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【真幕・第1章】あねもね華撃っ 後編 !
1.替えの下着はエロ派手な真紅ですかっ!
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年に数回ぐらいだろうか。ニュースに名前を出す教師がいる。
大概は男性教師で、未成年者とのわいせつ行為やみだらな行為だと報じられる。
目の前をスタスタと歩く明石先生は噂をあっさり肯定してしまった。
俺は少し歩幅を縮めた。そして、周囲を妙に意識している。
(……人に見られたくない)
悪い噂が立つ人間の近くにいるだけで、同じように噂されないか。
そんな心配をよそに先生は校舎の出口を出てグラウンドへと向かう。
「早く来い! 青山弟」
「はい……」
明石先生は駐車場とグラウンドの間の道を真っ直ぐ進む。
この時間帯はグラウンドに運動部、各校舎には文化部の目がある。
誰に見られていてもおかしくない状況下というわけだ。
しばし周辺を見渡して、咄嗟に一計を案じた。
先生のあとをついていくのではなく、校門の外で合流すればいい。
一旦校舎へ引き返し、グラウンドの端へと走り、外周の植林に身を隠した。
こうすれば人目に付きにくい。
校門を出ると、先生は既に二〇メートルほど先にいた。
右へ曲がって先生の背中が見えなくなる。
ほんの少しだけ小走りで追いかけた。
「おいっ」
「うわぁっ! びっくりした!!」
角を曲がると明石先生が待ち伏せしていたのだ。
「なにをコソコソしてるんだお前は」
「えーっと……なにをでしょうね?」
「あたしの噂なんか気にすんな。放っておけ」
「でも、噂は本当なんですよね?」
無言のまま先生は歩いて行く。
姫咲公園の入り口を通り過ぎ、いくつかのハイツが見えてきた。
先生は階段を登っている。どうやら一階ではないらしい。
「ここだ。部屋まで持って来てくれ」
「わかりました」
ガチャンと開錠して中へ入るといい香りが鼻をくすぐる。
たたきには靴は一足も出ておらず、下駄箱の上に飾りもない。
廊下もスリッパ立てが置いてあるのみだ。
「どうすっかなぁ……とりあえず寝室に積んどくか!」
「寝室は奥ですか?」
「ああ、そうだ。手前はリビングダイニング、奥が寝室」
先生の寝室に入ると真っ先にベッドが目に入った。
セミダブルの高級そうなベッドだ。布団も高そうに見える。
部屋の片隅にはクローゼットと低めの黒いテレビ台。
紗月姉と違ってあまり物を置かないタイプのようだ。
「この辺に置けばいいですか?」
「そうだな。ここに頼む」
雑誌の束はクローゼットの前に積まれた。
先生はエアコンのリモコンを手に持ち、額の汗を拭いながら温度を調整している。
「ふぅ。暑いですね」
「蒸すなぁ。ちょっと待ってろ」
寝室を出た先生は隣りの部屋に入った。
冷たい飲み物を一杯いただけるとありがたいもんだ。
「殺風景な部屋だな」
姉たちの部屋は女の子らしい部屋だ。
この空間はなんだか生活感すらないように思えてくる。
まるでホテルの一室のような……
「青山弟! これを飲め」
寝室に戻ってきた先生は俺に缶ジュースを放り投げた。
どこにでも売っているスポーツドリンクの少量版のやつだ。
「ありがとうございます。いただきます」
「あたしはシャワーしてくる。覗くなよ?」
「お背中流しますよ?」
「ガキがなに言ってんだか」
カラカラと笑い飛ばしながら廊下の奥にある浴室へ入った。
殺風景な部屋の残された俺は床に座って喉を潤わせた。
◆◆◆
明石先生が浴室に入って一五分弱経過した頃だった。
ペタペタと乾ききっていない足のまま先生が部屋に戻ってきたのだ。
ベージュのバスタオルに身を包みながらなにかを探している。
「先生……着替えてから出てきてくださいよ……」
「いやぁ、替えの下着を持って入るの忘れてな!」
クローゼットの前で腕を組み、思考を巡らせているようだ。
ブラジャーとパンツのカラーや柄でも迷っているのだろうか……
「おっ! 干してたんだ! すまん、青山弟。ベランダから取って来てくれ!」
「え!? 俺が!? 先生行けば――」
「LDKはタイルカーペット敷き詰めてるから濡らすのイヤなんだよ!」
「はいはい……取って来ます」
タイルカーペットは濡れた足で歩くのがイヤなのに、きれいなフローリングは大丈夫という基準が俺にはよくわからない。あまり押し問答をしても時間を食うだけなので、ここは言う通りに動くことにした。
明石紅衣邸のLDKはそこそこ広い。二〇畳前後といったところだ。
フローリングの上にはアイボリーのタイルカーペットがキッチリ隅々まで敷き詰められていた。
(ベランダはあそこか……)
リビングには黒いソファーとガラスのセンターテーブル、四二型の液晶テレビが設置。
テレビ台は寝室のより背が高めの木製で、どの家具もそこそこ高そうだ。
ベランダには一通りの洗濯物が干してある。
(げ! まさかこれか!?)
