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【本幕・第5章】あねしゃんぶる連撃っ 後編!
5.姉が二人揃うとろくでもないですねっ!
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一定のリズムで腰を動かすたびにベッドはギシギシときしみ、大きな胸が揺れ動く。組み伏せられた紗月姉の吐息は荒く、シーツを掴んで嬌声をあげている。つながり、交わり合い、溶け合いそうな体の一部分に意識を集中すると、堪えていたいたものが一気に外へ放出されそうになる……
「おーい、起きろっ!蒼ちゃん!」
「……ん、ん……ん? あれ? 夢!?」
目を覚ますと自分の部屋のベッドの上、昨晩は紗月姉の部屋で寝たはずだが……
白いトップスとミニスカを穿いた紗月姉が、ベッド脇から俺の顔をのぞき込んでいる。
「なんか寝言で名前読んで、腰振ってたけど? 紗月、紗月って……エッチな夢見てた?」
「……うん、フィニッシュ寸前だったのに……いいとこで起こすなよな」
「フィニッシュしてたら、またパンツ替える手間増えるよ……」
「まさか!? また怪力無双か……」
これで何度目だろうか。
またもや勝手にパンツを替えられて、ベッドに運ばれたようだ。
毎回思うのだが、事後処理が上手い。体育会系に見えて、意外に頭脳派のようだ。
「もう九時過ぎだよ。朝御飯食べなよ?」
「紗月姉、もう帰るの?」
「花穂と夕方に駅前へ買い物行くから、そのとき帰るよ」
◇◇◇
午後一二時半。
花穂姉ちゃんが加奈子さんの家から帰宅。
俺は購読している月刊誌を買うために、近所のコンビニへ向かっている。
姉二人からも、あれやこれやと飲食物を頼まれた。
「あの人は……」
コンビニの雑誌コーナーを外からガラス越しに見ると、どこかで見たことがある女性が立ち読みしている。その立ち位置が問題なのだ。明らかに、成人向け雑誌のコーナーに立っている。
(――ん!? あれは確か……)
店内で月刊誌を手に取って、成人コーナーに立つ女性の横顔を見ると……
数日前、生徒会室で見た態度の悪い生徒のひとりだった。
短いツインテールに眼鏡をかけた少女。大人しそうな顔をしている。
歩きながら先程の光景を思い出してみた。
どう考えても、人物と行動が合っていない気がするのだ。
真面目そうなメガネっこが、白昼堂々とエロ本を立ち読みするだろうか。
答えの出ない思考を繰り返すうちに自宅が見えてきた。
「ただいま……は?」
玄関から居間へ入ると、食卓に座っている姉二人がニヤニヤしている。
この悪い笑顔、なにかをしでかす前、もしくはしでかしたあとだ。
「蒼太、わたしのアイス買ってきてくれた?」
「花穂姉ちゃんのはこれ」
「蒼ちゃん、姉ちゃんのお茶とおにぎり、あと避妊具買ってきた?」
「はい、お茶とおにぎりね。避妊具なんか買うか!」
紗月姉は食卓の上に、昨晩買ってきた避妊具を置いている。
この姉妹、俺が外出中になんの悪だくみをしたのだろうか。
「紗月姉、違うんだって! 蒼太のはコンビニのじゃダメ、これじゃないと!」
花穂姉ちゃんが食卓の上に放り出したのは、五箱セットの避妊具『闇夜の黄金棒 蛍光色 ラージサイズ』……
「へえ、これってフリーサイズじゃないんだね。花穂、どこで買ったの?」
「いまどきコンビニで堂々と買わないよ? 通販で買った」
「いや、通販でも買うなよ。というか、いつ俺のフルサイズを計測したんだ……」
「蒼ちゃんの寝込みを襲撃するのなんて簡単なのさっ!」
「襲撃するんじゃない!」
姉二人の早朝侵入を完全に防ぐには鉄の扉を設置する必要がありそうだ。
しかしこの二人、使う予定のない避妊具を大量に買ってどうするのだろう……
◇◇◇
午後四時過ぎ、駅前で買い物をすると言う姉二人に強制連行される。
左手は紗月姉、右手は花穂姉ちゃんにつながれ、捕獲された宇宙人の気分だ。
「離れてくれ! 顔見知りに目撃されるだろ!?」
「蒼ちゃん、昔は三人でこうやって歩いたじゃない」
「紗月姉ずるいっ! 恋人つなぎしてる!」
左手は指同士を絡め合うようにつながれている。
それを見た花穂姉ちゃんも対抗するように指を絡めて手をつなぎ直す。
道行く人にチラチラ見られるのは……気のせいではないらしい。
「花穂! あんた、いつの間に腕組んでんの? それずるい!」
今度は花穂姉ちゃんが、腕に胸を押しつけるようにくっつく。
それを見た紗月姉が対抗して、大きな胸を押しつけるようにくっついてきた。
もう、人の視線が痛過ぎる……
「姉ちゃんたち、勘弁してくれ」
通学路を進んで、学校を通り過ぎた場所にこの町の駅がある。
そこで姉たちは買い物をするようだ。
「蒼ちゃん、なるべく時間作って帰れるようにするね」
「うん……」
