姉らぶるっ!!

藍染惣右介兵衛

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【本幕・第6章】あねとん堰止め乱撃っ 後編!

4.少女の孤独を埋めるのは狙撃棒ですっ!

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 五月二一日、木曜日の午後一二時半過ぎ。中間テスト二日目が終了。
三科目行われたテストのうち、俺は半分以上の時間を睡眠に費やした。
来栖指導によるテスト勉強が、夜中まで続いたのだ。眠くて仕方ない……

「おーい、蒼太。大丈夫か? 目の下クマできて、ちょっとゲッソリしてねえ?」
「……ん? 里志か。テスト時間終わったのか……」

 突っ伏していた机から顔を上げると、里志が帰り支度をして立っている。
今日のテストも昨日と同じく、時間を持て余した。これも来栖のおかげだ。

「蒼太? ほんとに体調悪そうだぞ?」

 確かに精も根も尽き果てたと言える。昨晩、来栖の脱ぎたてスク水で二連爆。その後、流星群を見ながらブルマ姿の来栖と決闘ごっこ、ダイエットのような夜の運動会で三度パンツ内暴発。最後の方はお互い汗その他もろもろが混じり合って、力尽きるようにベッドへ共倒れしたのである。

「賢者タイムを超越すると……老師タイムになるな……ガクッ」
「はあ? なに言ってんだよ。早く帰ろうぜ」

 今日はいったん自宅に帰って、図書館で勉強すると言って来栖の部屋に行く予定だ。あまり花穂姉ちゃんから長時間離れ過ぎると、怪しまれる可能性がある。

「じゃあな、蒼太!」
「ああ、また明日」

 分かれ道を過ぎたとき、来栖の背中が見えた。
いつものように、読書をしながらトボトボ歩いている。

 眼鏡をかけた、大人しいひとりぼっちの女の子。
寂しい背中を見るたびに、チクチクと胸が痛む。








◇◇◇








「ただいま!」

 花穂姉ちゃんの靴が揃えてある。既に帰宅しているようだ。
リビングへ入ると姉がソファに座って、小難しい表情でテストの問題用紙とにらめっこしている。おそらく、自己採点中なんだろう。

「おかえり、蒼太。テストはどう? 今日も図書館か里志君の家で勉強?」
「うん。図書館で閉館時間ギリギリまで勉強するよ」
「むぅ……最近蒼太が遠くに行って構ってくれない……」

 頬を膨らまして拗ねてしまった。
まあ、昔からときどきあることなのだが……

「俺も必死なんだって! いきなり悪い成績はやばいだろ?」
「わかってる……寂しいけど我慢するから……」

 来るぞ、来るぞ。なにか要求してくる顔をしている。
目を閉じて、腕を開き抱擁の合図。これがリクエストというわけか。

「花穂姉ちゃん……」
「蒼太」
「よし、じゃあ俺行って来るよ」
「うん……行ってらっしゃい」

 もうホストでもジゴロでもよいではないか。とにかく今は、来栖邸に一刻も早く行きたい。キツツキのような連発キスと絞め技のような抱擁をして、一目散にその場を退散したのだ。

 ただ、出る寸前に見た姉の表情が、少し曇っていたのが気になる。
あの顔は、なにか感づいているかもしれない。




 午後一時半、家を出て通学路を進み、大通りへ抜ける前に別の道から家へ戻る。完全に青山家から死角になっている来栖邸の勝手口を開くと、来栖が待っている。そう思っていたが、鍵が開いているだけで来栖の姿がない。

「……入っていいんだよな?」

 勝手口の中に入ると、奥の方で物音がする。それになにやら美味そうな匂い。

「あ、蒼太君。今、昼食の用意してたの。ラーメンでいいかな?」
「うぉっ! 今日は制服と眼鏡か!? 逆に新鮮だな!」

 食卓にラーメンの皿を運んでいる来栖は、白いブラウスとスカートの制服姿。しかも、眼鏡にツインテール、完全に学校モードの来栖有紀だ。

「ネクラぼっちに見える?」
「全然。俺はお前の化けの皮はがしてるからな……」

 モヤシ、ナルト、茹でタマゴ入りのラーメンを食べながら来栖の顔を見つめる。
眼鏡が曇っているというのに、気にもしていない。

「どうしたの? 人の顔ジッと見て」
「来栖はひとり暮らしや学校で寂しくないのか?」
「今は蒼太君がいるし、寂しくないわ。今までは少し……寂しかった」

 食卓に取り外した眼鏡を置いて、憂いの表情を見せた来栖。
こいつの孤独を埋めたい。心の隙間を埋めるにはどうすればいい。

「来栖……俺は」
「ん、待って。蒼太君、今日はテスト勉強の休憩時間にこれをつけてもらうわ」

 来栖が食卓の上に出したものは、避妊具『狙撃棒 蛍光色』……
金ピカの小さな箱に一〇個入りと書いてある。

「おい、食事中に変なもん出すなよ。それに、つけるって……」
「わたしの孤独を埋めてくれるんでしょ? ゼロ距離射精……ゴホンッ! ゼロ距離射程ね。ちょっとだけ、めり込んでマイナス距離がいい」
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