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第6話:戦場はヘスペリア平原
Aパート(2)
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『ん?』
レイフは、偵察ドローンの映像で奇妙な後を見つけた。それは巨大な何かが移動した跡…いやそれは足跡だった。
「レイフ、何か見つけたのですか?」
『ははっ、儂も間抜けでだな。こんな簡単な事に気がつかないとは。レイチェル、敵の位置が分かったぞ。この距離なら90ミリ・レールキャノンで先制攻撃がかけられるな』
レイフは、肩に装備された90ミリ・レールキャノンを射撃位置に移動させ、敵に対して先制攻撃をかける準備に入った。
「レイフ、敵の位置を見つけたのですか?」
『説明は後だ。とにかく今から照準するか発射トリガーを入力してくれ』
「は、はい」
レイチェルは、レイフの勢いに押されたのか、返事を返すとスティックの安全装置を外して発射トリガーを有効化する。
レイチェルが発射トリガーを入力するのは、AIでは武器の発射許可を出せないという縛りがまだ有効だからである。
現在の距離ではアルテローゼのカメラは地形に遮られて目的の場所が見えない。そのためモニターには偵察ドローンからの映像が映し出され、それに照準が被って表示された。
「レイフ、この照準だと何もないところを撃っているようですが…」
モニターで照準されているのは、何もない場所であった。あちこちに車両の残骸があるが、そこには敵の姿はなかった。
『それで正解だ。説明は後でするが、敵はここにいるはずだ』
しかし、レイフにはそこに敵がいることを確信していた。
「…分かりましたわ」
レイチェルは、レイフを信じることにし、発射トリガーに指をかけた。
『レールキャノンを撃ったら、敵機動兵器はこちらに向かってくるはずだ。今のうちに多脚装甲ロボットを全部下ろして、指揮車は後退してくれ』
レイフは、戦闘に邪魔な指揮車に後退を命じた。実際司令部と通信ができない状態では、航空支援も呼べないため、指揮車ができるのは偵察ドローンと多脚装甲ロボットの操作だけである。よって戦いの足手まといとならないように離れてもらうのだ。
『おいおい、まだ敵は見つかってないのに、俺達を下げて射撃? アルテローゼのAIは何を考えてるんだ? 』
ディビットが、突然の後退命令にびっくりしたのかレイフに喰ってかかる。
『儂は敵を見つけたぞ。お前達も偵察ドローンの映像をよく見るんだな』
レイフがそう返すと、ディビット達は『マジかよ』と叫んで映像を見直し始めた。
『多脚装甲ロボット、全部下ろしたぞ。これで指揮車は、ぼぼ丸腰だな』
指揮車の後ろから歩兵代わりの多脚装甲ロボットが五台でてくる。ホァンの言う通り、指揮車の武装は、車両上部の対人レーザー機銃だけとなった。
指揮車は元々ロボット兵器を操作する為の車両なので、自前の武装はこの程度なのだ。
『…後退するぞ』
ドライバーのケイイチは、レイフの後退指示に特に文句も言わず、指揮車の移動を始めた。
『これぐらいで良いか。レイチェル射撃開始だ』
レイフは、指揮車が十二分に離れたのを確認すると、レイチェルに射撃を命令した。
「だ、大丈夫ですわよね。では、撃ちますわ」
レイチェルが震える指先で発射トリガーを引き絞ると、肩のレールキャノンが「ブシュッ」と鈍い音を立て、砲弾が発射された。
火薬を使用しないレールキャノンの発射音は以外と静かだが、音速の十倍という速度で射出されたAPFSDS弾は、レイフが照準した何もない場所に飛翔していった。
「外れますわ…」
レイチェルの言う通り、砲弾は何もない空間を通り過ぎると思われたが、そこで突然空間に波紋のような物が広がると、何者かが空間から姿を現した。
