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【真幕・第2章】清純な加奈子さんっ
2.暑い日はニュルニュルで興奮しますっ!
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「今日も暑いですね……」
「加奈子さん、大丈夫?」
大通りの歩道を加奈子さんの歩幅に合わせてゆっくり歩く。
この時間帯はまだ車も少ない。歩道もたまに人が通り過ぎるぐらいだ。
だからこそ、こうして手を繋ぐことができる。
「大丈夫です。弟君は……汗がすごいです」
「ちょっと学校で荷物運びしたからね」
明石先生の手伝いで汗をかいたのは建前で、この状況が汗を垂れ流す原因になっている。加奈子さんの暑そうな横顔、白い首筋に浮かぶ汗が全身の体温を一気に上昇させた。いやらしさはそれほど感じないが、清楚な加奈子さん独特の魅力が胸を熱く焦がす。
同じ学校の顔見知りに見られていないかというスリルもある。
そして、手が触れ合っていることだ。もう手汗でニュルニュルしている。
これがベッドの上で色んな部分が触れ合ってニュルっていたら……
「弟君、涼んでくださいね……あの、弟君?」
「あ、うん。ちょっと待って。水分補給するから」
電柱に片手をついて寄りかかりながらスポーツドリンクを飲み始めた。
いらぬ妄想をして直立できない状況である。やはり、加奈子さんにも敏感なのだ。
「あの……ごめんなさい。緊張すると手汗すごくて……」
「いや、俺も手汗すごいから」
「家に着いたら冷たいもの出しますね」
「うん。ありがとう」
流れ的に手繋ぎは終了してしまったが、結果オーライだろう。
フル勃起では面白い体勢で歩くことになってしまう。不審者扱いされそうだ。
紗月姉ならともかく、そんな卑猥な状態を加奈子さんに見られたくない。
ここで改めて気付いたことが二つある。
加奈子さんが今日はよく笑う。いつもニコニコしているが、今日は声を出して笑顔を見せる。もう一つ、俺の特異体質は紗月姉以上に加奈子さんの体に反応するようだ。手を繋いだだけで恐ろしく興奮する自分がいる。
(ダメだ……妄想禁止!)
隣りを歩く加奈子さんをチラリと横目で見る。
長くてきれいな黒髪だ。華奢で肌が白くて、赤く染まった頬が色っぽい。
首筋を汗がタラリと流れ落ちた。それを舐めたい衝動に駆られる。
「……弟君?」
「ごめん。つい見惚れて……加奈子さんがあまりにきれいで……」
「あ、え……そんなことは……ないです……」
実は欲望たっぷりの視線を突き刺していただけなのだが……
その辺りのセンサーが鈍いのが結城加奈子さんだ。ちょっと心配な点でもある。
部屋に着いたら伝えようと思った。一番重要なことを伝えていない。
お互いが好き合っているはずなのに、恋人同士と言えない距離感。
邪魔が入る前に、この微妙な状況を打破するべきなのだ。
「加奈子さん。家に着いてから聞いてほしいことがあるんだ」
「はい……」
反応がイマイチだ。たぶん、加奈子さんは普通の話だと思っている。
まあいいか、と自分を納得させて歩道を進むこと一〇分弱、加奈子邸が見えてきた。
★★★
結城家は八階建てのマンションを丸ごと所有する建設会社だ。
六階までの各部屋は賃貸マンション、七階と八階が結城家の居住区だ。
加奈子さんは七階の部屋を一つ与えられ自炊している。
時々、母親の藍子さんと料理を作る日もあるらしい。
「あれ……あの自転車は……」
「花穂さんの自転車ですね」
マンション脇の駐輪場に姉花穂の自転車が置いてある。
少し歩いて正面エントランスに行くと姉が待っていた。
「え? 蒼太もいっしょだったの?」
「なんで花穂姉ちゃんがここに?」
「なんでって、加奈ちゃんと課題する約束してたから」
姉の出現によってこのあとの俺のプラン諸々はご破算となった。
この姉の怖いところは計算ずくで現れた可能性があるところだ。
「加奈子さん、姉ちゃんと約束してたんだ?」
「あ……はい。弟君も涼んで行ってくださいね」
