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【真幕・第1章】あねもね華撃っ 前編!
2.女教師の正体は噂の痴女なんですかっ!
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「先生は育休に入ります。その間、担任としてこのクラスを――――」
狭い教師の中、四〇人全員の視線が教卓に集まる。
注目されているのは我がクラス担任の相野ではなく、その隣りに立つ人物。
威風堂々、眼光は鋭く、空間を制圧しそうな勢いで睥睨する教師。
「あたしが代打バッターの明石紅衣だ! 空手部は知ってるよな?」
相野の紹介を待たずして言葉を遮るように自己紹介を始めてしまった。
里志ご期待の若い女教師が代わりの担任になるらしい。
俺はこの新担任の明石先生と面識がある。
明石紅衣、二五歳の独身。教師生活は四年目になるはずだ。
身長は一七〇センチほど、背は俺とあまり変わらない。
茶色のロングヘア、目つきは悪いがなかなかの美人だ。
スタイルは上の姉と同じく出るとこは出ているが、空手で鍛え込まれている。
この町最強の女子は青山紗月である。
しかし、この町最強の女は明石紅衣なのだ。
なぜなら、明石紅衣は紗月姉の空手の師匠でもあるからだ。
従姉の青山塁と空手女教師の明石紅衣、紗月姉はこの二人の影響が強い。
「あ、ええっと……それじゃあ明石先生、出欠からお願いします」
先輩教師の相野が明石先生に出席簿を手渡す。
それ持ってペチペチと教卓を叩きながら教室をジロリと見回す。
品定めをされているような妙な気分だ。
「出欠取るぞー! あー、あおやま!? おぉっ! お前がこのクラスにいるとはな」
「どうも……初めまして……1ーDの青山蒼太です」
「おいコラ、嘘つくな。紗月からいろいろ話は聞いてるんだぞ」
今度はクラス中の視線が教室の一番後ろの窓際に座る俺に向けられる。
女子は全員が疑問系の表情を浮かべ、男子はやや複雑な表情を浮かべる。
「明石先生……紗月姉が俺のことなにか言ってるんですか?」
「別に大したことじゃない。勃起時にすっかりズル剥けになったとか、朝立ちがない日は前の晩に三発はヌいているとか――」
「いらんことは言わないでくださいっ!」
教室のあちこちからクスクスと笑い声が聞こえる。
里志にいたっては腹を抱えて爆笑中である。椅子から転げ落ちてしまえばいいのに。
「青山弟! 放課後職員室に来るように!」
「なんで俺が……」
「少し手伝ってほしいことがある。知り合いのよしみってやつだ」
絶対そういうのを知り合いのよしみとは言わない。
クラスの中で一番古い知り合いをチョイスしただけではないか。
確かに姉がお世話になっている分、逆らい辛いのは確かだが……
出欠を取り終わると相野と明石先生は教室を出て行った。
即座に俺の周囲に人が集まり、質問攻めタイムが開始される。
★★★
「蒼太! あの先生といつ知り合った!?」
ホームルーム後の男子生徒からの質問攻めは上手に切り抜けた。
ほとんど誤魔化して、あやふやな答え方で済ませたのだ。
ただし、里志は一筋縄ではいかない。一時間目終了直後に迫って来た。
「いつって……二年前の姫咲高のオープンスクールだけど?」
「え? 中学二年でオープンスクール?」
「花穂姉ちゃんについて行ったんだよ。紗月姉の空手も見たかったし」
「あ! そうか! 紗月さんその頃から主将なんだよな!」
姉の紗月は高二の頃から女子空手部最強の主将だった。
その顧問である明石紅衣も段位持ちの達人で、姉をさらに強くした人物である。
この二人の組手が凄まじかったのを今でも鮮明に覚えている。
「里志……お前は紗月姉オンリーワンじゃなかったのか?」
「うーん。明石先生にはなんというか……」
「なんなんだよ」
「大人の赤いエロスが毛穴から吹き出ているような色気を感じる!」
「赤いの……血しぶきか……」
大人の色気と言えば、小柄な宮本先生から感じたことがあった。
やはり、あれは同年代の女子にはない魅力だと言えるだろう。
紗月姉や四条春香もその魅力に達していないということか……
「ところで、蒼太はなんで放課後呼ばれたんだ? エロエロじゃないだろうな!?」
「里志、そりゃ禁句だぞ。俺たちは一年坊で知らない奴も多いけど――」
「え? なんだよ? 怪しいぞ蒼太」
明石紅衣は教師になってから四年目、この学校に来る前は公立高校にいた。
これははっきり聞いた話ではない。あくまでも噂に過ぎないのだが……
「明石先生は二年や三年から痴女先生って影で言われてるの知ってるか?」
「は? なんだよそれ? 先輩方失礼じゃねぇの?」
「噂があるんだ。事実かどうかはわからない。絶対人に言うなよ」
俺はこの話を花穂姉ちゃんから聞いた。
