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第12話:宇宙へ
Bパート(1)
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ヘリオス空港に着陸したアルテローゼは、ヴィクターを始めとする研究所の所員と整備士達に出迎えられた。
「お父様…」
アルテローゼから降りたレイチェルは、ヴィクターに駆け寄って抱きついた。レイチェルは泣きながら「心配をかけてごめんなさい」と繰り返していた。
「レイフ君、レイチェルを助け出してくれてありがとう。本当に感謝の言葉もないのだよ」
ヴィクターはレイチェルの頭を撫でながら、アルテローゼにお礼を述べる。
『ヴィクター、レイチェルは儂の嫁だからな。助けて当然なのだ』
久しぶりにレイフの嫁宣言が出たが、今回はレイチェルもヴィクターも突っ込みを入れなかった。
「帰ってくるのが随分と早かったな。…それにしてもかなり手ひどくやられたな。あちこちボロボロじゃないか。こりゃ対空ミサイルの至近弾を喰らったのか…」
整備主任のおやっさんはアルテローゼ機体をみて、顔をしかめていた。アルテローゼ・スカイフォームは対空ミサイルの至近弾を受けていたので、カウル・パーツには多数の破片が食い込み、酷い状況であった。正直、後数発至近弾をもらっていたら、カウルが破壊されてアルテローゼは飛行できなくなってしまっただろう。そうおやっさんに聞かされて、レイフはゾッとしてしまった。
『おやっさん。スカイフォームを傷だらけにしてしまい、申し訳なかった。今から修理するから、少し離れてもらえないかな』
首都に戻ってきたことで、錬金順魔法は発動可能となっている。
レイフが慌てて修理すべく魔法を発動させようとすると、
「いや、慌てて修理する必要はないぞ。この被弾状況をデータ化して、改良しないとな。おら、おめーらグズグズするな。機体を格納庫に運んで測定するぞ。早くトーイングカーを回すんだ!」
おやっさんはレイフを制止すると、周囲の整備士を怒鳴りつけていた。
その後、アルテローゼは修理と整備のために格納庫に運ばれ、ヴィクターは研究所に、レイチェルとアイラは社員寮に向かった。
レイチェルの救出は成功し、革命軍の部隊は全滅したのだ。当面はゆっくりできるだろうと、その時全員がそう思っていた。
◇
研究所に戻ったヴィクターは、オッタビオ司令からの通信を受けることになった。
ヴィクターはアルテローゼをレイチェルの救出作戦に向かわせたことで、司令部とはゴタゴタしていた事もあり、できればオッタビオ司令とは顔を会わせたくなかった。しかし研究所所長として通信を受けないわけにはいかなかった。
『ヴィクター君、お嬢さんの救出が成功したそうだね。おめでとうを言わせてもらうよ』
オッタビオ司令の命令を無視してレイチェルの救出に向かわせたというのに、通信が繋がると薄らと笑みを浮かべ作戦成功を祝ってきた。
「…ええ、ありがとうございます。…それで、オッタビオ司令は一体何用ででしょうか?」
ヴィクターは、命令無視について嫌みの一つでも言われるかと思ってたのに、オッタビオ司令の普通の態度に不穏な物を感じていた。
腹の探り合いをするのも面倒とばかりに、ヴィクターは単刀直入に用件を尋ねることにした。
『…まあ、君も知っているように革命軍の侵攻部隊は全滅した。これをやったのは木星方面軍の戦艦、レッドノーム号とその船長であるトーゴー大佐なのだ』
「聞いたところによると、連邦軍も多大な被害が出たようですが…」
『ああ、その通りだ。防衛部隊は人的被害は皆無だがロボット兵器の方はほぼ全滅だ。これで火星の連邦軍の戦力はほとんどないに等しい状態になってしまったのだよ』
「そ、そうですか」
オッタビオ司令から連邦軍の窮状を聞かされ、ヴィクターは内心冷や汗をかいていた。
『そして、いまから最も重要なことを話すのだが…実は、レッドノーム号の攻撃はまだ終わっていないのだよ、ヴィクター君!』
オッタビオ司令は身を乗り出すようにモニターに近寄ってくる。それを見てヴィクターは思わず体をのけぞらせてしまった。
「まだ、終わってないのですか? ですが、革命軍の部隊は全滅したはずなのでは。レッドノーム号は何を目標に攻撃を仕掛けるというのでしょうか?」
『もちろん、革命軍に対してだよ』
ヴィクターの質問にオッタビオ司令は当然と言った風に答える。
「ですが、その革命軍の部隊は全滅したはずですが。まさか、まだ他に部隊があるのでしょうか?」
『いや、今のところ各都市には目立った動きはない』
「はて?」
ヴィクターは、レッドノーム号の攻撃目標が分からず頭を捻った。
『…ヴィクター君、レッドノーム号の攻撃目標は火星の各都市なのだよ』
「はぁ? 何故、レッドノーム号は火星の各都市を攻撃するのですか?」
『現状、ヘリオス以外の都市には革命軍のメンバーが潜んでいる。特にオリンポスなどは革命軍の本拠地と言っても良い。つまり、レッドノーム号のトーゴー大佐は、革命軍を根こそぎ退治するつもりなのだ』
