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【本幕・番外編】くりすてぃーなっ
0.姉らが牡牛で作戦名が決定しますよっ!
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まえがき
※来栖有紀視点の「姉らぶるっ!!本幕」最後のエピソードです。
___________________________
六月中旬。土曜日の午後。
クリスティーナは、定期的に養父結城海斗と連絡を取る。
ゴロリとベッドに横になり、父の声に耳を傾けている。
「お父さん、元気? 日本の夏は、すごく蒸し暑いわ」
『僕も今、ニューヨークだけど、こっちも気温が高くてね……』
「蒼太君はもう大丈夫よ。青山家の姉たちも少し大人しくなったみたい」
『ご苦労だった、クリスティーナ』
クリスは目を閉じて、養女に来た頃を思い返す。
次に浮かぶのは、姫咲高校に転入して青山花穂に出会ったことだ。
「青山花穂に近づくのは大変だったの。疑り深いし、策士だから」
『あの姉らは、牡牛の勢いで蒼太を奪い合う。僕は蒼太が小さい頃から、それが心配でたまらなかった』
「牡牛の勢いって……蒼太君が闘牛士の持つ赤い布みたいな例えね」
『君はやり遂げてくれた。青山花穂に近づき、それを利用して蒼太と接近した。青山塁と組み、蒼太に姉からの自立を促した。そして、最後は本人が牡牛の如く迫る姉らと距離を置く方法を学んだ』
「お父さんの心配事が、一つ消えたわね」
『あとは、元気なうちに青葉に蒼太を会わせて――』
「この前、一緒に会いに行ったの。すごく喜んで、最近は体調もいいみたい」
しばらく、電話の向こうが静かになった。
グスグスと鼻をすする音が聞こえて来る。クリスは父の気持ちを察した。
『そ、そうか。会ったのか……なにからなにまですまない』
「いいの。本来なら義姉なんだから」
『君まで姉らと一緒になって、牡牛のように蒼太に迫ったりしないでくれよ……』
「お父さんからのミッションはコンプリートねっ!」
『ああ、充分過ぎる程だ。作戦名をつけたいぐらいの成果だよ』
クリスは起き上がって、ガラス戸を開いた。
生暖かい風が部屋の中に入って来る。日本の暑い暑い夏の足音が聞こえる。
「作戦名? 決まってるじゃない」
『決まってる?』
「――姉ら牡牛っ!!」
____________________________
あとがき
※最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
※これにて、「姉らぶるっ!!」終幕となり……えっ!? おや?
※来栖有紀視点の「姉らぶるっ!!本幕」最後のエピソードです。
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六月中旬。土曜日の午後。
クリスティーナは、定期的に養父結城海斗と連絡を取る。
ゴロリとベッドに横になり、父の声に耳を傾けている。
「お父さん、元気? 日本の夏は、すごく蒸し暑いわ」
『僕も今、ニューヨークだけど、こっちも気温が高くてね……』
「蒼太君はもう大丈夫よ。青山家の姉たちも少し大人しくなったみたい」
『ご苦労だった、クリスティーナ』
クリスは目を閉じて、養女に来た頃を思い返す。
次に浮かぶのは、姫咲高校に転入して青山花穂に出会ったことだ。
「青山花穂に近づくのは大変だったの。疑り深いし、策士だから」
『あの姉らは、牡牛の勢いで蒼太を奪い合う。僕は蒼太が小さい頃から、それが心配でたまらなかった』
「牡牛の勢いって……蒼太君が闘牛士の持つ赤い布みたいな例えね」
『君はやり遂げてくれた。青山花穂に近づき、それを利用して蒼太と接近した。青山塁と組み、蒼太に姉からの自立を促した。そして、最後は本人が牡牛の如く迫る姉らと距離を置く方法を学んだ』
「お父さんの心配事が、一つ消えたわね」
『あとは、元気なうちに青葉に蒼太を会わせて――』
「この前、一緒に会いに行ったの。すごく喜んで、最近は体調もいいみたい」
しばらく、電話の向こうが静かになった。
グスグスと鼻をすする音が聞こえて来る。クリスは父の気持ちを察した。
『そ、そうか。会ったのか……なにからなにまですまない』
「いいの。本来なら義姉なんだから」
『君まで姉らと一緒になって、牡牛のように蒼太に迫ったりしないでくれよ……』
「お父さんからのミッションはコンプリートねっ!」
『ああ、充分過ぎる程だ。作戦名をつけたいぐらいの成果だよ』
クリスは起き上がって、ガラス戸を開いた。
生暖かい風が部屋の中に入って来る。日本の暑い暑い夏の足音が聞こえる。
「作戦名? 決まってるじゃない」
『決まってる?』
「――姉ら牡牛っ!!」
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あとがき
※最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
※これにて、「姉らぶるっ!!」終幕となり……えっ!? おや?
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