『やはり、砲弾は止められたか。想像通り敵はプロテクション・フロム・ミサイルではなく、シールドの魔法を使っているようだな。しかしこの威力の砲弾を止めるとは、なかなかやるではないか』
レイフは、したり顔(いや顔はないが)で頷いた。
アルテローゼの発射した砲弾は、空間から現れた巨大な獅子のロボットに命中した。いや命中したのは、巨大な獅子が張り巡らせた光り輝く盾…というか、ぶっちゃけ光○力バリアーとしか見えない物に当たって、止まってしまった。
「どういうことですの? 何もないところからメカ・ライオンが現れましたわ」
レイチェルは、突然姿を現したライオン型機動兵器に驚く。
『ええっ、もしかして光学迷彩? そんな最先端技術を、なぜ革命軍が持っているんだよ』
一方ディビットは、この時代でも開発できていない光学迷彩技術を革命軍が持っていることに驚いていた。
『ディビット、あれはお主が考えている様な物じゃないぞ』
レイフは、既に敵が隠れていた技術を見破っていた。
『儂の知っている魔法には、完全に姿を隠す物がある。それはディビットの言う光学迷彩という物になるだろう。だがそんな魔法をあの巨体にかけ続ければ、あっという間に魔力が切れてしまうのだ。つまり、巨大獅子は、そんな魔法は使っていないのだ。彼奴が使ったのは、魔力消費が最初だけ必要なシールドという魔法だな。そのシールドの魔法に、どうやってか周囲と溶け込む映像を映し出して、隠れていたのだ。だが隠れるなら足跡ぐらい消しておけと言いたいぞ』
巨大な獅子が使ったのは、自分の周囲に映像を映す疑似光学迷彩…というか忍者の隠れ蓑術に近い物だった。
このシールドの魔法は使用すると、敵の攻撃を防ぐことができるのだが、移動に制限がかかるのだ。ようは待ち伏せのためのトリックに近い物だった。しかし、この手は以外と有効で、レイフ達は最初完全にだまされていた。レイフが獅子の位置に気付いたのは、その足跡が残っていたからであった。敵は間抜けにも姿を隠していたのに足跡を隠すのを忘れていたのである。
レイフが得意げに隠れていた方法について説明をすると、レイチェルは「そうなのですか」と素直に納得し、ディビットを含めた指揮車のメンバーは『魔法だって? 何じゃそりゃ』と何ともいえない顔をするのだった。
『とにかく、こっちに巨大獅子がやってくる。レイチェル、レールキャノンを撃ちまくるんだ』
レールキャノンの攻撃で、アルテローゼの接近に気づいた巨大獅子は、シールドを解除すると駆けだした。それに対してアルテローゼは、レールキャノンでアウトレンジから攻撃を仕掛けた
「冗談じゃありませんわ」
『これは、凄い。野生の感とでも言うのか。一体どうやって回避をしているのだ。レイチェル、彼奴は手強いぞ』
音速の十倍という速度で発射されるレールキャンの砲弾は、撃たれてしまうと避けることはまず不可能である。その為巨人はプロテクション・フロム・ミサイルの魔法で守っていた。
しかし巨大獅子は、撃たれる寸前に照準外に機体をジャンプさせることで、魔法を使わずに砲弾を避けていた。これは、アルテローゼがレールキャノンを発射するタイミングが分からないと無理な芸当である。某漫画の新しい型の人でないのなら、野生の感としか言いようのない芸当であった。
そして、レイフが神がかりな回避行動にレイフが感心している間に、獅子とアルテローゼとの距離はどんどん縮まっていた。
『レールキャノンでは獅子の動きを捕らえられそうにないな。こうなったら格闘戦で勝負するしかない。レイチェル、機体を立ち上げるぞ』
「ええ、レイフに任せますわ」
レールキャノンの発射を止めて、アルテローゼは戦車形態から人型形態に変形する。まあ、立ち上がるだけなので変形には1秒しかかからないのだが、その隙に巨大獅子はアルテローゼの目の前にまで迫っていた。
