姉らぶるっ!!

藍染惣右介兵衛

文字の大きさ
上 下
131 / 217
【本幕・第8章】四条先輩爆乳要撃っ 前編!

4.今夜は揉んで挟んで手料理食べますっ!

しおりを挟む
 五月二五日、月曜日の午後四時過ぎ。
四条春香は俺に寄り添うように体を預けている。これがなにを意味するのか……

「紗月さんの約束は守る。蒼太郎と過ごしたいだけだ。もうすぐ、わたしは受験勉強で忙しくなるだろう。部活も引退だ。今夜はゆっくりと過ごしたい」

 俺は恋愛感情がない代わりに、ある程度相手の好意のパラメーターを推し量れる。
しかし、この四条春香は男性恐怖症である。好きの度合いが非常にわかりづらい。

「先輩が手を出さなくても、俺が出すかもしれませんよ?」
「そのときはそのときだ……」

 窓から夕陽が差し込んで四条先輩の頬を照らしている。
ブラウスからは白いブラが透けて、張り出した胸が欲情をあおるようだ。
四条春香であれを試さなければならない。

「先輩、すみません。ちょっと俺からもお願いが……」
「お願い? なんだ?」
「いきなりなんですが……その胸を……じゃない、接触行為を――」
「本当にいきなり卑猥だな」
「実験と言うか……反応によっては帰らないと……」

 グイッと手を引き寄せ、そのまま唇を合わせてみた。余った方の手で胸を優しくまさぐり、抱き寄せて感触を楽しむ。今、下半身はギンギンに直立している。これが持続すれば今夜は泊まれない。四条春香に肉体欲を感じるなら、間違いが起きる可能性が高いからだ。

「少しの間、手を握っていてください……」
「そうか、例のトラウマを試しているのだな?」
「はい、先輩に肉体欲を感じれば……俺は帰ります。我慢できなくなります」
「わたしが紗月さんに唐竹割りにされてしまうからな……」




 俺は恋愛感情欠落というトラウマを抱えていると姉たちは言う。
大多数の女性には、なにも感じない。例を挙げると、母や塁姉には家族愛のような感情。花穂姉ちゃんには愛情欲、紗月姉には強い肉体欲、その両方を感じる実姉の加奈子さん。
俺の脳のバグなのか、来栖有紀にも愛情欲と肉体欲を強く感じる。

「反応なしです……」

 しばらく先輩を抱き寄せて、肌を接触させてみたが……
先輩に感じるものがなにもない。愛情欲も肉体欲もないようだ。
やはり、四条春香の着用していた競泳水着に興奮していただけなのだ。

 来栖が花穂姉ちゃんを嫌う理由、自分と性質が似ているからだと言っていた。
実は俺もそうなのかもしれない。だからこそ、紗月姉は俺に任せたのだろうか。
隣りで夕日に照らされている四条先輩は美しく、スタイルもいい。
しかし、その内面のもろさや弱さ、同じトラウマ持ちという同族嫌悪感がある気がする。

「わたしは蒼太郎の恋愛対象外か。これはショックだな……」
「いえ、愛情欲は感じますよ。これは珍しいんです」
「では、望みはあるということか?」
「俺、花穂姉ちゃんに連絡しますね」

 二つ嘘をついた。ひとつは愛情欲すら四条先輩に感じていない。
もうひとつは、これから花穂姉ちゃんに里志の家に泊まると嘘をつく。









◇◇◇








 午後六時過ぎ、先輩は階下の炊事場で調理に取り掛かった。
ここは一軒家のように、二階に私室、一階は風呂と洗面所にミニキッチンを完備している。要塞のような道場つきの家に、娘専用の離れを作る父親。一方の本人は剣道をやめて家を出ようと望んでいる。どうも、親と子の意思の疎通ができていないとしか思えない。

「焼きそば? お好み焼き?」

 下から匂うのは、粉ものを焼いているときの匂い、それとソースの匂いだ。
部屋で待つように言われているが、このピンクだらけの部屋は落ち着かない。

(キャラと合ってない気がするなぁ)

 この二ヶ月で、四条春香に対する印象がずいぶん変わったものだ。
今までは紗月姉の親友で、花穂姉ちゃんの先輩で、剣道場のお姉さんだった。
それが、間近で接してみるとイメージとまるで違う人物像。

「俺といっしょ。ヘタレンジャーでハッタリ……」

 午後七時前、階段をのぼって来る足音が聞こえる。
どうやら夕飯が完成したようだ。

「遅くなってすまない。モダン焼きを作ってみたが、口に合うか……」
「まさかの両方か……いや、大丈夫。俺、粉もの全般好きですから」

 テーブルにモダン焼きの皿が並べられると、正面に四条先輩が腰掛けた。

「それで、紗月さんになにを話せと言われたのだ?」
「大学に入って、先輩がしようとしている競技を諦めさせろと……」
「つまり、才能がないと?」
「はい……」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

小学生をもう一度

廣瀬純一
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

機械娘の機ぐるみを着せないで!

ジャン・幸田
青春
 二十世紀末のOVA(オリジナルビデオアニメ)作品の「ガーディアンガールズ」に憧れていたアラフィフ親父はとんでもない事をしでかした! その作品に登場するパワードスーツを本当に開発してしまった!  そのスーツを娘ばかりでなく友人にも着せ始めた! そのとき、トラブルの幕が上がるのであった。

秘密のキス

廣瀬純一
青春
キスで体が入れ替わる高校生の男女の話

幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた

久野真一
青春
 最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、  幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。  堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。  猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。  百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。    そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。  男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。  とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。  そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から 「修二は私と恋人になりたい?」  なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。  百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。 「なれたらいいと思ってる」    少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。  食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。  恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。  そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。  夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと  新婚生活も満喫中。  これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、  新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。

僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた

楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。 この作品はハーメルン様でも掲載しています。

処理中です...