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【本幕・第5章】あねしゃんぶる連撃っ 前編!
1.浴場で姉と勉強するのはありですかっ!
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五月十三日水曜日。
学校は一学期中間テストの期間前になった。
俺の学業成績は中の下だ。紗月姉は勉強が苦手だと言いつつ、並み以上の成績をキープして大学へ進学した。スポーツ推薦枠を蹴って、やりたいように大学生活を謳歌中だ。花穂姉ちゃんは、非の打ちどころがない。成績は常に加奈子さんと共に、学年上位にランクインしている。
(――高校入って、一発目の中間テストか)
帰宅後、机に向かって教科書にノート、参考書を開いているが頭に入らない。
あまり悪い成績だと、海外で就労している両親に申し訳がない気がする。
忙しいテスト期間でも、勉強を教えてくれる人……
「……里志とスズ、四条先輩、加奈子さん」
同学年の朝峰里志と荒木鈴は、俺とそれほど成績が変わらない。
三年の四条先輩は、進路を決める大事な時期だから頼みにくい。
だからと言って、長時間加奈子さんと二人きりも気まずい。
(――花穂姉ちゃんしかいないのか)
消去法でいくと、花穂姉ちゃんが残る。
確かに的確に勉強を教えてくれるだろう。成績アップを望めるかもしれない。
しかし、問題はあの姉の性格だ。見返りの条件を必ず出してくる。
「んー……とりあえず、頼んでみるか」
午後八時。花穂姉ちゃんと夕飯を共にする。
テスト勉強のヘルプを切り出すタイミングを見計らいつつ、箸を進める。
まず、駆け引き抜きで素直に頼み込んでみようか。
「姉ちゃん。高校入って初の中間テストだからさ、勉強教えてくれないかな?」
「え? いいよ。蒼太って英語と数学苦手だったよね?」
「うん。他は平均以上だけど、英語と数学が足引っ張って……」
薄ピンクの半袖の上着とハーフパンツの家着を身に付けて、髪をまとめた花穂姉ちゃんがパクパクと軽快にご飯を口に運んでいる。俺の話をちゃんと聞いているのだろうか。
「どうしたの? 人の顔じぃっと見て……」
「いつもの見返り要求や条件はなし?」
「ないよ、勉強だもん。その代りお姉ちゃんの指導は厳しいよ?」
「覚悟の上だ。眠るとき以外は勉強漬けでいい!」
「じゃあ、早く食べてお風呂入ってね」
見返り要求型人間の姉にしては、やけに気前がいい。
これは逆に怪しいと言える。なにかをやらかすつもりでいるはずだ。
◇◇◇◇◇◇
午後九時過ぎ、二日ぶりに浸る風呂の湯が気持ちいい。
ちょうど良い湯加減。今日は白桃の香りがする濁り湯の入浴剤を入れてみた。
なぜ濁り湯にしたのか、それは脱衣場で花穂姉ちゃんがチラ見しているからだ。
「花穂姉ちゃん、突撃か退避か決めないとな」
「濁り湯の入浴剤使ったんだ? いい香りだね」
擦りガラスの向こうでいそいそと服を脱いでいる。やはり、答えは突撃らしい。
風呂場に入って来た花穂姉ちゃんは、白いバスタオルを巻いた姿だ。
「俺、後ろ向いてるから、体洗ってシャワーしなよ」
「別に見ててもいいよ?」
一応、視覚で反応してしまうから、なるべく視線を外したい。
花穂姉ちゃんも紗月姉に似てきたのか、最近体つきがエロくなった。
持続はしないが、バスタオルを取ったら鎮静化している物体が上を向いてしまう。
「なあ、姉ちゃん。勉強教える見返りや交換条件は本当になし?」
「ないけど、しいて言うなら今が見返りかな? さっき眠るとき以外勉強するって自分で宣言したよね? だから、風呂場でも布団の中でも、睡眠時間以外はわたしとイチャラ……勉強ねっ!」
洗い場で身体を流し終わった花穂姉ちゃんが浴槽に入って来た。
後ろを向いているので姿が視界に入らないが、トプリと湯に浸かる音がする。
「濁り湯って便利だな。隠す必要なくなるもんな」
「むぅ……紗月姉の体は見たがるくせに、お姉ちゃんの体は見たくないの?」
振り返ると、バスタオルを取った花穂姉ちゃんがいる。
濁り湯のおかげですべては見えないが、白いうなじや胸の谷間が色っぽい。
やはり、こうして正面を向き合うと砲台が上を向いてしまう。
「勉強ってなにからする?」
「ん? お風呂でも英単語や公式の勉強するよ!」
「へぇ、じゃあ英語と数学教えてもらおうかな」
「うん。とりあえず、わからないことを聞いてみて」
熱気と姉の口から出る英単語や公式が妙な相乗効果を起こしたのか、俺は無意識に花穂姉ちゃんの肩を抱いていた。
