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【本幕・第8章】四条先輩爆乳要撃っ 前編!
5.食後の運動にはやっぱりアレですねっ!
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五月二五日、月曜日の午後七時時過ぎ。
食事の終わりまで沈黙が続いた。しかし、気まずい沈黙ではない。
お互い視線を交わし合い、言葉を吐き出すかどうかで迷っている状態なのだ。
「先輩。紗月姉も一度褒めただけで、本気で転向するとは思ってなかったんです」
「二〇畳間で寝技の練習をしたときに、センスがあると言われたが?」
「それを姉は猛省中です。思い込みの激しい先輩に、つい口走ってしまったと」
「だからと言って、やらないうちから諦めろと?」
四条春香は剣道をやめ、紗月姉と同じ隣県の体育大学に進学する希望だ。
しかし、問題はその目的が本人の資質と合致していないことに姉は憂慮している。
事の発端は、ある競技のセンスがあると紗月姉が先輩を褒め称えたこと。
「滅茶苦茶な姉ですけど、才能や人を見る目は確かでしょ? それは、先輩も長年の付き合いでわかっているはずです」
「紗月さんの大学で女子レスリング部に入りたい。だから、わたしはとりあえず水泳をして身体を鍛えているんだが……」
「才能の片りんすらない競技を諦めさせて、先輩が本当に進みたい道へ軌道修正するように紗月命令がくだってるんですよ。もし、納得いかなければ腕ずくです。二〇畳間で俺とレスリング対決してください! この紙袋に競技服が二着入っています!」
「紗月さんの言葉でも、納得できんな。蒼太郎に勝てばいいんだな?」
「力の差があるんで、俺は一定の加減はしますよ」
「手加減など無用だぞ。本気ではないと意味がない!」
姉が親しい後輩である四条春香を案じているのは、資質のなさだけではない。
妹分に自分の背中を追うような真似をさせたくないと考えているのだ。
さらに、四条春香は家から逃げ出したいと考えている。
つまり、剣道場を父から継承するのではなく、無理矢理違う競技に転向して反発する。紗月姉は、この考え方の浅はかさを見抜いた。
午後七時半。紗月姉の予想通り四条先輩は挑発に乗って来た。
薄暗い四条邸の二〇畳間に布団が六枚敷き詰められた。簡易競技場というわけだ。
あとは手に持った紙袋から競技服を出して……
「あれ? 紙袋の中に紙袋が二つある……蒼太、春香って名前書いてますね」
「競技服にもサイズがあるからだろう。お互い背中を向けて着替えようか」
「わかりました。じゃあ、先輩の名前書いてる紙袋渡しますね」
先輩は部屋の奥で背を向けて、俺は出入口側で先輩に背を向けて着替えることに。紙袋を開けて競技服を出す。服をすべて脱いでそれを装着。
「……そ、蒼太郎!? これは、競技服ではな……な、なんだそれはっ!?」
振り返った四条先輩は、俺の競技服姿を見て驚いている。
当の俺自身も驚いているのだ。これはレスリングの競技服などではない。
「明らかに競泳水着ですよね……しかも、紗月姉の水着ですね」
「ぷふふっ……卑怯だぞ! 笑いで脱力させる気か?」
「先輩も競技服じゃないですよ? 姫咲スポーツクラブの競泳水着じゃないですか……」
どちらも姉の処分予定の中古水着だ。
俺の着用している水着はビチビチできつい。
もう、なにがはみ出してもおかしくない状況なのだ。
一応、レスリングをする体制は整ったと言うべきか。
敷き詰められた布団の上で向かい合う男と女、競技服ではなく競泳水着姿である。
「蒼太郎! では行くぞ! 覚悟っ!」
「来い!」
紗月姉の話では、四条先輩が着用した水着になにか細工を施しているらしい。
それがなんなのか体を密着させたときに確認しなければならない。
「うぐっ! 男だけあって力はあるな」
「先輩もすごい力。というか、男性恐怖症なのに大丈夫ですか?」
「蒼太郎ならまだ大丈夫な方だ……ぷふっ! 笑いが止まらない!」
「今だっ!」
ドサリと組み伏せたと思ったが、四条先輩は横向きに転がり背中は布団に接地していない。そこで気づいたのだが、先輩の水着の背中側にいくつも切れ込みがあるのだ。これが紗月姉の言う細工なのだろう。カッターで切ったような跡がいくつもある。
「そ、蒼太郎!? なにか破れる音が……なにをしているんだ!?」
小さな切れ込みに指を入れて、そこを力いっぱい左右に開いて引き裂く。
ビリビリとナイロン生地が音を立てて破れていくと、先輩の背中が露わになった。
「ここにも……」
よく見ると、腹の部分にも切れ込みがある。
そこも同じように破ると先輩のヘソが丸出しに……