オッタビオ司令はヴィクターにトーゴー大佐との通信内容をかいつまんで説明するのだった。
「お父様…」
アルテローゼから降りたレイチェルは、ヴィクターに駆け寄って抱きついた。レイチェルは泣きながら「心配をかけてごめんなさい」と繰り返していた。
「レイフ君、レイチェルを助け出してくれてありがとう。本当に感謝の言葉もないのだよ」
ヴィクターはレイチェルの頭を撫でながら、アルテローゼにお礼を述べる。
『ヴィクター、レイチェルは儂の嫁だからな。助けて当然なのだ』
久しぶりにレイフの嫁宣言が出たが、今回はレイチェルもヴィクターも突っ込みを入れなかった。
「帰ってくるのが随分と早かったな。…それにしてもかなり手ひどくやられたな。あちこちボロボロじゃないか。こりゃ対空ミサイルの至近弾を喰らったのか…」
整備主任のおやっさんはアルテローゼ機体をみて、顔をしかめていた。アルテローゼ・スカイフォームは対空ミサイルの至近弾を受けていたので、カウル・パーツには多数の破片が食い込み、酷い状況であった。正直、後数発至近弾をもらっていたら、カウルが破壊されてアルテローゼは飛行できなくなってしまっただろう。そうおやっさんに聞かされて、レイフはゾッとしてしまった。
『おやっさん。スカイフォームを傷だらけにしてしまい、申し訳なかった。今から修理するから、少し離れてもらえないかな』
首都に戻ってきたことで、錬金順魔法は発動可能となっている。
レイフが慌てて修理すべく魔法を発動させようとすると、
「いや、慌てて修理する必要はないぞ。この被弾状況をデータ化して、改良しないとな。おら、おめーらグズグズするな。機体を格納庫に運んで測定するぞ。早くトーイングカーを回すんだ!」
おやっさんはレイフを制止すると、周囲の整備士を怒鳴りつけていた。
その後、アルテローゼは修理と整備のために格納庫に運ばれ、ヴィクターは研究所に、レイチェルとアイラは社員寮に向かった。
レイチェルの救出は成功し、革命軍の部隊は全滅したのだ。当面はゆっくりできるだろうと、その時全員がそう思っていた。
◇
研究所に戻ったヴィクターは、オッタビオ司令からの通信を受けることになった。
ヴィクターはアルテローゼをレイチェルの救出作戦に向かわせたことで、司令部とはゴタゴタしていた事もあり、できればオッタビオ司令とは顔を会わせたくなかった。しかし研究所所長として通信を受けないわけにはいかなかった。
『ヴィクター君、お嬢さんの救出が成功したそうだね。おめでとうを言わせてもらうよ』
オッタビオ司令の命令を無視してレイチェルの救出に向かわせたというのに、通信が繋がると薄らと笑みを浮かべ作戦成功を祝ってきた。
「…ええ、ありがとうございます。…それで、オッタビオ司令は一体何用ででしょうか?」
ヴィクターは、命令無視について嫌みの一つでも言われるかと思ってたのに、オッタビオ司令の普通の態度に不穏な物を感じていた。
腹の探り合いをするのも面倒とばかりに、ヴィクターは単刀直入に用件を尋ねることにした。
『…まあ、君も知っているように革命軍の侵攻部隊は全滅した。これをやったのは木星方面軍の戦艦、レッドノーム号とその船長であるトーゴー大佐なのだ』
「聞いたところによると、連邦軍も多大な被害が出たようですが…」
『ああ、その通りだ。防衛部隊は人的被害は皆無だがロボット兵器の方はほぼ全滅だ。これで火星の連邦軍の戦力はほとんどないに等しい状態になってしまったのだよ』
「そ、そうですか」
オッタビオ司令から連邦軍の窮状を聞かされ、ヴィクターは内心冷や汗をかいていた。
『そして、いまから最も重要なことを話すのだが…実は、レッドノーム号の攻撃はまだ終わっていないのだよ、ヴィクター君!』
オッタビオ司令は身を乗り出すようにモニターに近寄ってくる。それを見てヴィクターは思わず体をのけぞらせてしまった。
「まだ、終わってないのですか? ですが、革命軍の部隊は全滅したはずなのでは。レッドノーム号は何を目標に攻撃を仕掛けるというのでしょうか?」
『もちろん、革命軍に対してだよ』
ヴィクターの質問にオッタビオ司令は当然と言った風に答える。
「ですが、その革命軍の部隊は全滅したはずですが。まさか、まだ他に部隊があるのでしょうか?」
『いや、今のところ各都市には目立った動きはない』
「はて?」
ヴィクターは、レッドノーム号の攻撃目標が分からず頭を捻った。
『…ヴィクター君、レッドノーム号の攻撃目標は火星の各都市なのだよ』
「はぁ? 何故、レッドノーム号は火星の各都市を攻撃するのですか?」
『現状、ヘリオス以外の都市には革命軍のメンバーが潜んでいる。特にオリンポスなどは革命軍の本拠地と言っても良い。つまり、レッドノーム号のトーゴー大佐は、革命軍を根こそぎ退治するつもりなのだ』
オッタビオ司令はヴィクターにトーゴー大佐との通信内容をかいつまんで説明するのだった。
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