157 / 217
【本幕・番外編】妹らぶるっ!!
0.妹に幻想を抱くのは間違いなんですよ!
しおりを挟む
まえがき
※元々「姉らぶるっ!!」のスピンオフ作品でした。
※別作品扱いにしていましたが、統合しました。
※蒼太の親友、朝峰里志視点となります。
______________________________
絶対に間違えている!
世間一般、いや二次元も三次元も全部含めてそうだ。
いもうとなんて、そうそう可愛げがあるもんじゃねえ。
特に双子の妹なんてのがいる俺にとって……
「にーいさん、起きませうー!」
「――なんだよ。うっせぇなぁ……あ?」
完全覚醒まで脳が高速処理を開始。耳に入った音声を分析中。
ダメだ、どっちかわからん。双子ってのは声帯も似るもんだ。
ただ、こいつは呼び方がもう一匹と違う。俺を兄さんと呼んだ。
「……夘月……てめぇ、また人の布団に潜り込みやがって!」
「にいさん、その逞しいお体の温もりに触れていたいのですぅ」
「ちょっ! ちょっとヤメ……」
俺の朝は、ほぼ毎日こんな感じでバッドスタートする。
双子の妹のどちらかが、必ず起こしに来てくれるのだ。
「あらま、にいさん……今朝も海綿体がパンパンですねぇ」
「おまっ! どこ触ってんだ! 早くどけっての!」
夘月が布団の中で、ボクサーブリーフの膨らみに触れてくる。
体の上に肉布団、もとい妹が覆いかぶさって俺の股間を弄る。
日常光景なんだ。これが俺のごく普通の一日の始まり始まり……
こうして毎朝毎朝双子の妹のどちらかが、思春期の好奇心を丸出しにしてくれるおかげ様で俺は無遅刻を貫いているわけだ。今日、俺を起こしたのが双子の妹朝峰夘月、中学三年で成績はトップだ。黒髪ロングの前髪パッツン美人、おっとりした性格で一見するとモテ女だが、騙されちゃいけねぇ。
「夘月……お前さ、ブラパン姿で部屋入ってくんなって」
「どうです? おにゅーのセット。羽月ちゃんよりセクシー?」
「そうだなぁ。中身はともかく、色柄はいいんじゃないか」
「ぶー! 中身はどうせ羽月ちゃんに負けてますよーだ!」
夘月は必ず、制服を着る寸前に俺を起こしに来る。
つまり上は今のようなブラジャー一枚、下はショーツ一枚だけの姿を晒す。
「……さてと、起きるか! って、あれ? 羽月は部活か?」
「羽月ちゃん、朝練行きました。家にいません。キスしましょう」
「なんで羽月がいないとキスになるんだ。さっさと着替えて学校行けっての!」
ベッドの上でキス顔をする夘月をスルーして、クローッゼットを開く。
俺は今月、市内の高校に進学したばかりだ。
妹二人はこれまた市内の中学校に通っている。
双子の姉朝峰羽月は、活発的でリーダーシップを発揮するタイプの人間である。中学最後の陸上地区大会に向けて、今朝も練習らしい。
朝峰里志、一五歳。姫咲高等学校の一年。
部活はしていないが、柔道の経験者だ。ガッチリ体型の親父に似たのか一八〇センチ、七五キロの格闘家体型を維持している。もちろん、日々鍛錬は怠らない。
「じゃあね! にいさん」
「おお! とっとと行ってこい!」
玄関の施錠を終えると通学路に出る。
俺も夘月も住宅街を抜けて、公園やスポーツクラブがある方向へ歩く。
公園を通り過ぎると姫咲高校だ。そこで夘月と分かれる。
羽月と夘月が通う中学は俺の母校でもある。
「おはよ。里志」
「うぃす、蒼太」
これもほぼ毎日のタイミングだと言えるな。
親友というか、青山蒼太は腐れ縁の悪友だ。容姿では俺が勝るかもしれないが、こいつには腹立つほど羨ましい点が二つほどある。
一つはやっぱり妹がいないことだよな。もう一つ、こいつには美人なお姉さんが二人もいる。しかも、学内で噂になるほどの美形だ。俺の長年の憧れである一番上のお姉さんはこの春卒業して、隣県の大学に進学してしまった。再会が待ち遠しいもんだ。
「……どうした里志」
「紗月さん、あれから土日も帰ってきてないのか?」
「紗月姉か? ああ、そういやまだ一度も帰ってきてないな」
「おい。大丈夫なんだろうな? 大学行って俺の紗月さんが揉みちゅぱに……」
「お前な、うちの変態姉たちが俺以外狙うと思うか?」
そう、諸悪の根源とも言える発言をするこいつ。
クッソ羨ましいことに蒼太は二人の姉から愛され過ぎている。
つまり、親友であり恋敵でもあると言える。
「ああー! むかつくほど羨ましいぞ! 蒼太、俺と替われ!」
