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第2話:宣戦布告
Aパート(3)
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馬鹿な司令のおかげで、連邦軍が負けることはほぼ確定しているが、更にお馬鹿な副司令によって徹底抗戦が命じられた。
もちろんそんな状況で兵士達の士気が上がるわけもな無く、指揮車両では巨人への爆撃が失敗したことで、暗いムードであった。
「しかし、普通の戦車なら一発で吹っ飛ぶJDAMを食らって無傷とか、アレ≪巨人≫はどんな装甲してるんだろうな。しかも全高四十メートルとか、歩かせるだけでも相当エネルギーを食うだろ。まさか動力はバッテリーじゃなくて、核動力とかか?」
ニキビ面の兵士が、そう冗談めかしていると…
「はは、核動力か? じゃあアレはもしかして原子熱線砲なのか?」
原子熱線砲とかいったいお前は何歳なんだと言いたくなる台詞を吐いたのは、ディビット隣に座る多脚走行ロボット・オペレーターのホァンだった。慌ててディビットがモニターに目を戻すと、そこには巨人が吐き出した炎に包まれて爆散する戦闘機の姿が映っていた。
「糞AIめ、相手は戦車じゃないんだ、対地掃射とか選択するなよ。基地に戻ったら再プログラムしてやる」
ディビッドはののしると、大慌てで残りの二機に帰還命令を出した。
戦闘機には対レーザー塗装が成されており、戦車が搭載している対人レーザー機銃程度ならほぼ無力化できる。第一高速で飛ぶ機体にレーザーを照射し続けることはAIであっても困難である。それ故いまだに戦闘機は戦車などの地上戦力に対して優位に立っていた。
しかし、巨人のはき出す炎は射程こそ短いが追尾能力があり、戦闘機に命中するとナパーム弾並の火力で機体に纏わり付いて燃えるのだ。もちろんそんなモノが命中して戦闘機が無事なわけはなく、機体は燃え、バッテリーは加熱により爆発…あっけなく撃墜されてしまう。
大シルチス高原での戦闘でも航空戦力は巨人により全て落とされてしまった。ディビットもそれを知っており、戦闘機のAIには対地攻撃を避けるように命令したのだが、デフォルトモードのAIはデータベースの対空車両に属さない巨人を手足があることから人と誤認識して、搭載機銃による地上掃射を試みたのだった。その結果はモニターに映った通りである。
「核動力ね~。そんな危険なモノを戦闘兵器に組み込むのは、馬鹿のすることだろ。偵察ドローンの赤外線センサーじゃ、巨人の中にそんな熱源は見つかってないぞ」
ホァンの背後に座る装輪戦車のオペレータ、マイケルがパネル操作の電子ペンを器用に回しながらそう答えた。
「昔東アジアじゃそんな空想ロボットの映像プログラムが人気だったけどね。たしかケイイチの祖国の作品じゃなかったっけ?」
「そういう話もあったらしいが、僕はよく知らないよ」
指揮車両の運転席で目を閉じて瞑想していたドライバーのケイイチは、そう答えると再び瞑想に戻った。
「ケイイチが好きなのはモビ○スーツじゃなくて忍者とかサムライだからな」
マイケルの隣の赤毛の大男、クリストファーはそうつぶやいて、彼の担当である戦闘ヘリの攻撃準備に取りかかり始めた。
…一体どこに暗いムードがあったのか、脳天気に会話をするオペレーター達であったが、巨人は首都の市街地を破壊しながら、壁に近寄ってくるのだった。
もちろんそんな状況で兵士達の士気が上がるわけもな無く、指揮車両では巨人への爆撃が失敗したことで、暗いムードであった。
「しかし、普通の戦車なら一発で吹っ飛ぶJDAMを食らって無傷とか、アレ≪巨人≫はどんな装甲してるんだろうな。しかも全高四十メートルとか、歩かせるだけでも相当エネルギーを食うだろ。まさか動力はバッテリーじゃなくて、核動力とかか?」
ニキビ面の兵士が、そう冗談めかしていると…
「はは、核動力か? じゃあアレはもしかして原子熱線砲なのか?」
原子熱線砲とかいったいお前は何歳なんだと言いたくなる台詞を吐いたのは、ディビット隣に座る多脚走行ロボット・オペレーターのホァンだった。慌ててディビットがモニターに目を戻すと、そこには巨人が吐き出した炎に包まれて爆散する戦闘機の姿が映っていた。
「糞AIめ、相手は戦車じゃないんだ、対地掃射とか選択するなよ。基地に戻ったら再プログラムしてやる」
ディビッドはののしると、大慌てで残りの二機に帰還命令を出した。
戦闘機には対レーザー塗装が成されており、戦車が搭載している対人レーザー機銃程度ならほぼ無力化できる。第一高速で飛ぶ機体にレーザーを照射し続けることはAIであっても困難である。それ故いまだに戦闘機は戦車などの地上戦力に対して優位に立っていた。
しかし、巨人のはき出す炎は射程こそ短いが追尾能力があり、戦闘機に命中するとナパーム弾並の火力で機体に纏わり付いて燃えるのだ。もちろんそんなモノが命中して戦闘機が無事なわけはなく、機体は燃え、バッテリーは加熱により爆発…あっけなく撃墜されてしまう。
大シルチス高原での戦闘でも航空戦力は巨人により全て落とされてしまった。ディビットもそれを知っており、戦闘機のAIには対地攻撃を避けるように命令したのだが、デフォルトモードのAIはデータベースの対空車両に属さない巨人を手足があることから人と誤認識して、搭載機銃による地上掃射を試みたのだった。その結果はモニターに映った通りである。
「核動力ね~。そんな危険なモノを戦闘兵器に組み込むのは、馬鹿のすることだろ。偵察ドローンの赤外線センサーじゃ、巨人の中にそんな熱源は見つかってないぞ」
ホァンの背後に座る装輪戦車のオペレータ、マイケルがパネル操作の電子ペンを器用に回しながらそう答えた。
「昔東アジアじゃそんな空想ロボットの映像プログラムが人気だったけどね。たしかケイイチの祖国の作品じゃなかったっけ?」
「そういう話もあったらしいが、僕はよく知らないよ」
指揮車両の運転席で目を閉じて瞑想していたドライバーのケイイチは、そう答えると再び瞑想に戻った。
「ケイイチが好きなのはモビ○スーツじゃなくて忍者とかサムライだからな」
マイケルの隣の赤毛の大男、クリストファーはそうつぶやいて、彼の担当である戦闘ヘリの攻撃準備に取りかかり始めた。
…一体どこに暗いムードがあったのか、脳天気に会話をするオペレーター達であったが、巨人は首都の市街地を破壊しながら、壁に近寄ってくるのだった。
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