花穂姉ちゃんも学内の誰かから聞いたと言っていた。
「なんなんだ?」
「明石先生は公立高校で男子生徒と問題を起こしたらしい……」
狭い教師の中、四〇人全員の視線が教卓に集まる。
注目されているのは我がクラス担任の相野ではなく、その隣りに立つ人物。
威風堂々、眼光は鋭く、空間を制圧しそうな勢いで睥睨する教師。
「あたしが代打バッターの明石紅衣だ! 空手部は知ってるよな?」
相野の紹介を待たずして言葉を遮るように自己紹介を始めてしまった。
里志ご期待の若い女教師が代わりの担任になるらしい。
俺はこの新担任の明石先生と面識がある。
明石紅衣、二五歳の独身。教師生活は四年目になるはずだ。
身長は一七〇センチほど、背は俺とあまり変わらない。
茶色のロングヘア、目つきは悪いがなかなかの美人だ。
スタイルは上の姉と同じく出るとこは出ているが、空手で鍛え込まれている。
この町最強の女子は青山紗月である。
しかし、この町最強の女は明石紅衣なのだ。
なぜなら、明石紅衣は紗月姉の空手の師匠でもあるからだ。
従姉の青山塁と空手女教師の明石紅衣、紗月姉はこの二人の影響が強い。
「あ、ええっと……それじゃあ明石先生、出欠からお願いします」
先輩教師の相野が明石先生に出席簿を手渡す。
それ持ってペチペチと教卓を叩きながら教室をジロリと見回す。
品定めをされているような妙な気分だ。
「出欠取るぞー! あー、あおやま!? おぉっ! お前がこのクラスにいるとはな」
「どうも……初めまして……1ーDの青山蒼太です」
「おいコラ、嘘つくな。紗月からいろいろ話は聞いてるんだぞ」
今度はクラス中の視線が教室の一番後ろの窓際に座る俺に向けられる。
女子は全員が疑問系の表情を浮かべ、男子はやや複雑な表情を浮かべる。
「明石先生……紗月姉が俺のことなにか言ってるんですか?」
「別に大したことじゃない。勃起時にすっかりズル剥けになったとか、朝立ちがない日は前の晩に三発はヌいているとか――」
「いらんことは言わないでくださいっ!」
教室のあちこちからクスクスと笑い声が聞こえる。
里志にいたっては腹を抱えて爆笑中である。椅子から転げ落ちてしまえばいいのに。
「青山弟! 放課後職員室に来るように!」
「なんで俺が……」
「少し手伝ってほしいことがある。知り合いのよしみってやつだ」
絶対そういうのを知り合いのよしみとは言わない。
クラスの中で一番古い知り合いをチョイスしただけではないか。
確かに姉がお世話になっている分、逆らい辛いのは確かだが……
出欠を取り終わると相野と明石先生は教室を出て行った。
即座に俺の周囲に人が集まり、質問攻めタイムが開始される。
★★★
「蒼太! あの先生といつ知り合った!?」
ホームルーム後の男子生徒からの質問攻めは上手に切り抜けた。
ほとんど誤魔化して、あやふやな答え方で済ませたのだ。
ただし、里志は一筋縄ではいかない。一時間目終了直後に迫って来た。
「いつって……二年前の姫咲高のオープンスクールだけど?」
「え? 中学二年でオープンスクール?」
「花穂姉ちゃんについて行ったんだよ。紗月姉の空手も見たかったし」
「あ! そうか! 紗月さんその頃から主将なんだよな!」
姉の紗月は高二の頃から女子空手部最強の主将だった。
その顧問である明石紅衣も段位持ちの達人で、姉をさらに強くした人物である。
この二人の組手が凄まじかったのを今でも鮮明に覚えている。
「里志……お前は紗月姉オンリーワンじゃなかったのか?」
「うーん。明石先生にはなんというか……」
「なんなんだよ」
「大人の赤いエロスが毛穴から吹き出ているような色気を感じる!」
「赤いの……血しぶきか……」
大人の色気と言えば、小柄な宮本先生から感じたことがあった。
やはり、あれは同年代の女子にはない魅力だと言えるだろう。
紗月姉や四条春香もその魅力に達していないということか……
「ところで、蒼太はなんで放課後呼ばれたんだ? エロエロじゃないだろうな!?」
「里志、そりゃ禁句だぞ。俺たちは一年坊で知らない奴も多いけど――」
「え? なんだよ? 怪しいぞ蒼太」
明石紅衣は教師になってから四年目、この学校に来る前は公立高校にいた。
これははっきり聞いた話ではない。あくまでも噂に過ぎないのだが……
「明石先生は二年や三年から痴女先生って影で言われてるの知ってるか?」
「は? なんだよそれ? 先輩方失礼じゃねぇの?」
「噂があるんだ。事実かどうかはわからない。絶対人に言うなよ」
俺はこの話を花穂姉ちゃんから聞いた。
花穂姉ちゃんも学内の誰かから聞いたと言っていた。
「なんなんだ?」
「明石先生は公立高校で男子生徒と問題を起こしたらしい……」
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