「花穂姉ちゃん! 俺、もう我慢できないっ!」
「そ、蒼太!?」
学校は一学期中間テストの期間前になった。
俺の学業成績は中の下だ。紗月姉は勉強が苦手だと言いつつ、並み以上の成績をキープして大学へ進学した。スポーツ推薦枠を蹴って、やりたいように大学生活を謳歌中だ。花穂姉ちゃんは、非の打ちどころがない。成績は常に加奈子さんと共に、学年上位にランクインしている。
(――高校入って、一発目の中間テストか)
帰宅後、机に向かって教科書にノート、参考書を開いているが頭に入らない。
あまり悪い成績だと、海外で就労している両親に申し訳がない気がする。
忙しいテスト期間でも、勉強を教えてくれる人……
「……里志とスズ、四条先輩、加奈子さん」
同学年の朝峰里志と荒木鈴は、俺とそれほど成績が変わらない。
三年の四条先輩は、進路を決める大事な時期だから頼みにくい。
だからと言って、長時間加奈子さんと二人きりも気まずい。
(――花穂姉ちゃんしかいないのか)
消去法でいくと、花穂姉ちゃんが残る。
確かに的確に勉強を教えてくれるだろう。成績アップを望めるかもしれない。
しかし、問題はあの姉の性格だ。見返りの条件を必ず出してくる。
「んー……とりあえず、頼んでみるか」
午後八時。花穂姉ちゃんと夕飯を共にする。
テスト勉強のヘルプを切り出すタイミングを見計らいつつ、箸を進める。
まず、駆け引き抜きで素直に頼み込んでみようか。
「姉ちゃん。高校入って初の中間テストだからさ、勉強教えてくれないかな?」
「え? いいよ。蒼太って英語と数学苦手だったよね?」
「うん。他は平均以上だけど、英語と数学が足引っ張って……」
薄ピンクの半袖の上着とハーフパンツの家着を身に付けて、髪をまとめた花穂姉ちゃんがパクパクと軽快にご飯を口に運んでいる。俺の話をちゃんと聞いているのだろうか。
「どうしたの? 人の顔じぃっと見て……」
「いつもの見返り要求や条件はなし?」
「ないよ、勉強だもん。その代りお姉ちゃんの指導は厳しいよ?」
「覚悟の上だ。眠るとき以外は勉強漬けでいい!」
「じゃあ、早く食べてお風呂入ってね」
見返り要求型人間の姉にしては、やけに気前がいい。
これは逆に怪しいと言える。なにかをやらかすつもりでいるはずだ。
◇◇◇◇◇◇
午後九時過ぎ、二日ぶりに浸る風呂の湯が気持ちいい。
ちょうど良い湯加減。今日は白桃の香りがする濁り湯の入浴剤を入れてみた。
なぜ濁り湯にしたのか、それは脱衣場で花穂姉ちゃんがチラ見しているからだ。
「花穂姉ちゃん、突撃か退避か決めないとな」
「濁り湯の入浴剤使ったんだ? いい香りだね」
擦りガラスの向こうでいそいそと服を脱いでいる。やはり、答えは突撃らしい。
風呂場に入って来た花穂姉ちゃんは、白いバスタオルを巻いた姿だ。
「俺、後ろ向いてるから、体洗ってシャワーしなよ」
「別に見ててもいいよ?」
一応、視覚で反応してしまうから、なるべく視線を外したい。
花穂姉ちゃんも紗月姉に似てきたのか、最近体つきがエロくなった。
持続はしないが、バスタオルを取ったら鎮静化している物体が上を向いてしまう。
「なあ、姉ちゃん。勉強教える見返りや交換条件は本当になし?」
「ないけど、しいて言うなら今が見返りかな? さっき眠るとき以外勉強するって自分で宣言したよね? だから、風呂場でも布団の中でも、睡眠時間以外はわたしとイチャラ……勉強ねっ!」
洗い場で身体を流し終わった花穂姉ちゃんが浴槽に入って来た。
後ろを向いているので姿が視界に入らないが、トプリと湯に浸かる音がする。
「濁り湯って便利だな。隠す必要なくなるもんな」
「むぅ……紗月姉の体は見たがるくせに、お姉ちゃんの体は見たくないの?」
振り返ると、バスタオルを取った花穂姉ちゃんがいる。
濁り湯のおかげですべては見えないが、白いうなじや胸の谷間が色っぽい。
やはり、こうして正面を向き合うと砲台が上を向いてしまう。
「勉強ってなにからする?」
「ん? お風呂でも英単語や公式の勉強するよ!」
「へぇ、じゃあ英語と数学教えてもらおうかな」
「うん。とりあえず、わからないことを聞いてみて」
熱気と姉の口から出る英単語や公式が妙な相乗効果を起こしたのか、俺は無意識に花穂姉ちゃんの肩を抱いていた。
「花穂姉ちゃん! 俺、もう我慢できないっ!」
「そ、蒼太!?」
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