぁ、大きなドーナツだよね~。それにゆっくり動いているよ』
アイラがキャノピー越しにステーションを見て、そんな感想を漏らした。ステーションは疑似重力を発生させるため、ゆっくりと回転している。ステーションからの誘導無しにスペースボートを接舷するのは至難の業である。
『ぶつけるなよ~』
『そんなへまするか』
真剣な顔で操作するケイイチをディビットが茶化すが、彼は無駄の無い動きでステーションとスペースボートの動きを同期させていった。
ステーションの動きと同期が完了すると、スペースボートから電磁石付きのロープが射出される。外壁にロープがくっつくと、ロープが巻き上げられてスペースボートはステーションに無事接舷した。
『ステーションに着いたぞ』
『お疲れさん』
ケイイチとディビットはハイタッチをして、無事ステーションに辿り着いたことを喜んだ。
『あのハッチから中に入れそうだな』
『ロックされてなきゃ良いんだが。AIと通信できないから、実際に操作しないと分からないな』
『まず、俺とディビットでハッチから進入できるか試みよう。アイラちゃんはしばらくここで待っててくれ』
『迂闊にシートから離れたら宇宙の迷子になるぞ。大人しくしてろよ』
『分かった』
ディビットとケイイチは宇宙遊泳の経験があるが、アイラは当然そんな事をしたことはない。そこでまず二人がハッチまでワイヤーを張って移動し、そこから進入できそうならアイラを迎えに行くという方法をとることになった。
キャノピーを開け、ケイイチがワイヤーガンをハッチに向けて撃つと、狙い違わずワイヤーはハッチの側にくっついた。ディビットは端末を背負いケイイチにしがみつくと、ワイヤーガンがワイヤーを巻き上げ、二人はハッチに向かって飛んで行く。
『野郎に抱きつくのは嫌だな~』
『俺だってお前に抱きつかれたくはない』
そんな事を言っている間に二人はハッチに辿り着いた。
ディビットがハッチを調べると、ハッチはメンテナンス用の物であり当然のごとくロックされていた。
『解除コードは…っと、開いた?』
ディビットがハッチのパネルに解除コードを打ち込むと、ロックはすんなりと解除された。
『セキュリティは更新されてないのか?』
ケイイチはそっとハッチを開き中を覗くが、エアロックの中は非常灯が点いているが稼働状態に見えた。
『そうみたいだな。何となく罠っぽいが…内部に踏み込まないとAIにアクセスできないからな~』
ディビットはお手上げという感じで両手を広げて首を振る。
『まあ、アイラちゃんをこっちに呼びますか』
そう言ってケイイチがスペースボートむかってワイヤーガンを向けたとき、
『まずい、レーザー砲が。アイラ、逃げるんだ!』
ディビットがステーションの外壁に設置されたレーザー砲が、スペースボートを照準している事に気付いた。
レーザーはその射線に何も干渉する物が無ければ目に見えない。スペースボートはレーザーにより外装の耐熱タイルが赤熱化した。そして、数秒で耐熱タイルが限界を超え穴が穿たれると、搭載していた推進剤が気化、熱膨張して爆発してしまった。
『アイラ…ちゃん』
爆発したスペースボートを見て、ケイイチはそう呟く。
『くそっ、ハッチを開けると侵入者を排除するようにトラップが仕掛けてあったのか。今度は俺達が狙われているぞ。早くエアロックに入るんだ!』
ディビットは呆然としているケイイチの背中をどやしつけるが、二人とも無重力空間では機敏に動けない。
『まずい、チャージが終わるぞ』
『おい、ハッチが閉まらないぞ』
二人はエアロックに何とか入ったのだが、外のハッチが閉まらない。外のハッチが閉まらなければ内側のハッチも開かないため、二人はエアロックに釘付けである。このままではレーザーに撃たれてその熱で蒸し焼きになってしまう。
『もう、駄目か』
『南無三』
レーザー砲がエネルギーチャージを終えて発射され、二人は徐々に強くなるレーザー光に目をつむった。
『『…ん?』』
いつまで経っても熱くならないことに気付いた二人が目を開けると、
『ひゃー、危なかった~』
と金属の獅子に跨がったアイラがハッチの所にしがみついていた。エアロックを狙ったレーザーは、アイラとガオガオが張ったシールドの魔法により防がれていた。
『『アイラちゃん!』』
ディビットとケイイチはエアロックで万歳してアイラの生還を喜ぶのだった。
『今のところ返信は返ってこない。沈黙したままだ』
『という事は、AIがダウンしているのか? それだとステーションからの誘導は期待できないな』
『そうだな』
『とにかく、後十分ほどでステーションに着く。スペースボートは気密室なんて物はないから、適当な場所に機体を固定して、近くのハッチから中に入ることになる』