その中で一際ド派手な下着がやたらと目立つ。
真っ赤で花柄刺繍のブラジャーとパンツのセットだ。
他に下着は干していないため、これを持って来いと言っているに違いない。
大きくため息を吐き出しながら先生の待つ寝室へ戻る。
体を拭き終えたのか、それとも他に意図があってそうしているのか……
バスタオルは床に落ち、明石先生はベッドに大の字状態。
ツンと上を向いた乳頭やらワサッと茂った恥丘の毛が丸見えなのだ。
姉の裸など何度も見てきた。加奈子さんや来栖の裸も見た。
豊満な四条春香先輩の裸も見た。女性の裸体に免疫がついていると思い込んでいた。
しかし、それらのどの魅力とも違う。胸をえぐられるような感覚だ。
大人の色気というやつなのか、紗月姉の裸以上に興奮する。
(これは……理性飛びそうだ)
目の前の裸体を視認して心臓が早鐘を打つ。
真っ赤なブラジャーとパンツを握り締めて、自然とベッドへと歩を進めていた……
大概は男性教師で、未成年者とのわいせつ行為やみだらな行為だと報じられる。
目の前をスタスタと歩く明石先生は噂をあっさり肯定してしまった。
俺は少し歩幅を縮めた。そして、周囲を妙に意識している。
(……人に見られたくない)
悪い噂が立つ人間の近くにいるだけで、同じように噂されないか。
そんな心配をよそに先生は校舎の出口を出てグラウンドへと向かう。
「早く来い! 青山弟」
「はい……」
明石先生は駐車場とグラウンドの間の道を真っ直ぐ進む。
この時間帯はグラウンドに運動部、各校舎には文化部の目がある。
誰に見られていてもおかしくない状況下というわけだ。
しばし周辺を見渡して、咄嗟に一計を案じた。
先生のあとをついていくのではなく、校門の外で合流すればいい。
一旦校舎へ引き返し、グラウンドの端へと走り、外周の植林に身を隠した。
こうすれば人目に付きにくい。
校門を出ると、先生は既に二〇メートルほど先にいた。
右へ曲がって先生の背中が見えなくなる。
ほんの少しだけ小走りで追いかけた。
「おいっ」
「うわぁっ! びっくりした!!」
角を曲がると明石先生が待ち伏せしていたのだ。
「なにをコソコソしてるんだお前は」
「えーっと……なにをでしょうね?」
「あたしの噂なんか気にすんな。放っておけ」
「でも、噂は本当なんですよね?」
無言のまま先生は歩いて行く。
姫咲公園の入り口を通り過ぎ、いくつかのハイツが見えてきた。
先生は階段を登っている。どうやら一階ではないらしい。
「ここだ。部屋まで持って来てくれ」
「わかりました」
ガチャンと開錠して中へ入るといい香りが鼻をくすぐる。
たたきには靴は一足も出ておらず、下駄箱の上に飾りもない。
廊下もスリッパ立てが置いてあるのみだ。
「どうすっかなぁ……とりあえず寝室に積んどくか!」
「寝室は奥ですか?」
「ああ、そうだ。手前はリビングダイニング、奥が寝室」
先生の寝室に入ると真っ先にベッドが目に入った。
セミダブルの高級そうなベッドだ。布団も高そうに見える。
部屋の片隅にはクローゼットと低めの黒いテレビ台。
紗月姉と違ってあまり物を置かないタイプのようだ。
「この辺に置けばいいですか?」
「そうだな。ここに頼む」
雑誌の束はクローゼットの前に積まれた。