「羨ましい? 里志、お前のとこの可愛い妹二人のほうが最高じゃないか」
「あ? 妹なんて屁だぜ。姉ちゃん欲しかったなぁー」
「羽月ちゃんも夘月ちゃんも、あんなに可愛いのに?」
「いーや! 絶対、蒼太の姉ちゃん二人のがいい!」
「うちの姉ちゃん二人はすごいぞ。えげつないというか……」
「くそ。お前、贅沢な悩みだな」
こんな会話をこいつと何度してきただろう。
どっちも妹や姉を自慢することなく、ただ相手の姉や妹を羨んでいるのだ。
「この前も花穂姉ちゃん、俺のベッドに忍び込むし」
「今朝は夘月にそれやられたぞ。色気づいたブラパン付けやがって!」
「羽月ちゃんと夘月ちゃんみたいな妹欲しかったなぁ……」
「紗月さんや花穂さんみたいな姉が欲しかったぁ……」
……とこんな具合で近況報告をし合うのが日常の風景だ。
こういう話もただ単に相手を羨んで終わるのだが、俺たちはこう締め括る。
「この妹らぶるが!」
「蒼太、お前は姉らぶるだろ!」
親友曰く、俺様は妹らぶるだとさ。
なんだそれは。ラブった覚えは全然ねーぞ。
_____________________________
あとがき
※次回から「あねまっくす真撃っ 前編」が始まります。
※元々「姉らぶるっ!!」のスピンオフ作品でした。
※別作品扱いにしていましたが、統合しました。
※蒼太の親友、朝峰里志視点となります。
______________________________
絶対に間違えている!
世間一般、いや二次元も三次元も全部含めてそうだ。
いもうとなんて、そうそう可愛げがあるもんじゃねえ。
特に双子の妹なんてのがいる俺にとって……
「にーいさん、起きませうー!」
「――なんだよ。うっせぇなぁ……あ?」
完全覚醒まで脳が高速処理を開始。耳に入った音声を分析中。
ダメだ、どっちかわからん。双子ってのは声帯も似るもんだ。
ただ、こいつは呼び方がもう一匹と違う。俺を兄さんと呼んだ。
「……夘月……てめぇ、また人の布団に潜り込みやがって!」
「にいさん、その逞しいお体の温もりに触れていたいのですぅ」
「ちょっ! ちょっとヤメ……」
俺の朝は、ほぼ毎日こんな感じでバッドスタートする。
双子の妹のどちらかが、必ず起こしに来てくれるのだ。
「あらま、にいさん……今朝も海綿体がパンパンですねぇ」
「おまっ! どこ触ってんだ! 早くどけっての!」
夘月が布団の中で、ボクサーブリーフの膨らみに触れてくる。
体の上に肉布団、もとい妹が覆いかぶさって俺の股間を弄る。
日常光景なんだ。これが俺のごく普通の一日の始まり始まり……
こうして毎朝毎朝双子の妹のどちらかが、思春期の好奇心を丸出しにしてくれるおかげ様で俺は無遅刻を貫いているわけだ。今日、俺を起こしたのが双子の妹朝峰夘月、中学三年で成績はトップだ。黒髪ロングの前髪パッツン美人、おっとりした性格で一見するとモテ女だが、騙されちゃいけねぇ。
「夘月……お前さ、ブラパン姿で部屋入ってくんなって」
「どうです? おにゅーのセット。羽月ちゃんよりセクシー?」
「そうだなぁ。中身はともかく、色柄はいいんじゃないか」
「ぶー! 中身はどうせ羽月ちゃんに負けてますよーだ!」
夘月は必ず、制服を着る寸前に俺を起こしに来る。
つまり上は今のようなブラジャー一枚、下はショーツ一枚だけの姿を晒す。
「……さてと、起きるか! って、あれ? 羽月は部活か?」
「羽月ちゃん、朝練行きました。家にいません。キスしましょう」
「なんで羽月がいないとキスになるんだ。さっさと着替えて学校行けっての!」
ベッドの上でキス顔をする夘月をスルーして、クローッゼットを開く。
俺は今月、市内の高校に進学したばかりだ。
妹二人はこれまた市内の中学校に通っている。
双子の姉朝峰羽月は、活発的でリーダーシップを発揮するタイプの人間である。中学最後の陸上地区大会に向けて、今朝も練習らしい。
朝峰里志、一五歳。姫咲高等学校の一年。
部活はしていないが、柔道の経験者だ。ガッチリ体型の親父に似たのか一八〇センチ、七五キロの格闘家体型を維持している。もちろん、日々鍛錬は怠らない。
「じゃあね! にいさん」
「おお! とっとと行ってこい!」
玄関の施錠を終えると通学路に出る。
俺も夘月も住宅街を抜けて、公園やスポーツクラブがある方向へ歩く。
公園を通り過ぎると姫咲高校だ。そこで夘月と分かれる。
