姉らぶるっ!!

藍染惣右介兵衛

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【本幕・第3章】四条先輩爆乳進撃っ

1.報酬は爆乳を自由にできる権利ですっ!

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 五月一一日、昼休み。
花穂姉ちゃんが生徒会の仕事で、なにかと忙しく本日も弁当なし。
四時間目の終業が数分遅れただけで、食堂は同校の生徒でごった返す。
耳をつんざく賑やかしい話し声が、鼓膜にジリジリ響いて不快だ。

「もう食券がない……はぁ……また魚肉ソーセージか」

 食券が売り切れているわけではない。残った食券に食欲をそそるものがない。
こういう場合は、適当な菓子パンと魚肉ソーセージ二本を買うようにしている。
魚肉ソーセージを二本買うのは、一本は夜食用に持って帰って食べるためだ。

「ここに座りたいが、いいか?」

 白い長テーブルの正面に、うどんセットのトレイが置かれた。
それに加え、ドサッと巨大な胸がテーブルに乗っかったのだ。

「一週間ぶりですね、四条先輩」
「五日ぶりだ。それは新しい端末か? 紗月さんからいろいろ聞いているぞ」

 先輩の目線の先には、俺の左腕に装着されたウェアラブル。
姉二人から入学祝いに贈られた、悪魔のツールだ。
俺の目線は、先輩の胸元を捉えて離さない。驚異の胸囲である。
ブレザーを脱いでブラウス姿のためか、その大きさがさらに際立って見える。

「先輩の電話番号やアドレス聞いてもいいですか?」
「実は紗月さんに教えてもらっている」
「え?」
「この前から言っていた夏本の件、決着がつきそうなんだ。蒼太郎、協力してもらえないか?」
「ついに本丸を叩くときが来ましたか」

 おっぱいからお願いされているような感覚がするのはなぜだ。
そのトレイの向こう側に鎮座する、男のロマンを詰め込んだ二つの膨らみが雄弁に語っているとしか思えない。




 先輩からのお願いは、数日前の荒木鈴スズと似たようなものだ。
里志と追っ払った二人組が夏本に経緯を説明し、今度は夏本が直接出張って来たようだ。そこで、先輩は紗月姉に相談して、俺に役目が回って来たというわけだ。

「交際しているフリだけでいいんだ。威嚇や暴力は絶対にダメだ」
「紗月姉に相談したんでしょ? 姉は先輩の断り方が悪くて、自ら招いた厄災だと怒ってましたよ。その辺に心当たりはありますか?」 

 この人は理解しているのだろうか。
言葉は時として武器になる。その武器は言い方一つで、心を貫き通す。
四条春香という強気な女性が、やんわりと断ったとは考えにくい。

「それについては、紗月さんに叱責された。ただ、わたしの言い分もある。父が勝手に、夏本にわたしの連絡先を教えたんだ」
「自分の娘の連絡先を勝手に男に教えるなんて……とんでもないオヤジですね」
「父は夏本の親にいい顔をしたいだけなんだ。わたしの意向など無視して、夏本とくっつけばいいと思ってるだろうな。自分は女と遊び放題しているゲスのくせに……」
「ゲスオヤジですか……」

 どこか悲哀を感じるが、目は激しい怒りに燃えている。
四条春香の家庭事情を、姉たちから聞いたことがある。片親だったはずだ。
父親は夏本道場にペコペコする立場で、普段は剣道場にもあまり出ない。
子どもや中級者の指導は、娘に任せっきりだと言っていた。

「父が融通の利かない頑固者で、紗月さんが昨日家に来て父を説得してくれた。それで、当人同士が話し合って解決するなら、それでもいいとお墨つきをもらった」
「紗月姉が? それは意外な行動ですね。しかし、本当に勝手なオヤジですね……自分の娘が一方的に言い寄られているだけなのに!」
「ああ、そういう父なんだ。だから、ずっと前に母も父から離れた」
「意外なのは、紗月姉が俺のことで敵視する先輩に任せたことですね」
「いくつか条件をつけられた。花穂ちゃんに知られないこと、蒼太郎に手を出さないことだ」

 なるほど。花穂姉ちゃんに言えば過敏に反応するし、俺に手を出すなというのは紗月姉が前から言っていたことだ。しかし、先輩は手は出さないが……なんと言っていただろうか。

「それで先輩、夏本から連絡があったんですよね? いつですか?」
「夏本から話がしたいと連絡があった。保留状態だが、あの暇人のことだ。連絡して呼び出せば、絶対に来るだろう。そこへいっしょに来てほしい」

 先日のスズのケースと似たようなものだ。あれは大成功だった言えるが……
今回、大きく違うのは、父親同士がつながっているところだ。
一方的に言い寄られている場合、強引な手段で追い払えば済む。

「作戦を練ります。相手の特徴なんかの情報を、あとでメールしてください」
「わかった。引き受けてくれたことに礼を言う」

 そして、向かい合ったまま食事を続けた。
俺は四条先輩について、前から少し疑問に思っていることがあるのだが……
今は食事と目の前の巨峰から目を離せないからいいか。

「これで先輩も肩の荷が下りて、自由な恋愛ができますね」
「いや……できないと思う。わたしの心は蒼太郎に向いているからだ……」
「俺に向いてるとできない?」
「蒼太郎は恋をしない体質なのだろう? 不能者とも聞いている」

 どうやら紗月姉は、余計なことまで吹き込んだらしい。
特に不能者って、なんだそれは。失礼過ぎるだろ……

「じゃあ、仮に俺が先輩に成功報酬を求めたら?」
乳房これを直接触ってみたくないか? 揉んでもいいぞ」

 自らの巨大な乳房を持ち上げ、誘うかのような甘えた上目遣い。
スズのときの汚パンツは、まるで興味が湧かなかったが……
目の前の膨らみへの好奇心は、紗月姉への欲情とよく似ている気がする。
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