姉らぶるっ!!

藍染惣右介兵衛

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【序幕・第6章】あねだぶる襲撃っ 後編!

2.臭い体育倉庫で迫らないでくださいっ!

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 クリクリとした大きな目で、先生は俺をじっと見上げている。

「一〇分間なにしてもいいんですか?」
「うん、青山君が好きなようにできるならどうする?」

 蒸し暑さからなのか、照れているからなのか、先生は顔を赤く染めた。
それと同時に、俺の脳内エロ妄想劇場が盛大なファンファーレを鳴らし開幕。

 一〇分という短い時間で、経験したことがないことをやってのける。
果たしてそれが可能だろうか。それに、このカビ臭いシミつきの使用済みマットで始めるのも気が引ける。なにより俺の股間がこの状況に反応していないのもおかしい。フラグは立って、チンコ役勃たず。

「先生を押し倒してパンツ脱がせて、やっちゃってもいいんですよね?」
「いいよ。ちょっとここ臭いけど……でも、青山君は先生のこと好きなの?」

 俺は無言で先生に近づいて、肩をつかんでマットの上に強引に押し倒した。
左手で先生のジャージに手をかけて、ゆっくり引きずりおろす……
右手はポケットから携帯電話を取り出して花穂姉ちゃんの番号にコールする……

「花穂姉ちゃん、今生徒会室にいるのか? 悪いけど今すぐ外の体育倉庫に来てくれ! ん? 生徒会に関わる仕事だって! 大至急だから頼むよ」

 電話を切って立ち上がった俺を見て、先生はわけがわからないという顔をしている。

「青山君? どういうこと?」
「先生、こんなもんは処分したほうがいいですよ」
「君、最初からやる気なかったね?」
「俺は停学や退学になりたくないし、先生も本気じゃないでしょ?」
「あ、ばれてた?」
「花穂姉ちゃんが来るから、ここで待ちましょう」

 そこそこ偏差値が高い学校なのに、こんな品性下劣な悪習がずっと残る。
別に優等生を気取るわけではないが、これは早々に処分した方がいい。








◆◆◆◆◆◆









「蒼太っ! ……と宮本先生? なにしてるの?」
「蒼ちゃん、なにがあった?」
「蒼太郎、こんな場所でなにをしてるんだ?」

 花穂姉ちゃん、紗月姉、四条春香先輩がやって来た。
剣道着姿の四条先輩は、部活中なのか竹刀を持ったままだ。
紗月姉はジャージ、花穂姉ちゃんは制服姿で辞書を二冊抱えている。

「花穂姉ちゃん、四条先輩。生徒会は備品の管理も仕事の一つだろ? この汚いマットを処分してくれないか? 聞いたことあるんじゃないか、体育倉庫の伝説のマットって」
「あるある! これがそうなの!? うえっ、シミだらけ」

 花穂姉ちゃんが近づいて、まじまじと見ている。

「では、わたしが処分しよう。蒼太郎、残って手伝ってくれないか?」

 先輩とは昨日の今日でやや気まずい。
何事もなかったとは言え、二度もモロに全裸を目撃しているのだ。

「わかりまし――おわっ!?」

そのとき俺の鼻先を脚がかすめた。それは一瞬の出来事だった。

「春香! 蒼ちゃんとここに残ってなにする気!? 昨日の話は聞いてるよ!」
「紗月さんと花穂ちゃんは、蒼太郎と姉弟だろう。結ばれる運命にない。蒼太郎はわたしがもらい受ける」

 紗月姉の左上段回し蹴りを竹刀で受け止める四条先輩。
寸止めだろうけど、いったいなにが始まってるんだ……

「あなたは三年の四条さんね。格技場外での武具携行は禁止よ」

 先生が四条先輩に注意するも、蹴り脚と竹刀は干戈を交えたままだ。
そこに花穂姉ちゃんが近づき、両手に辞書を持って二人の頭に振り下ろす!
紗月姉と四条先輩は辞書を片腕でガードする。

「青山君? どうなってるの? 先生に説明しなさい」
「生徒会長命令! 他の人は解散っ! 蒼太、お姉ちゃんといっしょに片づけようね」
「蒼ちゃん、こいつらは危険だ! 姉ちゃんがいっしょに運んでやるよ」
「蒼太郎、わたしとここで……いや、一緒に片づけようか」

 微乳の先生、並盛の花穂姉ちゃん、巨乳の紗月姉、爆乳の四条先輩がズンズンと俺に迫ってくる。前門の乳、後門の汚い伝説のマット……先生はやや興奮気味、花穂姉ちゃんはもっと興奮気味、紗月姉は鼻息荒過ぎ、先輩はやる気満々だ。

 後ずさりしながら、汚いマットに押し倒される寸前……
迫り来る四人の隙間から体育倉庫の入り口を見ると、手だけが見える。
こっちへ来いと、誰かが手招きしている。

(――今だっ!)

 息の荒い四人の隙をついて、入り口へ走り抜けた。
そして、差し伸べられた手は俺を引っ張って校門の方へ走って行く。
記憶の奥底から同じ光景が、一瞬だけフラッシュバックしては消える。
小さい頃に同じようなことがあった。同じ手に引かれて走り去った。

 踊るように揺れる長い黒髪は、高貴な香りがする。
つないだ手は透き通るように白く、その体は抱き締めれば壊れそうなほど華奢だ。

 エロ教師、変態姉妹、爆乳剣士に迫られる俺に救いの手を差し伸べてくれたのは……








「……加奈子さんっ!」
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