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第1話:勇者参上!
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2/6 ロボット名をダゾーンからブレイブガインに修正しました。
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「どうしよう。攻撃魔法が使えなきゃ世界征服なんてできない。これは問題だよ」
当てにしていた攻撃魔法が使えないというピンチに、良美はあたふたとしていた。
『(世界征服って、よっちゃんは何を考えてるんだ!)』
何げに良美が世界征服を企んでいた事に作は驚いてた。ただ、そんな状況でも宇宙機怪獣は刻一刻と学校に向かってくる。
『とにかく、今使えそうなのは1/1ブレイブガインしかない。学校の修理は後回して、あいつにやらせるしかないよ。米軍を撃退した宇宙機怪獣に勝てるとは思わないけど、囮にして学校から離れるように誘導するぐらいはやれるだろ?』
作が良美にそう問いかけると、
「校舎の材料が元だからね。殴られたりしたら一撃で壊されちゃうよ。でも、囮ぐらいなら何とかなるかな」
良美は、作の声を聞いて落ち着きを取り戻し、少し考え込んだ後にやれそうだと頷いた。
『とにかくグラウンドから動かして宇宙機怪獣の注意をひこう。ブレイブガイン、動くんだ! ……って、こいつ動かないぞ?』
作は、動くように命令を叫んだが、ブレイブガインは動かなかった。
『歩け、走れ、ジャンプしろ。…とにかく動くんだ!』
作は、命令の仕方が悪かったのかと色々と命令するが、ブレイブガインはピクリともしなかった。
『どうして動かないんだよ。もしかして失敗作なのか?』
「もしかして、なおくんとブレイブガインの間で、リンクが繋がって無いのかも。ゴーレムマスターのスキルを使った時、なおくんは1/1プラモデルを作りたいって思ってたよね。プラモデルって自分じゃ動かないでしょ。だからブレイブガインは、なおくんの命令を聞いて動くというリンクが繋がらなかったんだよ。作る時に、ゴーレムって、命令を聞いて動く様にイメージして作らなきゃ駄目なんだよ。これって、ゴーレムを初めて作った初心者にはよくある話なんだよね~」
悩む作に、良美がしたり顔で解説をしてくれる。
『そうなのか? よっちゃん、そんな話は作る時に言ってくれよ。じゃあ、もう一度命令を聞くように作り直せば…って、もうそんな余裕はない!』
ブレイブガインを動かそうと四苦八苦しているうちに、宇宙機怪獣はグラウンドに入り込んでいた。つまり、敵はブレイブガイン目と鼻の先に居るのだ。作り直している余裕は無い。
「もうこうなったら、直接操作するしかないよ」
『直接?』
「うん、ゴーレムの体に触って命令を送るんだよ。とにかく飛ぶよ」
良美はそう言って、教室からブレイブガインの肩に飛び乗った。
『よっちゃんが飛んだ!?』
運動が苦手な良美が、校舎の二階からブレイブガインの肩に飛び乗るという離れ業をこなしたことに、作は驚いた。良美がこんな事ができたのは、魔王となった時に常人の数倍の筋力と敏捷を得たからであった。今の良美はアクションスターも顔負けのアクロバットも可能であった。
「おっとっと」
しかし、器用度が常人並みのため、飛び乗った肩から滑り落ちそうになった良美は、あわててブレイブガインの顔をつかんでバランスを取った。
『よっちゃん、危ない。前を見て!』
作の叫びに良美が目を向けると、そこには棍棒を振り下ろそうとする宇宙機怪獣の姿があった。
「避けて!」
良美が命じると、ブレイブガインは軽やかな足取りで棍棒を避けた。電柱の数倍の太さである棍棒は、グラウンドに突き刺さり小さなクレーターを作った。
「ひぇ~。ゴーレムに乗って戦うとか怖いよ~。正太郎君とか大作君は凄かったんだね~」
魔王としての知識と記憶があるため、良美はゴーレムで戦える。しかし、だからといって、ブレイブガインの体に乗って大きな宇宙機怪獣と戦うのは、怖い体験である。
『こんな戦い方じゃ危険過ぎる。よっちゃん、ブレイブガインを操るのに、他の方法は無いの?』
「ブレイブガインを作り替えるまでは、こうするしか無いの。大丈夫、今の私は魔王なんだから。横に飛んで!…って、キャァーーー」
作と話ながらも、良美は宇宙機怪獣が今度は横にスイングした棍棒を横っ飛びに避けた。ブレイブガインは命令に従いジャンプしたのだが、着地の際に良美は足を滑らせブレイブガインから落ちてしまった。
『よっちゃん!!』
良美の手から振り落とされたスマートフォンが叫ぶ。 良美の手から落ちたスマートフォンは、ブレイブガインの胴体にぶつかりはじき飛ばされるかに見えた。
しかし、スマートフォンは、そのままブレイブガインの胴体に吸い込まれていった。
「お尻から落ちてなきゃ大けがだったよ…」
「いや、お尻から落ちても大けがしちゃうよ。手で受け止めるのが間に合って良かったよ」
「あれ、なおくん? スマフォのボリュームを上げたの? 声が大きいよ。それに随分上の方から声がするんだけど」