「蒼太郎!? なんのつもりだ!?」
「先輩を慰めます」
俺の指先は四条先輩のある部分へ着地した……
食事の終わりまで沈黙が続いた。しかし、気まずい沈黙ではない。
お互い視線を交わし合い、言葉を吐き出すかどうかで迷っている状態なのだ。
「先輩。紗月姉も一度褒めただけで、本気で転向するとは思ってなかったんです」
「二〇畳間で寝技の練習をしたときに、センスがあると言われたが?」
「それを姉は猛省中です。思い込みの激しい先輩に、つい口走ってしまったと」
「だからと言って、やらないうちから諦めろと?」
四条春香は剣道をやめ、紗月姉と同じ隣県の体育大学に進学する希望だ。
しかし、問題はその目的が本人の資質と合致していないことに姉は憂慮している。
事の発端は、ある競技のセンスがあると紗月姉が先輩を褒め称えたこと。
「滅茶苦茶な姉ですけど、才能や人を見る目は確かでしょ? それは、先輩も長年の付き合いでわかっているはずです」
「紗月さんの大学で女子レスリング部に入りたい。だから、わたしはとりあえず水泳をして身体を鍛えているんだが……」
「才能の片りんすらない競技を諦めさせて、先輩が本当に進みたい道へ軌道修正するように紗月命令がくだってるんですよ。もし、納得いかなければ腕ずくです。二〇畳間で俺とレスリング対決してください! この紙袋に競技服が二着入っています!」
「紗月さんの言葉でも、納得できんな。蒼太郎に勝てばいいんだな?」
「力の差があるんで、俺は一定の加減はしますよ」
「手加減など無用だぞ。本気ではないと意味がない!」
姉が親しい後輩である四条春香を案じているのは、資質のなさだけではない。
妹分に自分の背中を追うような真似をさせたくないと考えているのだ。
さらに、四条春香は家から逃げ出したいと考えている。
つまり、剣道場を父から継承するのではなく、無理矢理違う競技に転向して反発する。紗月姉は、この考え方の浅はかさを見抜いた。
午後七時半。紗月姉の予想通り四条先輩は挑発に乗って来た。
薄暗い四条邸の二〇畳間に布団が六枚敷き詰められた。簡易競技場というわけだ。
あとは手に持った紙袋から競技服を出して……
「あれ? 紙袋の中に紙袋が二つある……蒼太、春香って名前書いてますね」
「競技服にもサイズがあるからだろう。お互い背中を向けて着替えようか」
「わかりました。じゃあ、先輩の名前書いてる紙袋渡しますね」
先輩は部屋の奥で背を向けて、俺は出入口側で先輩に背を向けて着替えることに。紙袋を開けて競技服を出す。服をすべて脱いでそれを装着。
「……そ、蒼太郎!? これは、競技服ではな……な、なんだそれはっ!?」
振り返った四条先輩は、俺の競技服姿を見て驚いている。
当の俺自身も驚いているのだ。これはレスリングの競技服などではない。
「明らかに競泳水着ですよね……しかも、紗月姉の水着ですね」
「ぷふふっ……卑怯だぞ! 笑いで脱力させる気か?」
「先輩も競技服じゃないですよ? 姫咲スポーツクラブの競泳水着じゃないですか……」
どちらも姉の処分予定の中古水着だ。
俺の着用している水着はビチビチできつい。
もう、なにがはみ出してもおかしくない状況なのだ。
一応、レスリングをする体制は整ったと言うべきか。
敷き詰められた布団の上で向かい合う男と女、競技服ではなく競泳水着姿である。
「蒼太郎! では行くぞ! 覚悟っ!」
「来い!」
紗月姉の話では、四条先輩が着用した水着になにか細工を施しているらしい。
それがなんなのか体を密着させたときに確認しなければならない。
「うぐっ! 男だけあって力はあるな」
「先輩もすごい力。というか、男性恐怖症なのに大丈夫ですか?」
「蒼太郎ならまだ大丈夫な方だ……ぷふっ! 笑いが止まらない!」
「今だっ!」
ドサリと組み伏せたと思ったが、四条先輩は横向きに転がり背中は布団に接地していない。そこで気づいたのだが、先輩の水着の背中側にいくつも切れ込みがあるのだ。これが紗月姉の言う細工なのだろう。カッターで切ったような跡がいくつもある。
「そ、蒼太郎!? なにか破れる音が……なにをしているんだ!?」
小さな切れ込みに指を入れて、そこを力いっぱい左右に開いて引き裂く。
ビリビリとナイロン生地が音を立てて破れていくと、先輩の背中が露わになった。
「ここにも……」
よく見ると、腹の部分にも切れ込みがある。
そこも同じように破ると先輩のヘソが丸出しに……
「蒼太郎!? なんのつもりだ!?」
「先輩を慰めます」
俺の指先は四条先輩のある部分へ着地した……
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