先生はエアコンのリモコンを手に持ち、額の汗を拭いながら温度を調整している。
「ふぅ。暑いですね」
「蒸すなぁ。ちょっと待ってろ」
寝室を出た先生は隣りの部屋に入った。
冷たい飲み物を一杯いただけるとありがたいもんだ。
「殺風景な部屋だな」
姉たちの部屋は女の子らしい部屋だ。
この空間はなんだか生活感すらないように思えてくる。
まるでホテルの一室のような……
「青山弟! これを飲め」
寝室に戻ってきた先生は俺に缶ジュースを放り投げた。
どこにでも売っているスポーツドリンクの少量版のやつだ。
「ありがとうございます。いただきます」
「あたしはシャワーしてくる。覗くなよ?」
「お背中流しますよ?」
「ガキがなに言ってんだか」
カラカラと笑い飛ばしながら廊下の奥にある浴室へ入った。
殺風景な部屋の残された俺は床に座って喉を潤わせた。
◆◆◆
明石先生が浴室に入って一五分弱経過した頃だった。
ペタペタと乾ききっていない足のまま先生が部屋に戻ってきたのだ。
ベージュのバスタオルに身を包みながらなにかを探している。
「先生……着替えてから出てきてくださいよ……」
「いやぁ、替えの下着を持って入るの忘れてな!」
クローゼットの前で腕を組み、思考を巡らせているようだ。
ブラジャーとパンツのカラーや柄でも迷っているのだろうか……
「おっ! 干してたんだ! すまん、青山弟。ベランダから取って来てくれ!」
「え!? 俺が!? 先生行けば――」
「LDKはタイルカーペット敷き詰めてるから濡らすのイヤなんだよ!」
「はいはい……取って来ます」
タイルカーペットは濡れた足で歩くのがイヤなのに、きれいなフローリングは大丈夫という基準が俺にはよくわからない。あまり押し問答をしても時間を食うだけなので、ここは言う通りに動くことにした。
明石紅衣邸のLDKはそこそこ広い。二〇畳前後といったところだ。
フローリングの上にはアイボリーのタイルカーペットがキッチリ隅々まで敷き詰められていた。
(ベランダはあそこか……)
リビングには黒いソファーとガラスのセンターテーブル、四二型の液晶テレビが設置。
テレビ台は寝室のより背が高めの木製で、どの家具もそこそこ高そうだ。
ベランダには一通りの洗濯物が干してある。
(げ! まさかこれか!?)
その中で一際ド派手な下着がやたらと目立つ。
真っ赤で花柄刺繍のブラジャーとパンツのセットだ。
他に下着は干していないため、これを持って来いと言っているに違いない。
大きくため息を吐き出しながら先生の待つ寝室へ戻る。
体を拭き終えたのか、それとも他に意図があってそうしているのか……
バスタオルは床に落ち、明石先生はベッドに大の字状態。
ツンと上を向いた乳頭やらワサッと茂った恥丘の毛が丸見えなのだ。
姉の裸など何度も見てきた。加奈子さんや来栖の裸も見た。
豊満な四条春香先輩の裸も見た。女性の裸体に免疫がついていると思い込んでいた。
しかし、それらのどの魅力とも違う。胸をえぐられるような感覚だ。
大人の色気というやつなのか、紗月姉の裸以上に興奮する。
(これは……理性飛びそうだ)
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