エントランスホールに入ると外気が遮断されて一気に快適になる。
姉も外で待っていたせいか、制服が汗だくで体に張り付いている。
「蒼太。加奈ちゃんとイチャイチャできた?」
花穂姉ちゃんがコッソリと耳打ちしてきた。
「できてない。いつも通り家まで送っただけだって」
イチャイチャとは程遠い、手を繋いで妄想してビンビンになっただけである。
それも加奈子さんはいたって平常運転で、普段と何ら変わりはない。
「どうぞ……部屋は冷やしておきました」
「すごいな。加奈子さん帰りながら端末でエアコン操作してたんだ」
「蒼太が機械オンチ過ぎなんだよ。誰でもするでしょ」
加奈子邸に入るとエントランスホールと変わらない温度で実に快適だ。
端末で炊飯器や給湯器もリモートコントロールできるようになった。
便利になった分、それを利用した犯罪も増えたが……
「俺はダメだな。未だにこのウェアラブル使いこなせない!」
「弟君、花穂さん……制服洗いますか? 着替えは用意できます」
「加奈ちゃん、シャワー借りていい?」
「はい。わたしのバスローブを脱衣場に置いておきますね」
そう言うと姉は足早に浴室へ向かって行った。
加奈子さんは俺の着替えを取りに八階へと向かう。
お兄さんのシャツを貸してくれるんだろう。前もこんなことがあった。
「おーい、蒼太。いっしょにお風呂入る?」
花穂姉ちゃんが脱衣場のドアからひょっこり顔を出す。
「入るわけないだろ! 加奈子さんとなら入るけど!」
「なにその堂々スケベ宣言は? 加奈ちゃんに言いつけてやろうっと」
いたずらっ子のような不敵な笑みを浮かべつつ姉は風呂場に入って行った。
俺も姉のあとに続き脱衣場に入ってワイシャツとTシャツを脱いだ。
洗濯機に脱いだものを放り込もうとしたその時……
「姉ちゃんのだよな? 今、脱いだやつか」
汗をたっぷり吸い込んだ姉の下着を発見したのだ。
純白の可愛らしいデザインの上下セットだ。姉は学校用と家用で分けている。
休みの日は結構派手なデザインの下着を付けていたりする。
(姉の下着マイスターか俺は……)
実際、そうなのだろう。
昔から花穂姉ちゃんの下着が大好きで嗅ぎまくっている。
汗やらなんやらでニュルったパンツ、顔面到達まであと数センチ……
「加奈子さん、大丈夫?」
大通りの歩道を加奈子さんの歩幅に合わせてゆっくり歩く。
この時間帯はまだ車も少ない。歩道もたまに人が通り過ぎるぐらいだ。
だからこそ、こうして手を繋ぐことができる。
「大丈夫です。弟君は……汗がすごいです」
「ちょっと学校で荷物運びしたからね」
明石先生の手伝いで汗をかいたのは建前で、この状況が汗を垂れ流す原因になっている。加奈子さんの暑そうな横顔、白い首筋に浮かぶ汗が全身の体温を一気に上昇させた。いやらしさはそれほど感じないが、清楚な加奈子さん独特の魅力が胸を熱く焦がす。
同じ学校の顔見知りに見られていないかというスリルもある。
そして、手が触れ合っていることだ。もう手汗でニュルニュルしている。
これがベッドの上で色んな部分が触れ合ってニュルっていたら……
「弟君、涼んでくださいね……あの、弟君?」
「あ、うん。ちょっと待って。水分補給するから」
電柱に片手をついて寄りかかりながらスポーツドリンクを飲み始めた。
いらぬ妄想をして直立できない状況である。やはり、加奈子さんにも敏感なのだ。
「あの……ごめんなさい。緊張すると手汗すごくて……」
「いや、俺も手汗すごいから」
「家に着いたら冷たいもの出しますね」
「うん。ありがとう」
流れ的に手繋ぎは終了してしまったが、結果オーライだろう。
フル勃起では面白い体勢で歩くことになってしまう。不審者扱いされそうだ。
紗月姉ならともかく、そんな卑猥な状態を加奈子さんに見られたくない。
ここで改めて気付いたことが二つある。
加奈子さんが今日はよく笑う。いつもニコニコしているが、今日は声を出して笑顔を見せる。もう一つ、俺の特異体質は紗月姉以上に加奈子さんの体に反応するようだ。手を繋いだだけで恐ろしく興奮する自分がいる。
(ダメだ……妄想禁止!)
