姉らぶるっ!!

藍染惣右介兵衛

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【本幕・第2章】あねちゃんぷる迎撃っ 前編!

1. 隣りの部屋からギシアン音してますっ!

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 五月八日、金曜日の放課後。
学校近くの姫咲駅から、紗月姉の住む隣県へ向かう。
隣県といっても、お互い県境なので移動距離もそう長くはない。

(へ? これが女子寮……?)

 紗月姉がメールで送って来た建物や部屋の写真を見る限りは、そこらにある古びたマンションやアパートと変わらないような気がした。ただ、紗月姉の部屋は散らかり過ぎている。

「服片づけろよな……」

 携帯電話に添付された写真に写っていたのは、衣類だらけの部屋だった。
そして、黒い下着姿で片手逆立ちしながら、ピースする紗月姉の自画撮り写真。

「なんの儀式だこれは……」

 電車に揺られること二五分、紗月姉が通う大学近くの駅に着いた。
ここから寮までは徒歩五分ぐらいのはずだ。










◇◇◇◇◇◇









 駅を出て、紗月姉から送られてきた場所を地図アプリで確認する。
寮はすぐに見つかった。ただ、加奈子さんが住んでるような高級マンションと違い、エントランスなどない本当に普通のボロアパートといった感じだ。

「紗月姉は……一〇三号室……あった」

 時代遅れなインターホンが設置されている。
これを鳴らすべきか、それとも声で呼ぶべきか……
とりあえず、声色を変えてノックをしてみることにしようか。

「青山紗月さんっ! ソーターセージのお届けに参りましたっ!」

 ドコドコと中から音がする……これはドアから退避するべきかもしれない。
そんなことを考えているうちに、ドアが勢いよく開かれた。

「蒼ちゃんっ!」

 中からロケット砲のように飛び出して、俺に抱きつく紗月姉。
送って来た写真と同じ、上下黒のセクシーな下着姿でご登場だ。

「二日ぶり、紗月姉!」
「うん、蒼ちゃん起こさずに帰ったからねっ! 爆発分補充して来た?」
「爆発分って……それよりも、そんな格好で外に出るなよ」

 感動的な再会シーンのように、姉からの一方的な強制抱擁ハグ
ブラジャー越しの見事なおっぱい撃が、バウンドしそうな勢いで炸裂。
面積の狭い、透けそうな生地のパンツが姉への欲望を増幅させる。

「あたしはこれが部屋着みたいなもんだからね!」
「いや、それ部屋着じゃない。ただの露出だぞ」
「とか言って、蒼ちゃん結構ガン見してるよね?」
「見慣れてるだけだろ……」
「どうよ? このセクシーランジェリー」

 紗月姉は、ブラジャーの肩紐をパチンと弾いてみたり、パンツの食い込みを直したり、少しずらすフリをして挑発的な仕草を見せつける。人通りの少ない小道に面しているとは言え、誰か通らないか気が気でない。

「おい。姉ちゃん! 外でやめろって! 中に入るぞ!」
「え? 蒼ちゃんが姉ちゃんの中にズッポシ入るの!? 挿入!?」
「わかったから! ズッポシ部屋に入るぞ!」

 話しているうちに、一組の男女がこちらに歩いて来た。
女性の方が俺と紗月姉を見て、ポカンとした顔をしている。

「紗月? その男の子誰? あんたの彼氏?」
「あ、うん。彼氏みたいなもんかな……さ、蒼ちゃん中に入って」

 紗月姉は強引に手を引っ張って、俺を部屋に連れ込んで行く。
そこは雑誌や衣類が散らかった汚部屋と化していた……

「なあ、さっきの人ってお隣さんだろ? 彼氏って……弟だろ?」
「うん、お隣さん……いろいろすごいお隣さん。それより、掃除しよっ!」

 紗月姉の部屋は衣服が多過ぎた……
あらゆる服がそこらじゅうに散らばっている。

「紗月姉、散らかし過ぎな!」
「あははっ! 最近ちょっと忙しくてさ、掃除怠けてたから……」
「家具動かしたいんだろ? そのために呼んだんだよな?」
「うん、ここの備え付けのベッドが重くて運べないんだ」

 部屋の西側に設置された重そうなベッドを二人で移動させた。
衣類が散らばっていて、歩き場所すら不便な状態だ。

 ゴミの分別と衣類の整理から始めることにした。
小さな円形テーブルの上の空き缶や、空のカップ麺をゴミ袋に詰め込む。
紗月姉は鞄の中をゴソゴソと探って、なにか出そうとしている。

「なにしてんの? 片づけようよ」
「蒼ちゃん、これを付けて!」

 紗月姉が出して来たもの、それは医者が使う聴診器だった。
それをつけて壁を調べている。こんな物、どこから持ってきたんだろう。

「なあ、壁に聴診器当ててなにしてんの?」

 外は日が落ちて、だんだん薄暗くなってきた。
目の前に、下着姿で壁に聴診器を当てる変なやつがいる……

「おっ、来たかな? 蒼ちゃん、ここに聴診器当てて!」
「なんで壁に聴診器当てるんだ……」

 壁に聴診器を当てると、隣の部屋の喋り声が聴こえる。
男と女が会話している。さっきのお隣りさんの声だ。

 散らかった部屋で、下着姿の姉と壁に聴診器をあてること数分。
隣室の男と女の喋り声がピタリと止んだ。
しばし静寂に包まれると思った矢先……

「あれ? 始まらないな……」
「紗月姉! 趣味悪いぞ! なんで隣の人の会話聞いてんだよ!?」
「しっ! 蒼ちゃん大きな声出しちゃダメ。この壁すごい薄いから」

 また喋り声が聴こえて来た。
喋っている声というか、軽く絶叫しているような感じに近い。
ギィギィとなにか鈍い音がリズミカルに聞こえてくる。
旅行の話だろうか、どこかへ行くと言っている。

「姉ちゃん、お隣さんは旅行へ行く話してるのか?」
「それ本気で言ってる?」

 隣からは、先程の女性の声で、行く行く、そこがいいと声が聴こえる。
笑い声とも違うし、泣き声にちょっと近い気もするが……

「まさか!? 紗月姉!」
「蒼ちゃん、お隣さんといっしょのことしたい?」
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