シャトルや地球~火星の定期便の宇宙船はドーナッツの輪の中に停泊し、エアロックにステーションの接続チューブを接続するのだが、スペースボートはそんな事はできない。
ケイイチはスペースボートのスラスターを操作して、シャトルの外壁に近づいていく。
『ふぁぁ、大きなドーナツだよね~。それにゆっくり動いているよ』
アイラがキャノピー越しにステーションを見て、そんな感想を漏らした。ステーションは疑似重力を発生させるため、ゆっくりと回転している。ステーションからの誘導無しにスペースボートを接舷するのは至難の業である。
『ぶつけるなよ~』
『そんなへまするか』
真剣な顔で操作するケイイチをディビットが茶化すが、彼は無駄の無い動きでステーションとスペースボートの動きを同期させていった。
ステーションの動きと同期が完了すると、スペースボートから電磁石付きのロープが射出される。外壁にロープがくっつくと、ロープが巻き上げられてスペースボートはステーションに無事接舷した。
『ステーションに着いたぞ』
『お疲れさん』
ケイイチとディビットはハイタッチをして、無事ステーションに辿り着いたことを喜んだ。
『あのハッチから中に入れそうだな』
『ロックされてなきゃ良いんだが。AIと通信できないから、実際に操作しないと分からないな』
『まず、俺とディビットでハッチから進入できるか試みよう。アイラちゃんはしばらくここで待っててくれ』
『迂闊にシートから離れたら宇宙の迷子になるぞ。大人しくしてろよ』
『分かった』
ディビットとケイイチは宇宙遊泳の経験があるが、アイラは当然そんな事をしたことはない。そこでまず二人がハッチまでワイヤーを張って移動し、そこから進入できそうならアイラを迎えに行くという方法をとることになった。
キャノピーを開け、ケイイチがワイヤーガンをハッチに向けて撃つと、狙い違わずワイヤーはハッチの側にくっついた。ディビットは端末を背負いケイイチにしがみつくと、ワイヤーガンがワイヤーを巻き上げ、二人はハッチに向かって飛んで行く。
『野郎に抱きつくのは嫌だな~』
『俺だってお前に抱きつかれたくはない』
そんな事を言っている間に二人はハッチに辿り着いた。
ディビットがハッチを調べると、ハッチはメンテナンス用の物であり当然のごとくロックされていた。
『解除コードは…っと、開いた?』
ディビットがハッチのパネルに解除コードを打ち込むと、ロックはすんなりと解除された。
『セキュリティは更新されてないのか?』
ケイイチはそっとハッチを開き中を覗くが、エアロックの中は非常灯が点いているが稼働状態に見えた。
『そうみたいだな。何となく罠っぽいが…内部に踏み込まないとAIにアクセスできないからな~』
ディビットはお手上げという感じで両手を広げて首を振る。
『まあ、アイラちゃんをこっちに呼びますか』
そう言ってケイイチがスペースボートむかってワイヤーガンを向けたとき、
『まずい、レーザー砲が。アイラ、逃げるんだ!』
ディビットがステーションの外壁に設置されたレーザー砲が、スペースボートを照準している事に気付いた。
レーザーはその射線に何も干渉する物が無ければ目に見えない。スペースボートはレーザーにより外装の耐熱タイルが赤熱化した。そして、数秒で耐熱タイルが限界を超え穴が穿たれると、搭載していた推進剤が気化、熱膨張して爆発してしまった。
『アイラ…ちゃん』
爆発したスペースボートを見て、ケイイチはそう呟く。
『くそっ、ハッチを開けると侵入者を排除するようにトラップが仕掛けてあったのか。今度は俺達が狙われているぞ。早くエアロックに入るんだ!』
ディビットは呆然としているケイイチの背中をどやしつけるが、二人とも無重力空間では機敏に動けない。
『まずい、チャージが終わるぞ』
『おい、ハッチが閉まらないぞ』
二人はエアロックに何とか入ったのだが、外のハッチが閉まらない。外のハッチが閉まらなければ内側のハッチも開かないため、二人はエアロックに釘付けである。このままではレーザーに撃たれてその熱で蒸し焼きになってしまう。
『もう、駄目か』
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『『…ん?』』
いつまで経っても熱くならないことに気付いた二人が目を開けると、
『ひゃー、危なかった~』
と金属の獅子に跨がったアイラがハッチの所にしがみついていた。エアロックを狙ったレーザーは、アイラとガオガオが張ったシールドの魔法により防がれていた。
『『アイラちゃん!』』
ディビットとケイイチはエアロックで万歳してアイラの生還を喜ぶのだった。
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