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【本幕・第5章】あねしゃんぶる連撃っ 前編!
2.ご褒美は欲望を満たす行為ですよねっ!
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花穂姉ちゃんは、次々と難解な英単語や数式を呪文のように繰り出す。
俺は込みあげる妙な気分に耐えられなくなって、姉の肩を正面から掴んでいた。
「姉ちゃん……なに言ってるのかわからない! 難しいっ!」
「え? どうしたの? 息荒くない?」
心身の異変に気づいたのは、昨日の紗月姉とのテレビ電話のときからだ。
通話が終わったあと、紗月姉の声をもっと聞きたかった。姿がもっと見たかった。
「ごめん、俺先に出る……」
「え? 蒼太?」
花穂姉ちゃんに対しては、肉体欲が皆無だったはず。
正面から見えるある一点、流暢な英語が飛び出し、難解な数式を言う口。
吐息も言葉も発するプルッと湿った唇……耐えられない。
「これは……」
脱衣場の洗濯カゴにある姉のパンツを手に取ってみた。
飾り付けのある可愛らしい黒いパンツだ。脱ぎたての匂いが残っている。
ただ、数日前のように興奮しない。唇を見て興奮して、パンツで興奮しない。
俺は逃げ去るように、脱衣場をあとにした……
時計は午後一〇時を回っている。
机の上に参考書を出して、テスト勉強をしている途中に頭をよぎる顔。
風呂場で紅潮して湿った花穂姉ちゃんの顔とプルプルの唇。
「蒼太、勉強してる? 入るよ?」
いつもながら、いいよと言う前にドアを開く花穂姉ちゃん。
白と水色のストライプ柄のパジャマを着て、髪がやや湿っている。
「姉ちゃん、全然わからんっ! 助けてくれ!」
「ここテーブルないから、わたしの部屋来て」
促されるまま、俺は教科書や参考書を持って、隣の部屋に向かった。
実は花穂姉ちゃんの部屋にはあまり入ったことがない。
紗月姉の部屋は入りやすい。姉というより兄の部屋に入る感覚だからだ。
花穂姉ちゃんの部屋は、ピンクと白で飾り気のある女の子の部屋という感じがする聖域なのだ。いい匂いがする不思議な部屋だ。
「俺、花穂姉ちゃんの部屋久しぶりかも」
「そうだっけ? そこ座ってね。勉強教えてあげる」
教えてあげると言葉を発して動いた唇から目が離せなくなる。
テーブルに座ると、風呂上りのいい香りを漂わせた花穂姉ちゃんが隣に来た。
顔が近い、唇がすぐそばにある。そっと口を近付けると……
「花穂姉ちゃんっ」
「ダメ! なにしてるの蒼太?」
「姉ちゃん……回数カウンター三千回超えてるのにダメって……」
「今の蒼太おかしいよ? 明らかに欲情してキスしようとした!」
隠していても無駄か。
ここは自分の心理的な変化を、正直に打ち明けるべきだ。
頭のいい花穂姉ちゃんなら、なにかわかるかもしれない。
紗月姉との通話後の空虚感、風呂場での唇への渇望。
これをこと細かに、花穂姉ちゃんに説明している。
「おかしいだろ? 花穂姉ちゃんの唇だけに欲情するんだ」
「うーん、一時的なものじゃない? あれだけ高熱出したんだからさ」
「まあ、そうだといいけどな。いかんともしがたいこの欲求はどうすればいい?」
「テスト勉強ちゃんとできたら、ご褒美にしてもいいよっ!」
この花穂、人の寝込みを襲って三千回もしてるくせに……
こちらからするとなると、条件を付けてきやがる。なんて姉だ。
「よし、始めよう! チューするために!」
「違うでしょ……テストでいい点数取るためっ!」
◇◇◇◇◇◇
午後十一時半過ぎ、テスト勉強を終えた。
花穂姉ちゃんも一段落ついたらしく、欠伸と背伸びをしている。
「そろそろ部屋に戻るよ。おやすみ、姉ちゃん」
「あれ? それでいいの?」
「うん。もう今すると止まらない……」
立ち上がる俺を見上げる花穂姉ちゃん、少し開いた口元。
つやつやして健康的な色の唇、本当は食らいつきたいほどの欲求だ。
「ここでいっしょに寝ようか? 寝るまで英単語暗記ねっ!」
「正解するごとにご褒美?」
花穂姉ちゃんは、ベッドの布団を床に敷き始めた。
シングルサイズ布団の中は、姉の香りで満たされている。
「ちゃんと正解したらねっ」
ポツポツと雨音が聞こえてくる。どうやら一雨来たようだ。