嵐が来る前の……一時の平穏な日だった……
______________________________
あとがき
※【あねしゃんぶる連撃っ】はこの話で終わりです。
※次はショートストーリーを挟んで新章に入ります。
「おーい、起きろっ!蒼ちゃん!」
「……ん、ん……ん? あれ? 夢!?」
目を覚ますと自分の部屋のベッドの上、昨晩は紗月姉の部屋で寝たはずだが……
白いトップスとミニスカを穿いた紗月姉が、ベッド脇から俺の顔をのぞき込んでいる。
「なんか寝言で名前読んで、腰振ってたけど? 紗月、紗月って……エッチな夢見てた?」
「……うん、フィニッシュ寸前だったのに……いいとこで起こすなよな」
「フィニッシュしてたら、またパンツ替える手間増えるよ……」
「まさか!? また怪力無双か……」
これで何度目だろうか。
またもや勝手にパンツを替えられて、ベッドに運ばれたようだ。
毎回思うのだが、事後処理が上手い。体育会系に見えて、意外に頭脳派のようだ。
「もう九時過ぎだよ。朝御飯食べなよ?」
「紗月姉、もう帰るの?」
「花穂と夕方に駅前へ買い物行くから、そのとき帰るよ」
◇◇◇
午後一二時半。
花穂姉ちゃんが加奈子さんの家から帰宅。
俺は購読している月刊誌を買うために、近所のコンビニへ向かっている。
姉二人からも、あれやこれやと飲食物を頼まれた。
「あの人は……」
コンビニの雑誌コーナーを外からガラス越しに見ると、どこかで見たことがある女性が立ち読みしている。その立ち位置が問題なのだ。明らかに、成人向け雑誌のコーナーに立っている。
(――ん!? あれは確か……)
店内で月刊誌を手に取って、成人コーナーに立つ女性の横顔を見ると……
数日前、生徒会室で見た態度の悪い生徒のひとりだった。
短いツインテールに眼鏡をかけた少女。大人しそうな顔をしている。
歩きながら先程の光景を思い出してみた。
どう考えても、人物と行動が合っていない気がするのだ。
真面目そうなメガネっこが、白昼堂々とエロ本を立ち読みするだろうか。
答えの出ない思考を繰り返すうちに自宅が見えてきた。
「ただいま……は?」
玄関から居間へ入ると、食卓に座っている姉二人がニヤニヤしている。
この悪い笑顔、なにかをしでかす前、もしくはしでかしたあとだ。
「蒼太、わたしのアイス買ってきてくれた?」
「花穂姉ちゃんのはこれ」
「蒼ちゃん、姉ちゃんのお茶とおにぎり、あと避妊具買ってきた?」
「はい、お茶とおにぎりね。避妊具なんか買うか!」
紗月姉は食卓の上に、昨晩買ってきた避妊具を置いている。
この姉妹、俺が外出中になんの悪だくみをしたのだろうか。
「紗月姉、違うんだって! 蒼太のはコンビニのじゃダメ、これじゃないと!」
花穂姉ちゃんが食卓の上に放り出したのは、五箱セットの避妊具『闇夜の黄金棒 蛍光色 ラージサイズ』……
「へえ、これってフリーサイズじゃないんだね。花穂、どこで買ったの?」
「いまどきコンビニで堂々と買わないよ? 通販で買った」
「いや、通販でも買うなよ。というか、いつ俺のフルサイズを計測したんだ……」
「蒼ちゃんの寝込みを襲撃するのなんて簡単なのさっ!」
「襲撃するんじゃない!」
姉二人の早朝侵入を完全に防ぐには鉄の扉を設置する必要がありそうだ。
しかしこの二人、使う予定のない避妊具を大量に買ってどうするのだろう……
◇◇◇
午後四時過ぎ、駅前で買い物をすると言う姉二人に強制連行される。
左手は紗月姉、右手は花穂姉ちゃんにつながれ、捕獲された宇宙人の気分だ。
「離れてくれ! 顔見知りに目撃されるだろ!?」
「蒼ちゃん、昔は三人でこうやって歩いたじゃない」
「紗月姉ずるいっ! 恋人つなぎしてる!」
左手は指同士を絡め合うようにつながれている。
それを見た花穂姉ちゃんも対抗するように指を絡めて手をつなぎ直す。
道行く人にチラチラ見られるのは……気のせいではないらしい。
「花穂! あんた、いつの間に腕組んでんの? それずるい!」
今度は花穂姉ちゃんが、腕に胸を押しつけるようにくっつく。
それを見た紗月姉が対抗して、大きな胸を押しつけるようにくっついてきた。
もう、人の視線が痛過ぎる……
「姉ちゃんたち、勘弁してくれ」
通学路を進んで、学校を通り過ぎた場所にこの町の駅がある。
そこで姉たちは買い物をするようだ。
「蒼ちゃん、なるべく時間作って帰れるようにするね」
「うん……」
嵐が来る前の……一時の平穏な日だった……
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あとがき
※【あねしゃんぶる連撃っ】はこの話で終わりです。
※次はショートストーリーを挟んで新章に入ります。
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