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【序幕・第2章】可憐な加奈子さんっ
2.おっぱいで顔を挟まないでくださいっ!
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放課後、雲行きが怪しくなってきた。
教室から窓の外を見ると、どす黒い雲が北の山手からゆっくりと迫ってくる。
「こりゃ早く帰ったほうがよさそうだな」
天気予報も確認せず、今朝は晴れていたので傘を持参していない。
下駄箱で靴に履き替えて校舎を出ると、加奈子さんが校門の隅に立っている。
「……弟君、いっしょに帰りませんか?」
「花穂姉ちゃんは?」
「生徒会室です。先に帰るようにおっしゃられて……」
こうして一緒に帰るお誘いを受けるのは理由がある。
花穂姉ちゃんのせいなのだ。加奈子さんをほぼ無理矢理、副会長に指名した。
親友に一生のお願いと頼まれては、加奈子さんも断り切れない。
しかし、実際は名ばかりの役職で、姉ちゃんの付き添い役が主な仕事だ。
「加奈子さん、一雨来るかもしれないから早く帰ろう!」
「そうですね。帰りましょう」
要するに居残って仕事をする生徒会長の代わりにいっしょに帰ること。
ボディガード的なものだろう。この容姿と弱気な性格で、男に絡まれると厄介だ。
昨年度は上の姉も在校していたため、姉二人のどちらかがこの役割を担っていた。
加奈子さんといっしょに帰る上で、姉から厳重注意されていることがある。
寄り道は絶対しない、姉たちが不在のときに家に連れ込まない。
あとは誤解を招かないように、一定の距離を保つこと。
憧れの制服下校デートではなく、本当に身辺警護みたいだ。
しかも、変質者やナンパ男を警戒しているというより……
俺自身が一番、姉二人から警戒されているような気がする。
◆◆◆◆◆◆
学校から出て、一〇分ほど歩いたときだった。
どす黒い雲が空を覆い、風が吹いて強い雨が降り出した。
「うわっ! いきなりどしゃ降りか……」
ゴロゴロと雷の音も鳴り響いている。
隣を見ると加奈子さんが青い顔で肩を震わせ、今にも泣き出しそうな顔だ。
「お、弟君……雷怖いです……家までまだ距離あるのに……怖い……」
加奈子さんの家は青山家から徒歩でさらに一〇分ほどかかる。
この人、お嬢様らしいというか……自転車に乗れないのだ。
「加奈子さん! ひとまずうちで雨宿りして行けば? 雷はすぐおさまるよ」
風も雨脚も少しずつだが強まってきた。
傘を差していない俺も加奈子さんもずぶ濡れの状態だ。
姉が不在のときに加奈子さんを連れ込んではいけないが……
そんなことを考えている場合ではなさそうだ。
「怖いです……弟君、早く行きましょう……」
「加奈子さんも雷苦手だったっけ?」
「はい……弟君も?」
「いや、俺じゃないんだけど、姉ちゃんが苦手だったような……」
のんびり雑談している暇はないようだ。
降り始めた雨は雷鳴と共に激しさを増していく。
あまり雨避けにはならないが、二人で鞄を傘代わりにして帰路を急いだ。
家に着いたのはいいものの、加奈子さんがずぶ濡れで風邪をひくかもしれない。
このまま乾燥機に入ってもいいぐらい俺もずぶ濡れの状態だ。
「加奈子さん、姉ちゃんの家着持って来るよ。制服は乾燥器で俺のと一緒に回しとくから、脱衣場で着替えてくれるかな?」
「……は、はい。お願いします……あとタオル、借りてもいいですか?」
「あっ、そうだった! 髪も拭いて乾かさないと、風邪ひいちゃうね」
「すみません。よろしくお願いします……」
タンスの中からタオルと花穂姉ちゃんの家着を出して加奈子さんに渡すと……
その場でスカートを脱ぎ始めた。純白のパンツも雨でグッショリと濡れている。
水分を含んだ長い髪が妙に色っぽい。
「か、加奈子さんっ! 脱衣場で脱ごうよ……」
「……そうでした。弟君もいっしょに脱がないのですか?」
「俺もいっしょに? いやいや……俺は適当に着替えるから」
「では、失礼します……」
軽く会釈をして脱衣場へ向かう加奈子さん。
この家には何度も来ているから案内する必要はない。
「俺も全部着替えないとな……え!? 加奈子さん?」
「どうしました? 弟君……」
確かに加奈子さんは脱衣場へ向かった。
だが、脱衣場のドアの前で脱衣している。
今度はブラウスも脱いで、純白の上下が丸見えだ。
「加奈子さん、脱衣場の中で脱いでくれよ……」
――――ピシャッゴロゴロッガッシャーーンッ!!
加奈子さんを注意した瞬間だった。
爆発音に近い雷鳴と目も眩むような稲光で停電したのだ。
「近くに落ちたなぁ……うぷっ! な、なんだこれ!?」
暗闇でなにも見えないリビング。
俺は座って洗濯物を畳んでいたのだが……
頬に柔らかい感触を感じる。それも両側から……
「蒼太ぁ、お姉ちゃん雷怖い……」
「お、弟君……助けて……ください……」
右の頬をぶたれたら、左の頬を出しなさいという言葉がある。
右頬はいつの間にか帰宅した花穂姉ちゃんの並盛りサイズのおっぱい撃で圧迫され、左頬は加奈子さんの小ぶりなおっぱい撃。まさに挟み撃ちとはこのことだ。
「ちょ、ちょっと! 姉ちゃんも加奈子さんも離れてくれよ! 苦しいっ!」
板挟みならぬ乳挟みの状況だが、怖がりの二人が力いっぱい抱きついている。
花穂姉ちゃんの濡れたブラウス越しに感じる胸の柔らかさと、加奈子さんは……ブラジャーから伝わる湿り気と微乳の感触が……
締め付けられて少々息苦しくなってきた頃に電気が復旧した。
「蒼太? これはどういうこと!? 加奈ちゃん、なんで下着姿なの……」
「花穂さん……濡れたので……」
「濡れたの!? 加奈ちゃん、蒼太との濡れ場なの? 禁断だよ?」
「姉ちゃん……違うって! 見りゃわかるだろ」
「とにかく加奈ちゃんはお風呂入って! 制服乾かすから」
「あ、俺も濡れたから部屋で着替えに……」
「蒼太、逃げるなっ! そこに座りなさい!」
その後、リビングで正座させられ、延々と姉ちゃんの説教を受けるはめに……
「あれ? 説教するのは俺のほうじゃなかったっけ?」
教室から窓の外を見ると、どす黒い雲が北の山手からゆっくりと迫ってくる。
「こりゃ早く帰ったほうがよさそうだな」
天気予報も確認せず、今朝は晴れていたので傘を持参していない。
下駄箱で靴に履き替えて校舎を出ると、加奈子さんが校門の隅に立っている。
「……弟君、いっしょに帰りませんか?」
「花穂姉ちゃんは?」
「生徒会室です。先に帰るようにおっしゃられて……」
こうして一緒に帰るお誘いを受けるのは理由がある。
花穂姉ちゃんのせいなのだ。加奈子さんをほぼ無理矢理、副会長に指名した。
親友に一生のお願いと頼まれては、加奈子さんも断り切れない。
しかし、実際は名ばかりの役職で、姉ちゃんの付き添い役が主な仕事だ。
「加奈子さん、一雨来るかもしれないから早く帰ろう!」
「そうですね。帰りましょう」
要するに居残って仕事をする生徒会長の代わりにいっしょに帰ること。
ボディガード的なものだろう。この容姿と弱気な性格で、男に絡まれると厄介だ。
昨年度は上の姉も在校していたため、姉二人のどちらかがこの役割を担っていた。
加奈子さんといっしょに帰る上で、姉から厳重注意されていることがある。
寄り道は絶対しない、姉たちが不在のときに家に連れ込まない。
あとは誤解を招かないように、一定の距離を保つこと。
憧れの制服下校デートではなく、本当に身辺警護みたいだ。
しかも、変質者やナンパ男を警戒しているというより……
俺自身が一番、姉二人から警戒されているような気がする。
◆◆◆◆◆◆
学校から出て、一〇分ほど歩いたときだった。
どす黒い雲が空を覆い、風が吹いて強い雨が降り出した。
「うわっ! いきなりどしゃ降りか……」
ゴロゴロと雷の音も鳴り響いている。
隣を見ると加奈子さんが青い顔で肩を震わせ、今にも泣き出しそうな顔だ。
「お、弟君……雷怖いです……家までまだ距離あるのに……怖い……」
加奈子さんの家は青山家から徒歩でさらに一〇分ほどかかる。
この人、お嬢様らしいというか……自転車に乗れないのだ。
「加奈子さん! ひとまずうちで雨宿りして行けば? 雷はすぐおさまるよ」
風も雨脚も少しずつだが強まってきた。
傘を差していない俺も加奈子さんもずぶ濡れの状態だ。
姉が不在のときに加奈子さんを連れ込んではいけないが……
そんなことを考えている場合ではなさそうだ。
「怖いです……弟君、早く行きましょう……」
「加奈子さんも雷苦手だったっけ?」
「はい……弟君も?」
「いや、俺じゃないんだけど、姉ちゃんが苦手だったような……」
のんびり雑談している暇はないようだ。
降り始めた雨は雷鳴と共に激しさを増していく。
あまり雨避けにはならないが、二人で鞄を傘代わりにして帰路を急いだ。
家に着いたのはいいものの、加奈子さんがずぶ濡れで風邪をひくかもしれない。
このまま乾燥機に入ってもいいぐらい俺もずぶ濡れの状態だ。
「加奈子さん、姉ちゃんの家着持って来るよ。制服は乾燥器で俺のと一緒に回しとくから、脱衣場で着替えてくれるかな?」
「……は、はい。お願いします……あとタオル、借りてもいいですか?」
「あっ、そうだった! 髪も拭いて乾かさないと、風邪ひいちゃうね」
「すみません。よろしくお願いします……」
タンスの中からタオルと花穂姉ちゃんの家着を出して加奈子さんに渡すと……
その場でスカートを脱ぎ始めた。純白のパンツも雨でグッショリと濡れている。
水分を含んだ長い髪が妙に色っぽい。
「か、加奈子さんっ! 脱衣場で脱ごうよ……」
「……そうでした。弟君もいっしょに脱がないのですか?」
「俺もいっしょに? いやいや……俺は適当に着替えるから」
「では、失礼します……」
軽く会釈をして脱衣場へ向かう加奈子さん。
この家には何度も来ているから案内する必要はない。
「俺も全部着替えないとな……え!? 加奈子さん?」
「どうしました? 弟君……」
確かに加奈子さんは脱衣場へ向かった。
だが、脱衣場のドアの前で脱衣している。
今度はブラウスも脱いで、純白の上下が丸見えだ。
「加奈子さん、脱衣場の中で脱いでくれよ……」
――――ピシャッゴロゴロッガッシャーーンッ!!
加奈子さんを注意した瞬間だった。
爆発音に近い雷鳴と目も眩むような稲光で停電したのだ。
「近くに落ちたなぁ……うぷっ! な、なんだこれ!?」
暗闇でなにも見えないリビング。
俺は座って洗濯物を畳んでいたのだが……
頬に柔らかい感触を感じる。それも両側から……
「蒼太ぁ、お姉ちゃん雷怖い……」
「お、弟君……助けて……ください……」
右の頬をぶたれたら、左の頬を出しなさいという言葉がある。
右頬はいつの間にか帰宅した花穂姉ちゃんの並盛りサイズのおっぱい撃で圧迫され、左頬は加奈子さんの小ぶりなおっぱい撃。まさに挟み撃ちとはこのことだ。
「ちょ、ちょっと! 姉ちゃんも加奈子さんも離れてくれよ! 苦しいっ!」
板挟みならぬ乳挟みの状況だが、怖がりの二人が力いっぱい抱きついている。
花穂姉ちゃんの濡れたブラウス越しに感じる胸の柔らかさと、加奈子さんは……ブラジャーから伝わる湿り気と微乳の感触が……
締め付けられて少々息苦しくなってきた頃に電気が復旧した。
「蒼太? これはどういうこと!? 加奈ちゃん、なんで下着姿なの……」
「花穂さん……濡れたので……」
「濡れたの!? 加奈ちゃん、蒼太との濡れ場なの? 禁断だよ?」
「姉ちゃん……違うって! 見りゃわかるだろ」
「とにかく加奈ちゃんはお風呂入って! 制服乾かすから」
「あ、俺も濡れたから部屋で着替えに……」
「蒼太、逃げるなっ! そこに座りなさい!」
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