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【本幕・第12章】清廉な加奈子さんっ
4.姉との会話が噛み合っていませんねっ!
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走り寄って来た加奈子さんを抱き留めるような格好だが……
俺の体には、小ぶりなおっぱい撃が炸裂中。
一方の加奈子さんの体には、天を突く勢いのカチコチ棒が炸裂中だ。
さて、この抱擁はなにを意味するのか、考える暇もなく先に動いたのは加奈子さんだった。
俺の下半身の形状も気にせずに、バスタオルで俺の体をワシワシと拭き始める。まるで母親が、水遊びを終えた我が子の世話をしているみたいだ。
「ええっと、加奈子さん?」
「いけません……お風呂上がりに裸で歩き回って……」
「あの、加奈子さんも裸だけど? 全部見えてるよ?」
「……ぁっ!!」
小さな悲鳴をあげて、加奈子さんはその場にうずくまった。
自分が全裸であることを忘れる天然系お嬢様、それが結城加奈子さんなのだ。
俺はそっと、加奈子さんの肩にバスタオルを掛けた。
「リビングで着替えるよ」
「はい……」
寝室から一旦リビングへ出て、着替えようとしたが……
パンツがないことに気づく。スウェットに直穿きするのは気が引ける。
だからと言って、加奈子さんのパンツを貸りるわけにもいかない。
「どうしよう……加奈子さんに聞いてみるか」
リビングから寝室へのドアは開いたままだ。
既に加奈子さんは着替えが済んで、髪をといているだろうと思っていた。
「……弟君。女の子の着替えを覗いてはいけません……」
パンツを引き上げる真っ最中だったようだ。
柄物の濃いピンクの上下を身につけている。
「その下着、すごく可愛い……」
思わず心の声が漏れてしまう。
加奈子さんは、地味な白の下着のイメージが強い分、新鮮で刺激が強い。
「弟君……蒼太。服を着なさい……」
俺はさっきから、何度か加奈子さんに叱られているらしい。
口調が穏やか過ぎて、まったく叱られている実感がなかった。
言われるがまま、加奈子さんのスウェットを着用した。
女性用のLサイズだが、かなり小さくて体型に合わない。
「どうして……」
「え?」
白無地のカットソーとデニム生地のスキニーパンツ姿で、加奈子さんが寝室から出て来た。リビングのガラステーブルの前に座る俺を見て、不思議そうな表情をする。
「あの……どうして、弟君のここは大きくなったままなんですか?」
「加奈子さん! これを説明してもいいの!? 大人の階段だよ?」
「弟君より……大人です」
「加奈子さんの裸を見て、興奮したままなんだ……言葉にすると恥ずかしいな」
「どうすれば……治るのでしょうか?」
ここでの返答は、二種類ある。
シモネタを控えめに言って、加奈子さん目線に性知識を合わせるのが一つ。
もう一つ、ドン引きレベルではっきりと俺の欲望を伝えてしまう。
やはり、花穂姉ちゃんが危惧する程のブラコンを確認するなら後者だ。
「加奈子さんとセックスして、射精しないと治らない」
「わかりました……」
シュッと立ち上がった加奈子さんは、俺の手を引いてベッドルームへ入った。
ベッドを通り過ぎて、さらに奥の部屋に向かう。その部屋は以前来たときに、琴を聞かせてもらった場所だ。部屋の真ん中に二畳の薄ピンクのラグ、その上にポツンと琴だけが置いてある。
「加奈子さん?」
三段の収納から金属製の木管楽器を取り出した。
さらに下の収納から、絵画用のキャンバスらしき物体も出てきた。
「わたしとサックスして、写生すれば治りますか?」
「うんうん。それそれ! サックス吹いてー! 絵を描いてー!」
来栖の奴……なにが『ゴムつきソータセージチュパラブ作戦』だ。
加奈子さんは迫って来るどころか、天然過ぎて意味が通じてないではないか!
駆け引きもなにも成り立っていない。天然ボケ少女との、ただの会話だ。
「弟君……吹けるのですか?」
「いいや。冗談だよ。俺は今日、加奈子さんに聞きたいことあって来たんだ」
リビングに置きっぱなしの鞄の中から、DNA鑑定書を取り出した。
それを加奈子さんに見せる前に、確認しておきたいことがある。
この部屋に来てから、加奈子さんに目立ったブラコン行為がない。
姉二人や来栖が、大げさ過ぎたんじゃないかと疑いを持つレベルだ。
危なっかしい場面もあったが、凄まじいまでの天然ボケっぷりだ。
「前に……弟君が……蒼太がここへ来たときです」
「え? 俺が前に来たとき?」
加奈子さんのブラコン度を確認する質問を考えている途中に先手を打たれた。
「どうして泣いていたんですか? ずっと心配で……」
「ええ!? あれは、加奈子さんがお姉さんだと知ってショックと言うか……いや、加奈子さんも泣いてたよね?」
「春先はアレルギー症状が出るんです……」
頭の上に三つぐらい大きなハテナマークが出そうだ。
どこか会話が噛み合っていない。俺はあの日、この人が実姉だと知り泣いた。
結ばれることがない宿命に、憂いの涙を流していたんだと思う。
「これを見て欲しいんだ。俺の実父の名前が書いてある」
「……これは……」
「加奈子さん。俺はあの日、大好きな加奈子さんが姉と知ってショックで泣いたんだ。ずっと一緒にいたい人と結ばれない。姉と結ばれる弟なんて、世間的には異状だからね……」
「弟君が……弟? わたしの弟ですか? 弟君は紗月さんと花穂さんの弟です」
はぐらかされているのか、それとも天然ボケなのか不明だ。
そもそも、DNA鑑定書を見てリアクションがほとんどないのも妙だ。
「俺は結城家から青山家に養子に出された。加奈子さんの弟じゃないか……」
「あの……弟君は、弟ではない……です」
俺の体には、小ぶりなおっぱい撃が炸裂中。
一方の加奈子さんの体には、天を突く勢いのカチコチ棒が炸裂中だ。
さて、この抱擁はなにを意味するのか、考える暇もなく先に動いたのは加奈子さんだった。
俺の下半身の形状も気にせずに、バスタオルで俺の体をワシワシと拭き始める。まるで母親が、水遊びを終えた我が子の世話をしているみたいだ。
「ええっと、加奈子さん?」
「いけません……お風呂上がりに裸で歩き回って……」
「あの、加奈子さんも裸だけど? 全部見えてるよ?」
「……ぁっ!!」
小さな悲鳴をあげて、加奈子さんはその場にうずくまった。
自分が全裸であることを忘れる天然系お嬢様、それが結城加奈子さんなのだ。
俺はそっと、加奈子さんの肩にバスタオルを掛けた。
「リビングで着替えるよ」
「はい……」
寝室から一旦リビングへ出て、着替えようとしたが……
パンツがないことに気づく。スウェットに直穿きするのは気が引ける。
だからと言って、加奈子さんのパンツを貸りるわけにもいかない。
「どうしよう……加奈子さんに聞いてみるか」
リビングから寝室へのドアは開いたままだ。
既に加奈子さんは着替えが済んで、髪をといているだろうと思っていた。
「……弟君。女の子の着替えを覗いてはいけません……」
パンツを引き上げる真っ最中だったようだ。
柄物の濃いピンクの上下を身につけている。
「その下着、すごく可愛い……」
思わず心の声が漏れてしまう。
加奈子さんは、地味な白の下着のイメージが強い分、新鮮で刺激が強い。
「弟君……蒼太。服を着なさい……」
俺はさっきから、何度か加奈子さんに叱られているらしい。
口調が穏やか過ぎて、まったく叱られている実感がなかった。
言われるがまま、加奈子さんのスウェットを着用した。
女性用のLサイズだが、かなり小さくて体型に合わない。
「どうして……」
「え?」
白無地のカットソーとデニム生地のスキニーパンツ姿で、加奈子さんが寝室から出て来た。リビングのガラステーブルの前に座る俺を見て、不思議そうな表情をする。
「あの……どうして、弟君のここは大きくなったままなんですか?」
「加奈子さん! これを説明してもいいの!? 大人の階段だよ?」
「弟君より……大人です」
「加奈子さんの裸を見て、興奮したままなんだ……言葉にすると恥ずかしいな」
「どうすれば……治るのでしょうか?」
ここでの返答は、二種類ある。
シモネタを控えめに言って、加奈子さん目線に性知識を合わせるのが一つ。
もう一つ、ドン引きレベルではっきりと俺の欲望を伝えてしまう。
やはり、花穂姉ちゃんが危惧する程のブラコンを確認するなら後者だ。
「加奈子さんとセックスして、射精しないと治らない」
「わかりました……」
シュッと立ち上がった加奈子さんは、俺の手を引いてベッドルームへ入った。
ベッドを通り過ぎて、さらに奥の部屋に向かう。その部屋は以前来たときに、琴を聞かせてもらった場所だ。部屋の真ん中に二畳の薄ピンクのラグ、その上にポツンと琴だけが置いてある。
「加奈子さん?」
三段の収納から金属製の木管楽器を取り出した。
さらに下の収納から、絵画用のキャンバスらしき物体も出てきた。
「わたしとサックスして、写生すれば治りますか?」
「うんうん。それそれ! サックス吹いてー! 絵を描いてー!」
来栖の奴……なにが『ゴムつきソータセージチュパラブ作戦』だ。
加奈子さんは迫って来るどころか、天然過ぎて意味が通じてないではないか!
駆け引きもなにも成り立っていない。天然ボケ少女との、ただの会話だ。
「弟君……吹けるのですか?」
「いいや。冗談だよ。俺は今日、加奈子さんに聞きたいことあって来たんだ」
リビングに置きっぱなしの鞄の中から、DNA鑑定書を取り出した。
それを加奈子さんに見せる前に、確認しておきたいことがある。
この部屋に来てから、加奈子さんに目立ったブラコン行為がない。
姉二人や来栖が、大げさ過ぎたんじゃないかと疑いを持つレベルだ。
危なっかしい場面もあったが、凄まじいまでの天然ボケっぷりだ。
「前に……弟君が……蒼太がここへ来たときです」
「え? 俺が前に来たとき?」
加奈子さんのブラコン度を確認する質問を考えている途中に先手を打たれた。
「どうして泣いていたんですか? ずっと心配で……」
「ええ!? あれは、加奈子さんがお姉さんだと知ってショックと言うか……いや、加奈子さんも泣いてたよね?」
「春先はアレルギー症状が出るんです……」
頭の上に三つぐらい大きなハテナマークが出そうだ。
どこか会話が噛み合っていない。俺はあの日、この人が実姉だと知り泣いた。
結ばれることがない宿命に、憂いの涙を流していたんだと思う。
「これを見て欲しいんだ。俺の実父の名前が書いてある」
「……これは……」
「加奈子さん。俺はあの日、大好きな加奈子さんが姉と知ってショックで泣いたんだ。ずっと一緒にいたい人と結ばれない。姉と結ばれる弟なんて、世間的には異状だからね……」
「弟君が……弟? わたしの弟ですか? 弟君は紗月さんと花穂さんの弟です」
はぐらかされているのか、それとも天然ボケなのか不明だ。
そもそも、DNA鑑定書を見てリアクションがほとんどないのも妙だ。
「俺は結城家から青山家に養子に出された。加奈子さんの弟じゃないか……」
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