レイフは、偵察ドローンの映像で奇妙な後を見つけた。それは巨大な何かが移動した跡…いやそれは足跡だった。
「レイフ、何か見つけたのですか?」
『ははっ、儂も間抜けでだな。こんな簡単な事に気がつかないとは。レイチェル、敵の位置が分かったぞ。この距離なら90ミリ・レールキャノンで先制攻撃がかけられるな』
レイフは、肩に装備された90ミリ・レールキャノンを射撃位置に移動させ、敵に対して先制攻撃をかける準備に入った。
「レイフ、敵の位置を見つけたのですか?」
『説明は後だ。とにかく今から照準するか発射トリガーを入力してくれ』
「は、はい」
レイチェルは、レイフの勢いに押されたのか、返事を返すとスティックの安全装置を外して発射トリガーを有効化する。
レイチェルが発射トリガーを入力するのは、AIでは武器の発射許可を出せないという縛りがまだ有効だからである。
現在の距離ではアルテローゼのカメラは地形に遮られて目的の場所が見えない。そのためモニターには偵察ドローンからの映像が映し出され、それに照準が被って表示された。
「レイフ、この照準だと何もないところを撃っているようですが…」
モニターで照準されているのは、何もない場所であった。あちこちに車両の残骸があるが、そこには敵の姿はなかった。
『それで正解だ。説明は後でするが、敵はここにいるはずだ』
しかし、レイフにはそこに敵がいることを確信していた。
「…分かりましたわ」
レイチェルは、レイフを信じることにし、発射トリガーに指をかけた。
『レールキャノンを撃ったら、敵機動兵器はこちらに向かってくるはずだ。今のうちに多脚装甲ロボットを全部下ろして、指揮車は後退してくれ』
レイフは、戦闘に邪魔な指揮車に後退を命じた。実際司令部と通信ができない状態では、航空支援も呼べないため、指揮車ができるのは偵察ドローンと多脚装甲ロボットの操作だけである。よって戦いの足手まといとならないように離れてもらうのだ。
『おいおい、まだ敵は見つかってないのに、俺達を下げて射撃? アルテローゼのAIは何を考えてるんだ? 』
ディビットが、突然の後退命令にびっくりしたのかレイフに喰ってかかる。
『儂は敵を見つけたぞ。お前達も偵察ドローンの映像をよく見るんだな』
レイフがそう返すと、ディビット達は『マジかよ』と叫んで映像を見直し始めた。
『多脚装甲ロボット、全部下ろしたぞ。これで指揮車は、ぼぼ丸腰だな』
指揮車の後ろから歩兵代わりの多脚装甲ロボットが五台でてくる。ホァンの言う通り、指揮車の武装は、車両上部の対人レーザー機銃だけとなった。
指揮車は元々ロボット兵器を操作する為の車両なので、自前の武装はこの程度なのだ。
『…後退するぞ』
ドライバーのケイイチは、レイフの後退指示に特に文句も言わず、指揮車の移動を始めた。
『これぐらいで良いか。レイチェル射撃開始だ』
レイフは、指揮車が十二分に離れたのを確認すると、レイチェルに射撃を命令した。
「だ、大丈夫ですわよね。では、撃ちますわ」
レイチェルが震える指先で発射トリガーを引き絞ると、肩のレールキャノンが「ブシュッ」と鈍い音を立て、砲弾が発射された。
火薬を使用しないレールキャノンの発射音は以外と静かだが、音速の十倍という速度で射出されたAPFSDS弾は、レイフが照準した何もない場所に飛翔していった。
「外れますわ…」
レイチェルの言う通り、砲弾は何もない空間を通り過ぎると思われたが、そこで突然空間に波紋のような物が広がると、何者かが空間から姿を現した。
『やはり、砲弾は止められたか。想像通り敵はプロテクション・フロム・ミサイルではなく、シールドの魔法を使っているようだな。しかしこの威力の砲弾を止めるとは、なかなかやるではないか』