羽月と夘月が通う中学は俺の母校でもある。
「おはよ。里志」
「うぃす、蒼太」
これもほぼ毎日のタイミングだと言えるな。
親友というか、青山蒼太は腐れ縁の悪友だ。容姿では俺が勝るかもしれないが、こいつには腹立つほど羨ましい点が二つほどある。
一つはやっぱり妹がいないことだよな。もう一つ、こいつには美人なお姉さんが二人もいる。しかも、学内で噂になるほどの美形だ。俺の長年の憧れである一番上のお姉さんはこの春卒業して、隣県の大学に進学してしまった。再会が待ち遠しいもんだ。
「……どうした里志」
「紗月さん、あれから土日も帰ってきてないのか?」
「紗月姉か? ああ、そういやまだ一度も帰ってきてないな」
「おい。大丈夫なんだろうな? 大学行って俺の紗月さんが揉みちゅぱに……」
「お前な、うちの変態姉たちが俺以外狙うと思うか?」
そう、諸悪の根源とも言える発言をするこいつ。
クッソ羨ましいことに蒼太は二人の姉から愛され過ぎている。
つまり、親友であり恋敵でもあると言える。
「ああー! むかつくほど羨ましいぞ! 蒼太、俺と替われ!」
「羨ましい? 里志、お前のとこの可愛い妹二人のほうが最高じゃないか」
「あ? 妹なんて屁だぜ。姉ちゃん欲しかったなぁー」
「羽月ちゃんも夘月ちゃんも、あんなに可愛いのに?」
「いーや! 絶対、蒼太の姉ちゃん二人のがいい!」
「うちの姉ちゃん二人はすごいぞ。えげつないというか……」
「くそ。お前、贅沢な悩みだな」
こんな会話をこいつと何度してきただろう。
どっちも妹や姉を自慢することなく、ただ相手の姉や妹を羨んでいるのだ。
「この前も花穂姉ちゃん、俺のベッドに忍び込むし」
「今朝は夘月にそれやられたぞ。色気づいたブラパン付けやがって!」
「羽月ちゃんと夘月ちゃんみたいな妹欲しかったなぁ……」
「紗月さんや花穂さんみたいな姉が欲しかったぁ……」
……とこんな具合で近況報告をし合うのが日常の風景だ。
こういう話もただ単に相手を羨んで終わるのだが、俺たちはこう締め括る。
「この妹らぶるが!」
「蒼太、お前は姉らぶるだろ!」
親友曰く、俺様は妹らぶるだとさ。
なんだそれは。ラブった覚えは全然ねーぞ。
_____________________________
あとがき
※次回から「あねまっくす真撃っ 前編」が始まります。
0
お気に入りに追加
924
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/essay.png?id=5ada788558fa89228aea)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/youth.png?id=ad9871afe441980cc37c)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/youth.png?id=ad9871afe441980cc37c)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/contemporary.png?id=0dd465581c48dda76bd4)
体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/youth.png?id=ad9871afe441980cc37c)
転校して来た美少女が前幼なじみだった件。
ながしょー
青春
ある日のHR。担任の呼び声とともに教室に入ってきた子は、とてつもない美少女だった。この世とはかけ離れた美貌に、男子はおろか、女子すらも言葉を詰まらせ、何も声が出てこない模様。モデルでもやっていたのか?そんなことを思いながら、彼女の自己紹介などを聞いていると、担任の先生がふと、俺の方を……いや、隣の席を指差す。今朝から気になってはいたが、彼女のための席だったということに今知ったのだが……男子たちの目線が異様に悪意の籠ったものに感じるが気のせいか?とにもかくにも隣の席が学校一の美少女ということになったわけで……。
このときの俺はまだ気づいていなかった。この子を軸として俺の身の回りが修羅場と化すことに。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる