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【序幕・第6章】あねだぶる襲撃っ 前編!
1.姉との初キスは不意打ちで行いますっ!
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五月一日、午後六時過ぎ。
四条邸を出てコンビニ、書店に立ち寄って二時間ほど費やした。
これには理由がある。俺を騙した花穂姉ちゃんに見栄を張るためだ。
「ただいま!」
玄関からリビングへ向かうと、花穂姉ちゃんがテレビを観ている。
俺はわざとらしく腰をさすりながら近づいて……
「姉ちゃん、目論見通りになってよかったな! 頼まれごとの報酬に先輩を頂いたぞ! 何回もやり過ぎて腰が痛いっ!」
すくっと立ち上がった花穂姉ちゃんは俺に近づいて匂いを嗅ぎ始めた。
首筋、背中、手、腰回りまで……
「見栄だね。やってたらそんな汗臭いわけないよ。シャワーぐらいするでしょ!」
「え!? 匂い嗅いだだけでわかんの?」
「先輩の匂いしないし、避妊具の匂いや精液の匂いが手と腰回りからしないもん。ときどき、蒼太の部屋から匂う栗の花の匂いねっ! 石鹸の匂いもしないってことは、お風呂にも入ってない」
なんだ、この姉は……どこぞの名探偵みたいだな。
やはり、三文芝居で騙せるほど単純な相手ではない。
◆◆◆◆◆◆
午後六時半、食事の用意をする花穂姉ちゃんを隣で手伝うことにした。
今晩は大好物の煮込みハンバーグを作ってくれるらしい。
「それで、先輩の頼みごとは解決できそう?」
「二人組のナンパ野郎なら大丈夫だけど、背後にいる奴がなぁ……」
「あっ! 聞いたことがあるよ。夏本さんだっけ? 隣町の剣道場の」
「うん、そいつ。うまく退かせる方法があればいいんだけど」
「大丈夫! 蒼太にはすごい武器あるじゃない!」
花穂姉ちゃんがしみじみ言いながらハンバーグをこねる。
こねて、こねて……太長いそれを俺の股間の方へ持ってくる……
「おい、姉ちゃん!」
「このぐらいかな? 蒼太のチンチンすごいもんねっ! 最大の武器!」
大好物のハンバーグは、四条先輩の頼みを聞いたご褒美じゃないのか……
姉が余計なことするから、どんどん食欲がなくなってきた。
「姉ちゃん、更衣室のときみたいな騙し方はもうしないでくれよ」
「ごめんっ! でも、先輩にどうしてもって頼まれたからね、断わりづらくて」
食卓に並んだ煮込みハンバーグを食べながら今日の反省会をしている。
花穂姉ちゃんのハンバーグは……異質な形状のままだ。
「もしもってことは考えなかった!? やってたかもしれないぞ?」
実際に布団の上で裸になって始める寸前だったのだ。
四条春香の積極性や大胆な行動は、姉にとって想定外だったはず。
「ないね! 万が一もない! 蒼太は女性経験ない、ただのデカチンだもんっ!」
動揺しているような様子ではない。
まるで四条先輩や俺の行動パターンがわかっていたかのような表情だ。
手元の異質な棒状のハンバーグを食べ始めて黙り込んでしまった。
しかし、ただのデカチンって、褒め言葉だと気づかないところが可愛いな。
食事の片づけを終えて、リビングのソファでくつろいでいるときだった。
花穂姉ちゃんが、以前うやむやになった約束の話を切り出してきたのだ。
「蒼太! お姉ちゃん約束守ってるよね!? だから蒼太も守ってくれる?」
「守ってると言えなくもないけど……俺なにすればいいの?」
確か前に提示してきた条件は、混浴、添い寝、抱擁、頬チューだ。
「ほっぺにチューかなっ!」
俺はそっと花穂姉ちゃんの頬に顔を近づけて……
いきなり唇にキスをした。一度目は素早く離し、二度目に突入。
「わっ! なにすんの? 蒼……んっ」
なにかを言おうと口を開く前に三度目、またいったん離して四度目……
「……花穂姉ちゃん」
「うわっ! 蒼……んくっ」
ギュッと抱き寄せて、長めの五度目。
――――カチッカチッカチッカチッカチッ
花穂姉ちゃんの手の中から音がする。
手の中になにかを持っているようだ。
「蒼太からこんなにしてもらえるなんて嬉しいなっ!」
あれ? 逆襲のつもりで花穂姉ちゃんの初キスを奪ったつもりなんだけど……
「もしかして、姉ちゃんってキスしたことあったのか!?」
「じゃーんっ! 今ので蒼太とのキスは三千回突破っ!」
手には回数カウンターが握られている……回数は三〇〇二。
「げ!? 嘘だろ!?」
「蒼太が寝てる間に何回したと思ってんの? たぶん紗月姉もしまくってるよ」
「おいおいっ! なにやってんだよ!? 他に変なことしてないだろうな……」
キスカウンターを持って薄ら笑いを浮かべている花穂姉ちゃん。
「わたしはチューと朝のモッコリをパンツの上からツンツンするぐらい」
するぐらいって……なにやってんだよ。
まあ、花穂姉ちゃんはまだマシな方だ。問題は紗月姉だな。
「まさか……紗月姉も同じようなことしてるんじゃないだろうな!?」
