姉らぶるっ!!

藍染惣右介兵衛

文字の大きさ
上 下
144 / 217
【本幕・第9章】あねあにみっくす双撃っ 前編!

5.第二の助っ人は意外と近くにいますっ!

しおりを挟む
 五月二六日、一二時半。
昼休みの校舎裏で、ミコ先輩に昨晩の姉の様子を報告。

 今日は生徒会役員会議がある日だ。
必ず花穂姉ちゃんは、ミコ先輩に俺のことを確認するだろう。

「というわけで、昨日姉から聞かれまして……」
「早速聞かれたか。お調子者の朝峰や荒木あたりがペラペラしゃべってるんだな」

 里志がスズに話して、それを聞いたスズが花穂姉ちゃんに話す。
こうして、俺が好成績を取ったことが簡単に伝達してしまう。

「放課後、姉から聞かれたら話を合わせてくれますか?」
「了解だ。俺がうまく合わせれば、青山花穂も納得するだろう」
「それと、報酬は今日でもいいですよ。家に来てください」
「よし、わかった! また放課後に会おう」

 御子柴龍司への報酬は、昨晩用意した。
とびっきりの餌をまいたのだ。食いつかないはずがない。




◇◇◇




 午後四時前、校門の外でミコ先輩と落ち合った。
この報酬の件は四条先輩には秘密にしてある。知れば絶対に呆れられる。

「ミコ先輩、その鞄に荷物入りますか?」
「おう、入るぞ。教科書は置いて来てるし、端末と弁当ぐらいしか入ってない」

 端末の大普及で昨今の学生の鞄は軽くなったものだ。
わざわざ教科書を持ち帰る必要がなく、学校が入学時に支給するタブレット端末にすべてデータ化されている。

「それで姉の花穂はどうでした? なにか聞いてきましたか?」

 ミコ先輩と自宅へ向かって歩いて行く。
花穂姉ちゃんは、加奈子さんと生徒会の書類仕事で居残っているそうだ。

「青山弟、勘がいいな! 予想通り聞いて来たぞ。お礼を言われただけだがな」
「お礼……ですか?」
「弟の勉強を見てもらってありがとうございますってな」
「信じてましたか?」
「疑う余地がない。俺が学年一位なのは有名だからな」

 俺は歩きながら考えた。生徒会役員は変わり者ばかりだが、ある共通点がある。
それは全員が成績上位者で、校内ではある程度有名な生徒ばかりだ。



 歩いて一〇分、すぐに我が家に辿り着いた。
とりあえず、二階の自室にミコ先輩を案内したあと、紗月姉の部屋へ向かう。
紗月姉の部屋は寮に引っ越してから家具がほぼない。荷物と言えば衣類や寝具のみだ。ゴールデンウィークに散らかっていた部屋も、いつの間にか小ぎれいになっている。

「あの袋がそうです。まだ、開けてませんよ」

 本当は昨晩開いて、中身を確認している。
紗月姉が捨てる予定と書いた袋を開いて中身を出してみた。

「おい、これ……紗月先輩の……本当にいいのか?」

 中から出て来たのは、紗月姉の衣類とブラジャーとパンツだった。
下着は使用感があるもの、新品に近いものが数セットある。

「いいですよ。ブラとパンツのセットでどうぞ」

 紗月信者が欲しいもの、それはもちろん青山紗月そのものだろう。
しかし、次に欲しいものはどうだろう。それは、紗月姉が身につけたものだ。
これを利用しない手はない。姉の下着が餌の役割を十二分に発揮してくれている。

「さ、紗月先輩のパンツ……では、これをもらおう」

 ミコ先輩は白と黒のブラパンセットをお持ち帰りのようだ。
だらしのない紗月姉は、この捨てる予定の袋にとんでもないものを入れていた。
未洗濯の下着と水着だ。昨晩、それを袋から取り出した。




 午後四時半過ぎ、俺の部屋でミコ先輩は紗月姉のパンツを掲げて眺めている。
ピロンと両手で生地を広げ、たまに匂いを嗅いでみたり……
あまり俺には理解できない。好きな女性の下着は欲しいものなのだろうか。
花穂姉ちゃんのパンツを嗅ぐ感覚と、なにか違う気がする。

「ミコ先輩、そんなに紗月姉が好きなんですか?」
「無論だ。あれだけいい女だからライバルは多いが……貴様だ」

 ミコ先輩は座る俺に指を差して、持っていたパンツを握りしめた。

「え!?」
「一番のライバルは貴様だろ。紗月先輩が本物のブラコンか確かめる必要がある」
「それには共有ボックスを見ないと……」

 俺は暗に次の要求をほのめかした。

「義弟よ、ついて来い。今から助っ人の家に向かうぞ!」

 いつの間にか義弟にグレードアップしてるし……

「わかりました」

 ミコ先輩の背中について行くこと約二〇歩。
見慣れた来栖邸の勝手口……
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々

yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

かつて僕を振った幼馴染に、お月見をしながら「月が綺麗ですね」と言われた件。それって告白?

久野真一
青春
 2021年5月26日。「スーパームーン」と呼ばれる、満月としては1年で最も地球に近づく日。  同時に皆既月食が重なった稀有な日でもある。  社会人一年目の僕、荒木遊真(あらきゆうま)は、  実家のマンションの屋上で物思いにふけっていた。  それもそのはず。かつて、僕を振った、一生の親友を、お月見に誘ってみたのだ。  「せっかくの夜だし、マンションの屋上で、思い出話でもしない?」って。  僕を振った一生の親友の名前は、矢崎久遠(やざきくおん)。  亡くなった彼女のお母さんが、つけた大切な名前。  あの時の告白は応えてもらえなかったけど、今なら、あるいは。  そんな思いを抱えつつ、久遠と共に、かつての僕らについて語りあうことに。  そして、皆既月食の中で、僕は彼女から言われた。「月が綺麗だね」と。  夏目漱石が、I love youの和訳として「月が綺麗ですね」と言ったという逸話は有名だ。  とにかく、月が見えないその中で彼女は僕にそう言ったのだった。  これは、家族愛が強すぎて、恋愛を諦めざるを得なかった、「一生の親友」な久遠。  そして、彼女と一緒に生きてきた僕の一夜の物語。

将棋部の眼鏡美少女を抱いた

junk
青春
将棋部の青春恋愛ストーリーです

処理中です...