そう言って上を見上げた良美は、作の声で喋るブレイブガインと目が合うのだった。
2/6 ロボット名をダゾーンからブレイブガインに修正しました。
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「どうしよう。攻撃魔法が使えなきゃ世界征服なんてできない。これは問題だよ」
当てにしていた攻撃魔法が使えないというピンチに、良美はあたふたとしていた。
『(世界征服って、よっちゃんは何を考えてるんだ!)』
何げに良美が世界征服を企んでいた事に作は驚いてた。ただ、そんな状況でも宇宙機怪獣は刻一刻と学校に向かってくる。
『とにかく、今使えそうなのは1/1ブレイブガインしかない。学校の修理は後回して、あいつにやらせるしかないよ。米軍を撃退した宇宙機怪獣に勝てるとは思わないけど、囮にして学校から離れるように誘導するぐらいはやれるだろ?』
作が良美にそう問いかけると、
「校舎の材料が元だからね。殴られたりしたら一撃で壊されちゃうよ。でも、囮ぐらいなら何とかなるかな」
良美は、作の声を聞いて落ち着きを取り戻し、少し考え込んだ後にやれそうだと頷いた。
『とにかくグラウンドから動かして宇宙機怪獣の注意をひこう。ブレイブガイン、動くんだ! ……って、こいつ動かないぞ?』
作は、動くように命令を叫んだが、ブレイブガインは動かなかった。
『歩け、走れ、ジャンプしろ。…とにかく動くんだ!』
作は、命令の仕方が悪かったのかと色々と命令するが、ブレイブガインはピクリともしなかった。
『どうして動かないんだよ。もしかして失敗作なのか?』
「もしかして、なおくんとブレイブガインの間で、リンクが繋がって無いのかも。ゴーレムマスターのスキルを使った時、なおくんは1/1プラモデルを作りたいって思ってたよね。プラモデルって自分じゃ動かないでしょ。だからブレイブガインは、なおくんの命令を聞いて動くというリンクが繋がらなかったんだよ。作る時に、ゴーレムって、命令を聞いて動く様にイメージして作らなきゃ駄目なんだよ。これって、ゴーレムを初めて作った初心者にはよくある話なんだよね~」
悩む作に、良美がしたり顔で解説をしてくれる。
『そうなのか? よっちゃん、そんな話は作る時に言ってくれよ。じゃあ、もう一度命令を聞くように作り直せば…って、もうそんな余裕はない!』
ブレイブガインを動かそうと四苦八苦しているうちに、宇宙機怪獣はグラウンドに入り込んでいた。つまり、敵はブレイブガイン目と鼻の先に居るのだ。作り直している余裕は無い。
「もうこうなったら、直接操作するしかないよ」
『直接?』
「うん、ゴーレムの体に触って命令を送るんだよ。とにかく飛ぶよ」
良美はそう言って、教室からブレイブガインの肩に飛び乗った。
『よっちゃんが飛んだ!?』
運動が苦手な良美が、校舎の二階からブレイブガインの肩に飛び乗るという離れ業をこなしたことに、作は驚いた。良美がこんな事ができたのは、魔王となった時に常人の数倍の筋力と敏捷を得たからであった。今の良美はアクションスターも顔負けのアクロバットも可能であった。
「おっとっと」
しかし、器用度が常人並みのため、飛び乗った肩から滑り落ちそうになった良美は、あわててブレイブガインの顔をつかんでバランスを取った。
『よっちゃん、危ない。前を見て!』
作の叫びに良美が目を向けると、そこには棍棒を振り下ろそうとする宇宙機怪獣の姿があった。
「避けて!」
良美が命じると、ブレイブガインは軽やかな足取りで棍棒を避けた。電柱の数倍の太さである棍棒は、グラウンドに突き刺さり小さなクレーターを作った。
「ひぇ~。ゴーレムに乗って戦うとか怖いよ~。正太郎君とか大作君は凄かったんだね~」
魔王としての知識と記憶があるため、良美はゴーレムで戦える。しかし、だからといって、ブレイブガインの体に乗って大きな宇宙機怪獣と戦うのは、怖い体験である。
『こんな戦い方じゃ危険過ぎる。よっちゃん、ブレイブガインを操るのに、他の方法は無いの?』
「ブレイブガインを作り替えるまでは、こうするしか無いの。大丈夫、今の私は魔王なんだから。横に飛んで!…って、キャァーーー」
作と話ながらも、良美は宇宙機怪獣が今度は横にスイングした棍棒を横っ飛びに避けた。ブレイブガインは命令に従いジャンプしたのだが、着地の際に良美は足を滑らせブレイブガインから落ちてしまった。
『よっちゃん!!』
良美の手から振り落とされたスマートフォンが叫ぶ。 良美の手から落ちたスマートフォンは、ブレイブガインの胴体にぶつかりはじき飛ばされるかに見えた。
しかし、スマートフォンは、そのままブレイブガインの胴体に吸い込まれていった。
「お尻から落ちてなきゃ大けがだったよ…」
「いや、お尻から落ちても大けがしちゃうよ。手で受け止めるのが間に合って良かったよ」
「あれ、なおくん? スマフォのボリュームを上げたの? 声が大きいよ。それに随分上の方から声がするんだけど」
そう言って上を見上げた良美は、作の声で喋るブレイブガインと目が合うのだった。
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