姉らぶるっ!!

藍染惣右介兵衛

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【本幕・第12章】清廉な加奈子さんっ

3.姉が大胆なのか天然かわかりませんっ!

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「あ……弟君」

 鏡越しに見る加奈子さんが、びっくりした顔をする。
俺もなにがなんだかわからない状態だ。

 姉二人が、俺の入浴中に侵入する事案は頻繁に発生してきたが……
なぜ、加奈子さんが入って来る。そして、なぜ驚く。驚いているのは俺の方だ。

「えっと、あの、加奈子さん?」
「ごめんなさい……弟君が入っているのを忘れていました……」

 シャワーの音は、洗濯機のモーター音にかき消されて聞こえない。
パンツ以外の衣類は、すべて洗濯機の中だ。脱衣場に用意されているのは、加奈子さんが用意してくれたスウェットのみ。

 だからと言って、本当に気づかないのだろうか。
これは結城加奈子のブラコン行為そのものではないのか。
逃げるか、確かめるかの選択を迫られている気がする。

「いいよ。俺は一旦出る――ヘックショィッ!!」
「風邪ひいてしまいます。そのまま、シャワーを浴びてください……」

 加奈子さんは風呂場の隅に置いてあるスポンジにボディソープをつけた。
それを持って、俺の背後にゆっくりとしゃがみこむ。

「ええ……」
「……前もこうして、紗月さんと花穂さんと、弟君の背中を流しましたね」
「あれは、紗月姉のくだらない実験だけどね」

 ロングヘアをトップで束ねて、真っ白いバスタオル一枚だけの姿。
鏡に映る加奈子さんを見る度に鼓動が高くなる。

「あの、弟君……」
「ん?」

 振り返る前に、鏡は加奈子さんの裸体を映し出した。
故意に落としたのではなく、緩々に巻いたバスタオルが取れたのだ。
小ぶりな乳房と薄らとした陰毛が露わとなった。

「か、加奈子さん! タオル!」
「あっ!」

 慌てた加奈子さんがバスタオルを拾い上げて、前を素早く隠す。
姉たちのようにフルオープンしない分、まだマシな方だと思える。
本当にこの人がブラコンなのか、踏み込んで確かめようと決めた。

「今度は加奈子さんの番。前隠してここ座って」
「……弟君が背中を流してくれるんですか?」
「うん。前も洗ってもいいよ!」

 ボンッと湯気が立ちそうな程、加奈子さんが赤面する。
白い肌を赤く染めつつも、バスチェアに座って背中を披露している。
俺はスポンジを受け取って、加奈子さんの背中を擦り始めた。

「前は……自分で洗います。弟君、いやらしいです」
「加奈子さんの背中、白くて綺麗だな」
「恥ずかしい……」

 俺には、わからなくなっていた。加奈子さんは姉たちの反応とまるで違う。
正真正銘、乙女の反応である。性経験のない少女が、恥ずかしがっているだけだ。

「あっ!」
「……どうしたのですか?」

 大きめの腰巻きタオルの中で、砲台が上を向いている。
鏡越しに加奈子さんと一瞬視線がぶつかって、少し気まずい雰囲気になった。
俺の股間は盛り上がり、加奈子さんの背中に銃口をつきつけているようだ。

「加奈子さん。前も洗うだろ? 俺、先に出るから――」
「弟君も背中しか流してません……」

 風呂場から出ようとする俺の左手首をグイと掴まれて制止された。
振りほどいて出れば済む弱い力なのに、それができない。

「わかった。先に流すよ」

 シャワーの勢いを強めにして、全身に湯を浴びた。
加奈子さんはバスチェアに座って、こちらに背を向けている。
チラリと横目に見ると、前を洗っているようだ。

 小動物のような動きで、首筋から足元まで洗う加奈子さん。
一方、俺はギンギンにたぎらせながらも、シャワーを終えた。
これ以上、この場にいると理性が飛びそうだ。

「弟君……シャワーを貸してください」

 こちらを向きながら、加奈子さんは手を差し伸べた。
しかし、またもやバスタオルが地面に落っこちたのだ。

「わっ! タオル!」
「タオル巻いていては……シャワーできません……」

 シャワーヘッドを受け取った加奈子さんは、そのまま湯を浴び始めた。
たっぷりと水分を含んだバスタオルは落ちたままだ。

「それじゃあ、俺は先に出るよ」
「はい……」

 浴室のドアを開いて、大きくため息を落とす。
加奈子さんの行動にしては、かなり大胆だと言える。
ただ、姉二人のブラコン行為と比較するとソフトな方だと思える。
花穂姉ちゃんが危惧する程のものなのか、やはり疑問が残る。

「あれ!? パンツがない!」
「弟君の下着も洗濯機に……」
「えぇ!? おわっ!!」

 風呂場から出てきた加奈子さんは、バスタオルを手に携えて全裸だった。
脱衣場でフル勃起全裸の俺と、水も滴る美少女の加奈子さんがご対面。

 天然なのか、加奈子さんは俺が体を拭くはずのバスタオルを自分で使用していた。
つまり、体の水分を拭えるものがなにもない。下半身を隠すものさえない。

「弟君……新しいタオル持って来ますね」
「う、うん。加奈子さんも隠してくれないと困るよ……」

 そこからは、俺の知らない結城加奈子と化した。
まず、恥じらう様子すらなく、堂々とリビングへ全裸で歩いて行く。

 時間にして数十秒だろうか。呆気に取られていたのだ。
無性に加奈子さんが心配になって、裸のまま追いかけていた。

 黒で統一されたベッドルームで、加奈子さんはクローゼットを開く。
すぐにバスタオルを二枚取り出し、俺が来たことに気づいて驚く。

「……弟君。裸でウロウロしてはダメです……」
「加奈子さんも裸じゃないか……」
「弟君……蒼太!」

 バスタオルを持って、小走りに歩み寄って来た。
ベッドルームに静寂が訪れる。鼓動の音と性的興奮度が高まるばかりだ。

 加奈子さんと俺は、一糸まとわぬ姿のまま抱擁し続けた……
それは、まるで男女が行為に及ぶ前のように……
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