姉らぶるっ!!

藍染惣右介兵衛

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【本幕・第6章】あねとん堰止め乱撃っ 中編!

6.期待と股間は膨らみっぱなしですよっ!

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 五月二〇日、水曜日の午後十二時半。
姫咲高校に入学して初めての中間テスト、その一日目が終了した。
テスト後の教室は平常時と違い、生徒が残っていない。
みんな今日のテストの自己採点や明日のテストに備えて勉強するのだ。
足早に姫咲図書館へ行く者、自宅で勉強する者など様々だ。

(来栖!)

 三階の教室から校門を見おろしていると、帰宅する来栖の姿を発見した。
テスト一日目から解放された生徒がにぎやかに校門を出て行く中、来栖の背中は孤独そのものだ。声を掛けたいところだが、家の外での接触を本人から固く禁じられている。

「行くか……」

 俺と来栖の距離感は一〇メートル以上と決められた。
昨晩、帰る前に外での関わり方について話し合ったのだ。
結果、外では関わらない。それが唯一のルールに制定。

(――小さい背中)

 校門を出て、しばらく歩くと来栖の背中に追い付きそうになった。
一〇メートル以上の距離を維持しつつ、来栖は読書、俺は腕の端末を触りながら歩を進める。

「そろそろか……」

 来栖が自宅に入って、五分が経過した。
花穂姉ちゃんは既に家に帰っているはずだ。
念のため、周囲を警戒しつつ来栖邸の勝手口へ近付くと……

「蒼太君、入って」

 勝手口から手が差し伸べられる。
最早、ユニフォームと言っても過言ではない、スク水姿の来栖がそこにいたのだ。
俺は靴を持って、来栖邸のキッチンへ入った。




 来栖の部屋のテーブル上に、弁当二つとボトルのお茶が並んでいる。
俺は入口側、来栖はバルコニー側、テーブルを挟んで席に着いた。

「来栖、お前の横で食べていいか?」
「いいけど……なんの違いがあるの?」

 弁当といっしょに来栖の隣りに移動する。少々テーブルが狭くなるが……
帰り道で痛感した埋まらない一〇メートルが数センチまで埋まった。

「隣で来栖の孤独感を心身共に埋めたい……あれ? 言い方変か?」
「ぷっ! 心の隙間を埋めるのはいいよ。体の隙間埋めるのは猥褻発言よ」

 本当に言葉の通りなのかもしれない。
こんな笑顔を見せる来栖有紀を誰も知らない。
孤独な心の隙間を埋めてあげたい。
体を抱きたいという欲求が沸々と湧いて来る。

「で、来栖はテストどうだった?」
「わたし? 残念ながら青山花穂も結城加奈子も一位は無理ね」
「すごい自信だな」
「違うの。確信よ」

 王者は孤独、トップに立つ者は常に孤独だと聞いたことがある。
来栖には、来栖自身にしか見えない世界があるのかもしれない。




 食後の休憩を終え、午後二時から俺のテスト勉強は開始された。
今日は来栖も自分のテスト勉強をしている。苦手科目はないらしいが……

「来栖、その席暑くないのか? というか、その格好暑いだろ……」
「え? 平気よ。それほど日差し強くないから」
「今日のテスト、自己採点して驚いたぞ。これ見てくれ」

 俺は来栖に問題用紙数枚を見せた。どれも自己採点済みの問題用紙だ。
一枚一枚見るたびに、来栖はやや驚いた表情を見せた。

「うん。得意科目は九〇点越えあるよ。これは予想以上ね」
「ご褒美に大接近だな」
「頑張るわ……スク水を無理矢理着せられて、鬼畜変態凌辱プレイだったわね?」
「違うわっ! 普通の服着ろ!」

 スク水を無理矢理着せる前に、自分で着用済みではないか。
それに、ご褒美はその格好をやめさせて、普通の服装を見ることだ。

「蒼太君、わたしはテスト勉強終わったよ。そっち見てあげるわ」
隣りに来栖が座って来た。やはり窓側は暑かったのか、背中が汗ばんでいる。
水の中に入らない水着姿など、暑いだけではないのか……











 午後四時を過ぎた頃、来栖が大きく背伸びをして立ち上がった。
テスト勉強も順調だ。これなら明日の戦果も期待できるだろう。

「暑そうだな……来栖」
「うん。ちょっと暑いわ。生地がこれだから。シャワーしてくる」
「だから、普通の服着ろって……」

 部屋を出る寸前、来栖は俺の方を振り返った。

「一〇分後、お風呂に来て。トラウマの実験で試したいことがあるの」
「おっ! のぞきのお誘いか?」
「似たようなものよ」
「理性飛ぶかもしれないぞ?」
「発射させてあげるわっ!」
_______________________________
あとがき
※「あねとん堰止め乱撃っ 中編!」終了です。
※ショートストーリーを挟んで、「あねとん堰止め乱撃っ 後編!」を開始します。
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