レイフは、したり顔(いや顔はないが)で頷いた。
アルテローゼの発射した砲弾は、空間から現れた巨大な獅子のロボットに命中した。いや命中したのは、巨大な獅子が張り巡らせた光り輝く盾…というか、ぶっちゃけ光○力バリアーとしか見えない物に当たって、止まってしまった。
「どういうことですの? 何もないところからメカ・ライオンが現れましたわ」
レイチェルは、突然姿を現したライオン型機動兵器に驚く。
『ええっ、もしかして光学迷彩? そんな最先端技術を、なぜ革命軍が持っているんだよ』
一方ディビットは、この時代でも開発できていない光学迷彩技術を革命軍が持っていることに驚いていた。
『ディビット、あれはお主が考えている様な物じゃないぞ』
レイフは、既に敵が隠れていた技術を見破っていた。
『儂の知っている魔法には、完全に姿を隠す物がある。それはディビットの言う光学迷彩という物になるだろう。だがそんな魔法をあの巨体にかけ続ければ、あっという間に魔力が切れてしまうのだ。つまり、巨大獅子は、そんな魔法は使っていないのだ。彼奴が使ったのは、魔力消費が最初だけ必要なシールドという魔法だな。そのシールドの魔法に、どうやってか周囲と溶け込む映像を映し出して、隠れていたのだ。だが隠れるなら足跡ぐらい消しておけと言いたいぞ』
巨大な獅子が使ったのは、自分の周囲に映像を映す疑似光学迷彩…というか忍者の隠れ蓑術に近い物だった。
このシールドの魔法は使用すると、敵の攻撃を防ぐことができるのだが、移動に制限がかかるのだ。ようは待ち伏せのためのトリックに近い物だった。しかし、この手は以外と有効で、レイフ達は最初完全にだまされていた。レイフが獅子の位置に気付いたのは、その足跡が残っていたからであった。敵は間抜けにも姿を隠していたのに足跡を隠すのを忘れていたのである。
レイフが得意げに隠れていた方法について説明をすると、レイチェルは「そうなのですか」と素直に納得し、ディビットを含めた指揮車のメンバーは『魔法だって? 何じゃそりゃ』と何ともいえない顔をするのだった。
『とにかく、こっちに巨大獅子がやってくる。レイチェル、レールキャノンを撃ちまくるんだ』
レールキャノンの攻撃で、アルテローゼの接近に気づいた巨大獅子は、シールドを解除すると駆けだした。それに対してアルテローゼは、レールキャノンでアウトレンジから攻撃を仕掛けた
「冗談じゃありませんわ」
『これは、凄い。野生の感とでも言うのか。一体どうやって回避をしているのだ。レイチェル、彼奴は手強いぞ』
音速の十倍という速度で発射されるレールキャンの砲弾は、撃たれてしまうと避けることはまず不可能である。その為巨人はプロテクション・フロム・ミサイルの魔法で守っていた。
しかし巨大獅子は、撃たれる寸前に照準外に機体をジャンプさせることで、魔法を使わずに砲弾を避けていた。これは、アルテローゼがレールキャノンを発射するタイミングが分からないと無理な芸当である。某漫画の新しい型の人でないのなら、野生の感としか言いようのない芸当であった。
そして、レイフが神がかりな回避行動にレイフが感心している間に、獅子とアルテローゼとの距離はどんどん縮まっていた。
『レールキャノンでは獅子の動きを捕らえられそうにないな。こうなったら格闘戦で勝負するしかない。レイチェル、機体を立ち上げるぞ』
「ええ、レイフに任せますわ」
レールキャノンの発射を止めて、アルテローゼは戦車形態から人型形態に変形する。まあ、立ち上がるだけなので変形には1秒しかかからないのだが、その隙に巨大獅子はアルテローゼの目の前にまで迫っていた。
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