消灯した部屋、布団の中で英単語のクイズ式小テストが開始された。
「よし、正解っ」
外は小雨が降り続き、部屋はキスの小雨が降り続けた……
俺は込みあげる妙な気分に耐えられなくなって、姉の肩を正面から掴んでいた。
「姉ちゃん……なに言ってるのかわからない! 難しいっ!」
「え? どうしたの? 息荒くない?」
心身の異変に気づいたのは、昨日の紗月姉とのテレビ電話のときからだ。
通話が終わったあと、紗月姉の声をもっと聞きたかった。姿がもっと見たかった。
「ごめん、俺先に出る……」
「え? 蒼太?」
花穂姉ちゃんに対しては、肉体欲が皆無だったはず。
正面から見えるある一点、流暢な英語が飛び出し、難解な数式を言う口。
吐息も言葉も発するプルッと湿った唇……耐えられない。
「これは……」
脱衣場の洗濯カゴにある姉のパンツを手に取ってみた。
飾り付けのある可愛らしい黒いパンツだ。脱ぎたての匂いが残っている。
ただ、数日前のように興奮しない。唇を見て興奮して、パンツで興奮しない。
俺は逃げ去るように、脱衣場をあとにした……
時計は午後一〇時を回っている。
机の上に参考書を出して、テスト勉強をしている途中に頭をよぎる顔。
風呂場で紅潮して湿った花穂姉ちゃんの顔とプルプルの唇。
「蒼太、勉強してる? 入るよ?」
いつもながら、いいよと言う前にドアを開く花穂姉ちゃん。
白と水色のストライプ柄のパジャマを着て、髪がやや湿っている。
「姉ちゃん、全然わからんっ! 助けてくれ!」
「ここテーブルないから、わたしの部屋来て」
促されるまま、俺は教科書や参考書を持って、隣の部屋に向かった。
実は花穂姉ちゃんの部屋にはあまり入ったことがない。
紗月姉の部屋は入りやすい。姉というより兄の部屋に入る感覚だからだ。
花穂姉ちゃんの部屋は、ピンクと白で飾り気のある女の子の部屋という感じがする聖域なのだ。いい匂いがする不思議な部屋だ。
「俺、花穂姉ちゃんの部屋久しぶりかも」
「そうだっけ? そこ座ってね。勉強教えてあげる」
教えてあげると言葉を発して動いた唇から目が離せなくなる。
テーブルに座ると、風呂上りのいい香りを漂わせた花穂姉ちゃんが隣に来た。
顔が近い、唇がすぐそばにある。そっと口を近付けると……
「花穂姉ちゃんっ」
「ダメ! なにしてるの蒼太?」
「姉ちゃん……回数カウンター三千回超えてるのにダメって……」
「今の蒼太おかしいよ? 明らかに欲情してキスしようとした!」
隠していても無駄か。
ここは自分の心理的な変化を、正直に打ち明けるべきだ。
頭のいい花穂姉ちゃんなら、なにかわかるかもしれない。
紗月姉との通話後の空虚感、風呂場での唇への渇望。
これをこと細かに、花穂姉ちゃんに説明している。
「おかしいだろ? 花穂姉ちゃんの唇だけに欲情するんだ」
「うーん、一時的なものじゃない? あれだけ高熱出したんだからさ」
「まあ、そうだといいけどな。いかんともしがたいこの欲求はどうすればいい?」
「テスト勉強ちゃんとできたら、ご褒美にしてもいいよっ!」
この花穂、人の寝込みを襲って三千回もしてるくせに……
こちらからするとなると、条件を付けてきやがる。なんて姉だ。
「よし、始めよう! チューするために!」
「違うでしょ……テストでいい点数取るためっ!」
◇◇◇◇◇◇
午後十一時半過ぎ、テスト勉強を終えた。
花穂姉ちゃんも一段落ついたらしく、欠伸と背伸びをしている。
「そろそろ部屋に戻るよ。おやすみ、姉ちゃん」
「あれ? それでいいの?」
「うん。もう今すると止まらない……」
立ち上がる俺を見上げる花穂姉ちゃん、少し開いた口元。
つやつやして健康的な色の唇、本当は食らいつきたいほどの欲求だ。
「ここでいっしょに寝ようか? 寝るまで英単語暗記ねっ!」
「正解するごとにご褒美?」
花穂姉ちゃんは、ベッドの布団を床に敷き始めた。
シングルサイズ布団の中は、姉の香りで満たされている。
「ちゃんと正解したらねっ」
ポツポツと雨音が聞こえてくる。どうやら一雨来たようだ。
消灯した部屋、布団の中で英単語のクイズ式小テストが開始された。
「よし、正解っ」
外は小雨が降り続き、部屋はキスの小雨が降り続けた……
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