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【本幕・第5章】あねしゃんぶる連撃っ 後編!
1.トラウマとエロ下着の秘密ですよねっ!
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五月一六日、土曜日。午後九時前。
風呂場から逃走した俺は紗月姉の部屋でテスト勉強を続けている。
花穂姉ちゃんと加奈子さんは入浴中、紗月姉はコンビニへ夜食を買いに出た。
「――実の姉に興奮する弟……」
最後に背中を洗ったのは、加奈子さんだった。
二人の姉に、ほとんど無反応。
加奈子さんの吐息ひとつで、身体に電流が走ったような興奮を覚えた。
あの人が実姉だと頭で理解している。背徳的な意識など毛頭ない……はずだ。
「蒼ちゃん、アイス食べる!?」
紗月姉がアイスをくわえながら、部屋に戻って来た。
光沢感のあるベロア生地のスポーツウェア上下を着て、湯上りの髪がまだ乾いていない。顔もスタイルもいい、色気も充分。だたし、アイスの食べ方は不合格だ。
「紗月姉……その食べ方やめろよ。弟子が真似してたぞ?」
「こう溶かし込むようにねっとりと……鈴にもいい予行演習になるって」
やめろと言うと、すぐ調子に乗り始める。この姉の悪い癖だ。
シュポシュポと音を立て舐め回すように食べているが、なにも込み上げてこない。
「昼間こう言ったよな? 無念蒼太チンになった理由がわかったって」
「お風呂の実験で確信したよ。蒼ちゃんのトラウマに関すること」
勉強道具が置かれた丸テーブルを囲んで、紗月姉が難しい顔を見せる。
そもそも、風呂場で背中を洗うだけの行動が、実験とは信じがたい。
「加奈子さんか? 俺が加奈子さんに過剰に反応したことだろ?」
「うん、それ。蒼ちゃんの恋愛感情がない原因って、あたしと花穂が小さい頃から取り合いしたせいだって話したよね?」
「それは前に聞いた。二人が取り合いして、歪んだトラウマができたって……」
「あのさ、蒼ちゃん。二人で取り合いしてるときに助け出す子も、蒼ちゃんを奪い去ってることにならない? つまり……蒼ちゃんを取り合っていたのは、あたしと花穂だけじゃない」
「そんな……助けてくれた加奈子さんも俺のトラウマの原因なのか!?」
「たぶんね。あたしたちは知らないうちに三人で取り合いをしていたんだよ。昨日今日でなにが変化したかわかる? 加奈子ちゃんが家に泊まりに来たよね?」
「いや、待ってくれ。加奈子さんは何度か泊まりに来てるだろ?」
「基本的には、花穂が加奈子ちゃんの家行くでしょ? この家に泊まりに来るのは、数年ぶりだと思うんだけど」
言われてみれば、その通りだ。
花穂姉ちゃんが加奈子さんと仲が良すぎて、お互いの家でお泊りしていると勘違いしていた。青山家に加奈子さんが宿泊する回数は少ない。まず、あの二人はここで夜まで遊んで、加奈子さんの家からの迎えで姉もそのまま泊まりに行ってしまう。
俺は頭の中で勝手に、加奈子さんが夜遅くまでまで青山家にいる。イコール、加奈子さんが姉の部屋に泊まっていると、なにも深く考えず思い込んでいた。
自分の記憶を都合のいいように、捏造していたことになる。
◇◇◇
午後九時半、廊下から足音が聞こえる。花穂姉ちゃんと加奈子さんだ。
俺のトラウマに加奈子さんも関係している。
それを聞いてから、勉強に身が入らない。
「俺のこの状況は、加奈子さんがここに来たからか?」
「来たからと言うか……引き金は、いっしょにお風呂入ったことかな」
金曜の夜、紗月姉の入浴中を襲撃するはずが、中にいたのは加奈子さんだった。
お互い裸をさらけ出したあと、誘われるがまま混浴していた。
加奈子さんの様子が、いつもと違って見えた気がする……
「でも、その夜……紗月姉と布団で……」
「おかしいと思わない? 早撃ちガンマンの蒼ちゃんが二回だけ!」
「早撃ちは余計だけど、変調はそのときから出てたわけか……」
「花穂には内緒ね。たぶん一時的なものだと思うよ」
「加奈子さんが帰ると元に戻ると?」
「確証はないけど、おそらく……」
立ち上がった紗月姉が、スポーツウェアの上下を脱ぎ始めた。
いつか見た上下セットの白い下着だ。ブラの肩紐は黒で、胸の部分にバラが刺繍されている。パンツも同様にバラの刺繍があり、サイドが二本の紐になっている。
「紗月姉っ! なんでいきなり脱ぐんだ……」
「なにも感じない? 込み上げて来ない?」
零れそうな胸、きれいな生足、抜群のスタイルに込み上げるものがないと言えば嘘になる。
しかし、一時的なものですぐにおさまってしまう。
「……ダメみたいだ」
「それじゃ、リハビリ開始……って、えっ!? なに!? 蒼ちゃん?」