「紗月姉はパンツに手を突っ込んで握ってるかもねっ!」
――神様、仏様、このアホ姉妹を辺境の惑星へ追いやってください……
四条邸を出てコンビニ、書店に立ち寄って二時間ほど費やした。
これには理由がある。俺を騙した花穂姉ちゃんに見栄を張るためだ。
「ただいま!」
玄関からリビングへ向かうと、花穂姉ちゃんがテレビを観ている。
俺はわざとらしく腰をさすりながら近づいて……
「姉ちゃん、目論見通りになってよかったな! 頼まれごとの報酬に先輩を頂いたぞ! 何回もやり過ぎて腰が痛いっ!」
すくっと立ち上がった花穂姉ちゃんは俺に近づいて匂いを嗅ぎ始めた。
首筋、背中、手、腰回りまで……
「見栄だね。やってたらそんな汗臭いわけないよ。シャワーぐらいするでしょ!」
「え!? 匂い嗅いだだけでわかんの?」
「先輩の匂いしないし、避妊具の匂いや精液の匂いが手と腰回りからしないもん。ときどき、蒼太の部屋から匂う栗の花の匂いねっ! 石鹸の匂いもしないってことは、お風呂にも入ってない」
なんだ、この姉は……どこぞの名探偵みたいだな。
やはり、三文芝居で騙せるほど単純な相手ではない。
◆◆◆◆◆◆
午後六時半、食事の用意をする花穂姉ちゃんを隣で手伝うことにした。
今晩は大好物の煮込みハンバーグを作ってくれるらしい。
「それで、先輩の頼みごとは解決できそう?」
「二人組のナンパ野郎なら大丈夫だけど、背後にいる奴がなぁ……」
「あっ! 聞いたことがあるよ。夏本さんだっけ? 隣町の剣道場の」
「うん、そいつ。うまく退かせる方法があればいいんだけど」
「大丈夫! 蒼太にはすごい武器あるじゃない!」
花穂姉ちゃんがしみじみ言いながらハンバーグをこねる。
こねて、こねて……太長いそれを俺の股間の方へ持ってくる……
「おい、姉ちゃん!」
「このぐらいかな? 蒼太のチンチンすごいもんねっ! 最大の武器!」
大好物のハンバーグは、四条先輩の頼みを聞いたご褒美じゃないのか……
姉が余計なことするから、どんどん食欲がなくなってきた。
「姉ちゃん、更衣室のときみたいな騙し方はもうしないでくれよ」
「ごめんっ! でも、先輩にどうしてもって頼まれたからね、断わりづらくて」
食卓に並んだ煮込みハンバーグを食べながら今日の反省会をしている。
花穂姉ちゃんのハンバーグは……異質な形状のままだ。
「もしもってことは考えなかった!? やってたかもしれないぞ?」
実際に布団の上で裸になって始める寸前だったのだ。
四条春香の積極性や大胆な行動は、姉にとって想定外だったはず。
「ないね! 万が一もない! 蒼太は女性経験ない、ただのデカチンだもんっ!」
動揺しているような様子ではない。
まるで四条先輩や俺の行動パターンがわかっていたかのような表情だ。
手元の異質な棒状のハンバーグを食べ始めて黙り込んでしまった。
しかし、ただのデカチンって、褒め言葉だと気づかないところが可愛いな。
食事の片づけを終えて、リビングのソファでくつろいでいるときだった。
花穂姉ちゃんが、以前うやむやになった約束の話を切り出してきたのだ。
「蒼太! お姉ちゃん約束守ってるよね!? だから蒼太も守ってくれる?」
「守ってると言えなくもないけど……俺なにすればいいの?」
確か前に提示してきた条件は、混浴、添い寝、抱擁、頬チューだ。
「ほっぺにチューかなっ!」
俺はそっと花穂姉ちゃんの頬に顔を近づけて……
いきなり唇にキスをした。一度目は素早く離し、二度目に突入。
「わっ! なにすんの? 蒼……んっ」
なにかを言おうと口を開く前に三度目、またいったん離して四度目……
「……花穂姉ちゃん」
「うわっ! 蒼……んくっ」
ギュッと抱き寄せて、長めの五度目。
――――カチッカチッカチッカチッカチッ
花穂姉ちゃんの手の中から音がする。
手の中になにかを持っているようだ。
「蒼太からこんなにしてもらえるなんて嬉しいなっ!」
あれ? 逆襲のつもりで花穂姉ちゃんの初キスを奪ったつもりなんだけど……
「もしかして、姉ちゃんってキスしたことあったのか!?」
「じゃーんっ! 今ので蒼太とのキスは三千回突破っ!」
手には回数カウンターが握られている……回数は三〇〇二。
「げ!? 嘘だろ!?」
「蒼太が寝てる間に何回したと思ってんの? たぶん紗月姉もしまくってるよ」
「おいおいっ! なにやってんだよ!? 他に変なことしてないだろうな……」
キスカウンターを持って薄ら笑いを浮かべている花穂姉ちゃん。
「わたしはチューと朝のモッコリをパンツの上からツンツンするぐらい」
するぐらいって……なにやってんだよ。
まあ、花穂姉ちゃんはまだマシな方だ。問題は紗月姉だな。
「まさか……紗月姉も同じようなことしてるんじゃないだろうな!?」
「紗月姉はパンツに手を突っ込んで握ってるかもねっ!」
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