隣りを歩く加奈子さんをチラリと横目で見る。
長くてきれいな黒髪だ。華奢で肌が白くて、赤く染まった頬が色っぽい。
首筋を汗がタラリと流れ落ちた。それを舐めたい衝動に駆られる。
「……弟君?」
「ごめん。つい見惚れて……加奈子さんがあまりにきれいで……」
「あ、え……そんなことは……ないです……」
実は欲望たっぷりの視線を突き刺していただけなのだが……
その辺りのセンサーが鈍いのが結城加奈子さんだ。ちょっと心配な点でもある。
部屋に着いたら伝えようと思った。一番重要なことを伝えていない。
お互いが好き合っているはずなのに、恋人同士と言えない距離感。
邪魔が入る前に、この微妙な状況を打破するべきなのだ。
「加奈子さん。家に着いてから聞いてほしいことがあるんだ」
「はい……」
反応がイマイチだ。たぶん、加奈子さんは普通の話だと思っている。
まあいいか、と自分を納得させて歩道を進むこと一〇分弱、加奈子邸が見えてきた。
★★★
結城家は八階建てのマンションを丸ごと所有する建設会社だ。
六階までの各部屋は賃貸マンション、七階と八階が結城家の居住区だ。
加奈子さんは七階の部屋を一つ与えられ自炊している。
時々、母親の藍子さんと料理を作る日もあるらしい。
「あれ……あの自転車は……」
「花穂さんの自転車ですね」
マンション脇の駐輪場に姉花穂の自転車が置いてある。
少し歩いて正面エントランスに行くと姉が待っていた。
「え? 蒼太もいっしょだったの?」
「なんで花穂姉ちゃんがここに?」
「なんでって、加奈ちゃんと課題する約束してたから」
姉の出現によってこのあとの俺のプラン諸々はご破算となった。
この姉の怖いところは計算ずくで現れた可能性があるところだ。
「加奈子さん、姉ちゃんと約束してたんだ?」
「あ……はい。弟君も涼んで行ってくださいね」
エントランスホールに入ると外気が遮断されて一気に快適になる。
姉も外で待っていたせいか、制服が汗だくで体に張り付いている。
「蒼太。加奈ちゃんとイチャイチャできた?」
花穂姉ちゃんがコッソリと耳打ちしてきた。
「できてない。いつも通り家まで送っただけだって」
イチャイチャとは程遠い、手を繋いで妄想してビンビンになっただけである。
それも加奈子さんはいたって平常運転で、普段と何ら変わりはない。
「どうぞ……部屋は冷やしておきました」
「すごいな。加奈子さん帰りながら端末でエアコン操作してたんだ」
「蒼太が機械オンチ過ぎなんだよ。誰でもするでしょ」
加奈子邸に入るとエントランスホールと変わらない温度で実に快適だ。
端末で炊飯器や給湯器もリモートコントロールできるようになった。
便利になった分、それを利用した犯罪も増えたが……
「俺はダメだな。未だにこのウェアラブル使いこなせない!」
「弟君、花穂さん……制服洗いますか? 着替えは用意できます」
「加奈ちゃん、シャワー借りていい?」
「はい。わたしのバスローブを脱衣場に置いておきますね」
そう言うと姉は足早に浴室へ向かって行った。
加奈子さんは俺の着替えを取りに八階へと向かう。
お兄さんのシャツを貸してくれるんだろう。前もこんなことがあった。
「おーい、蒼太。いっしょにお風呂入る?」
花穂姉ちゃんが脱衣場のドアからひょっこり顔を出す。
「入るわけないだろ! 加奈子さんとなら入るけど!」
「なにその堂々スケベ宣言は? 加奈ちゃんに言いつけてやろうっと」
いたずらっ子のような不敵な笑みを浮かべつつ姉は風呂場に入って行った。
俺も姉のあとに続き脱衣場に入ってワイシャツとTシャツを脱いだ。
洗濯機に脱いだものを放り込もうとしたその時……
「姉ちゃんのだよな? 今、脱いだやつか」
汗をたっぷり吸い込んだ姉の下着を発見したのだ。
純白の可愛らしいデザインの上下セットだ。姉は学校用と家用で分けている。
休みの日は結構派手なデザインの下着を付けていたりする。
(姉の下着マイスターか俺は……)
実際、そうなのだろう。
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