無意識に紗月姉の腰を抱いていた。
白いパンツ、バラの刺繍がある部分に顔をうずめながら……
風呂場から逃走した俺は紗月姉の部屋でテスト勉強を続けている。
花穂姉ちゃんと加奈子さんは入浴中、紗月姉はコンビニへ夜食を買いに出た。
「――実の姉に興奮する弟……」
最後に背中を洗ったのは、加奈子さんだった。
二人の姉に、ほとんど無反応。
加奈子さんの吐息ひとつで、身体に電流が走ったような興奮を覚えた。
あの人が実姉だと頭で理解している。背徳的な意識など毛頭ない……はずだ。
「蒼ちゃん、アイス食べる!?」
紗月姉がアイスをくわえながら、部屋に戻って来た。
光沢感のあるベロア生地のスポーツウェア上下を着て、湯上りの髪がまだ乾いていない。顔もスタイルもいい、色気も充分。だたし、アイスの食べ方は不合格だ。
「紗月姉……その食べ方やめろよ。弟子が真似してたぞ?」
「こう溶かし込むようにねっとりと……鈴にもいい予行演習になるって」
やめろと言うと、すぐ調子に乗り始める。この姉の悪い癖だ。
シュポシュポと音を立て舐め回すように食べているが、なにも込み上げてこない。
「昼間こう言ったよな? 無念蒼太チンになった理由がわかったって」
「お風呂の実験で確信したよ。蒼ちゃんのトラウマに関すること」
勉強道具が置かれた丸テーブルを囲んで、紗月姉が難しい顔を見せる。
そもそも、風呂場で背中を洗うだけの行動が、実験とは信じがたい。
「加奈子さんか? 俺が加奈子さんに過剰に反応したことだろ?」
「うん、それ。蒼ちゃんの恋愛感情がない原因って、あたしと花穂が小さい頃から取り合いしたせいだって話したよね?」
「それは前に聞いた。二人が取り合いして、歪んだトラウマができたって……」
「あのさ、蒼ちゃん。二人で取り合いしてるときに助け出す子も、蒼ちゃんを奪い去ってることにならない? つまり……蒼ちゃんを取り合っていたのは、あたしと花穂だけじゃない」
「そんな……助けてくれた加奈子さんも俺のトラウマの原因なのか!?」
「たぶんね。あたしたちは知らないうちに三人で取り合いをしていたんだよ。昨日今日でなにが変化したかわかる? 加奈子ちゃんが家に泊まりに来たよね?」
「いや、待ってくれ。加奈子さんは何度か泊まりに来てるだろ?」
「基本的には、花穂が加奈子ちゃんの家行くでしょ? この家に泊まりに来るのは、数年ぶりだと思うんだけど」
言われてみれば、その通りだ。
花穂姉ちゃんが加奈子さんと仲が良すぎて、お互いの家でお泊りしていると勘違いしていた。青山家に加奈子さんが宿泊する回数は少ない。まず、あの二人はここで夜まで遊んで、加奈子さんの家からの迎えで姉もそのまま泊まりに行ってしまう。
俺は頭の中で勝手に、加奈子さんが夜遅くまでまで青山家にいる。イコール、加奈子さんが姉の部屋に泊まっていると、なにも深く考えず思い込んでいた。
自分の記憶を都合のいいように、捏造していたことになる。
◇◇◇
午後九時半、廊下から足音が聞こえる。花穂姉ちゃんと加奈子さんだ。
俺のトラウマに加奈子さんも関係している。
それを聞いてから、勉強に身が入らない。
「俺のこの状況は、加奈子さんがここに来たからか?」
「来たからと言うか……引き金は、いっしょにお風呂入ったことかな」
金曜の夜、紗月姉の入浴中を襲撃するはずが、中にいたのは加奈子さんだった。
お互い裸をさらけ出したあと、誘われるがまま混浴していた。
加奈子さんの様子が、いつもと違って見えた気がする……
「でも、その夜……紗月姉と布団で……」
「おかしいと思わない? 早撃ちガンマンの蒼ちゃんが二回だけ!」
「早撃ちは余計だけど、変調はそのときから出てたわけか……」
「花穂には内緒ね。たぶん一時的なものだと思うよ」
「加奈子さんが帰ると元に戻ると?」
「確証はないけど、おそらく……」
立ち上がった紗月姉が、スポーツウェアの上下を脱ぎ始めた。
いつか見た上下セットの白い下着だ。ブラの肩紐は黒で、胸の部分にバラが刺繍されている。パンツも同様にバラの刺繍があり、サイドが二本の紐になっている。
「紗月姉っ! なんでいきなり脱ぐんだ……」
「なにも感じない? 込み上げて来ない?」
零れそうな胸、きれいな生足、抜群のスタイルに込み上げるものがないと言えば嘘になる。
しかし、一時的なものですぐにおさまってしまう。
「……ダメみたいだ」
「それじゃ、リハビリ開始……って、えっ!? なに!? 蒼ちゃん?」
無意識に紗月姉の腰を抱いていた。
白いパンツ、バラの刺繍がある部分に顔をうずめながら……
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