姉らぶるっ!!

藍染惣右介兵衛

文字の大きさ
上 下
210 / 217
【真幕・第5章】あねったい遊撃っ 前編!

4.幼馴染が下着姿で看病とお泊りですっ!

しおりを挟む
 幼馴染という言葉がある。幼い頃から交流がある友人たちだ。
その中でも特に古い付き合いなのが、加奈子さんである。これは、青山家と結城家が、祖父の代から付き合いがあるからだ。その次に長いのが、荒木鈴スズとなる。

 俺とスズは幼稚園から一緒だった。あまり覚えていないが、よく家にも来ていたらしい。その頃からうちの姉たちとは仲が良く、本当の妹のように可愛がられていた。一学年離れている花穂姉ちゃんにとは、学校の中でも親しかったようだ。紗月姉は空手道場で小学生の頃から毎週のように顔を合わせていた。青山姉妹と三人で遊びに行くこともあれば、どちらか一方と出掛けることもあった。

 里志は幼稚園が別々であったため、俺のほうがスズとの付き合いは長い。ただ、女友達という感覚ではなく、男友達に近い存在だ。それは、思春期を迎えても、何ら変わりはしなかった。ベリーショートで胸は盛り塩程度のペッタンコ。格闘技の才能を有しており、その四肢は凶器と呼べる。

「それが、恐怖の空手ボクっ娘、荒木鈴なのであるっ!」
「おいっ! 誰が盛り塩だ!」

 スズが予備の布団を部屋に運び込んで、床の上に敷き始めた。
コイツのすごいところは、青山家に何度も出入りしているせいで、どこになにがあるのかを把握していることだ。

「スズ。着替えはあるのか?」
「いや、ない。暑いし制服脱ぐだけでいいよ」
「うむ。問題ない。お前の下着姿ならチンピク度はゼロ、いやマイナスかもしれん」
「あたしもアオに見られても全然なんとも思わないなー」

 スズはベッドに寝転ぶ俺の視線も気にせず、その場で制服を脱ぎ始める。
ブラウスが床に落ち、次に短めのスカートがストンと落ちる。グレーのスポーツブラとショーツだ。有名ブランドの英字ロゴがプリントされている。体の線は細いが、よく引き締まっているのがわかる。色気には欠けるが、美しさを感じるのは確かだ。

「お前、ちょっと痩せただろ? 恋煩いだな!?」
「さすが、生きた女体メジャーだなアオは! 里志の件で食が細くなってたからな! でも、もう大丈夫。ちゃんと付き合えたしね」
「誰が女体メジャーだ……俺はお前の太もも以外に興味は皆無だ……」
「膝蹴りなら、元気になってから食らわしてやるぞ!」

 床に敷いた布団の上に、下着姿の同級生の女の子が体育座りをしているのだが、変なことをしてやろうという気分にはならない。なにも感じないからではなく、そこにいるのが荒木鈴だからだ。俺にとって、特別な存在は恋人である加奈子さんだけど、スズは別の意味で特別なのかもしれない。

 スポーツブラの小さな膨らみ、細い腰にヘソ、体にフィットしたショーツ。
髪は伸ばしている途中らしく、ショートヘアに近い長さになりつつある。確かに以前よりは、女の子らしさが増した気がする。

「里志とはどうだ? ちゃんとやり取りしてるのか?」
「うん。まあ、今日のことも一応報告してる」
「おいおい。他の男の家に泊まるって言う女がいるとは驚きだぞ……」
「変わんないよ。あたしも里志も。アオはアオだろ? 信用されてるんだ」
「親友にそんなに信用されてちゃお前にセクハラ出来ないじゃねーか!」
「いや、そこは里志に感謝するところだろ!」

 熱が下がらないせいで、こうした軽口の応酬にもかなりの体力を消耗する。
フゥフゥと息をしながら、額に浮き出した汗を拭う。Tシャツが汗でベタついて気持ち悪い。この時、ようやく風呂に入っていないことに気づいたのだ。

「風呂入りたいな……」
「今夜は我慢しなよ。体吹いてやろうか?」
「悪い。頼む。汗でベタベタして着替えたい」
「洗面器とタオル持ってくる!」

 スズはドカドカと騒がしく階段を降りていった。アイツは、いちいち生活音がやかましい。ただ、あれこれ説明しなくてもいいのは楽である。身内に看病されているのと変わりない。

(あ……なるほど。身内か……)

 どこかスズを異性として見れない理由は、身近過ぎたからだろうか。
いや、女らしさは感じる。今日の下着姿は、健康的な美しさがにじみ出ている。ただし、エロさが足りないのだ。話し方やサバサバした性格の影響も大きい。









◆◆◆









 スズが洗面器を両手にかかえて、ゆっくりと部屋に入って来る。
白無地のタオルは自身の首に掛けて、パンツにもう一枚のミニタオルを挟んでいる。

「おま……そこに人の顔を拭くタオル突っ込むなよ!」
「うっさいなー! 手が塞がってんだよ!」

 ベッド脇に置いた洗面器には湯が張られている。スズはそこにタオルを入れて、それを力いっぱい絞る。拭きやすい形に整えて、俺のベッドに膝を乗っけて来た。
 
「あ、そうだ。脱がないと拭けないよな」

 俺はTシャツではなく、掛け布団をめくってボクサーブリーフを脱ぎ始めようとする。パンツのゴムに手をかけて、毛の部分までずりおろしたところでストップがかかる。こういうやり取りも定番になりつつある。

「シャツを脱ぐんだろ! パンツ脱いで、なにすんのさ!?」
「パンツ脱いだらなにをするだと? パンツを穿くに決まっているだろ!」
「アオはアホだ! さっさとシャツ脱いでくれよ!」

 パンツを脱いでも、ショボくれたチンチンを幼馴染に見られるだけである。
明石先生に恐ろしく効果のある精力剤を飲まされ、こんにゃくプレイで絞られて賢者タイムの継続中だ。あの墳墓のようなティッシュの量から考えて、一発ぶち抜いただけではないだろう。

 タオルを持って急かすスズを横目に、俺はひとまずTシャツを脱いだ。
ベッドの上で同級生の女の子と下着姿で二人きり。こんなシチュエーションだというのに、色気も感じなければ、性衝動も皆無だ。
  
「んー。それじゃあ、首と背中から拭くから」
里志かれしのベッドより先に、俺のベッドに上がる女、だな!」
「全然気にしないねっ! アオの看病すんの初めてじゃないだろ?」

 あっけらかんとした様子で、なにも動じずに体を拭き続けるスズ。
確かにスズに看病してもらうのは初めてではない。年に何度も熱を出すのだ。親も姉二人も都合が悪い日だってあった。そんな日は、スズに世話になったものだ。

「悪いな、スズ。ありがとう」
「いいからさ。アオとの間でそういうの似合わないよ」
「お礼はこのあと、全裸で組んず解れつ慰め合うってことでいいか?」
「はいはい。次ぃ、前を拭くからじっとして!」

 コイツの中では、俺は完全な草食動物らしい。絶対に襲われる心配がないと確信があるのか、警戒している素振りなどまるで感じられない。当然ながら、俺もおかしなことをする気はまるでない。

 異変は少しずつ起きていた。スズが俺の肩口から胸部を拭き始めたときだ。
スポーツブラやショーツの布地が俺の肌に触れるのだ。スズはベッドに膝を乗っけているだけであり、壁側の半身を拭くときに手をぐっと伸ばしてくる。その時にどうしても布地が肌に触れてしまう。

「……うーん」
「アオ? しんどいの? 大丈夫か?」
「いや。チンコが勃ってきてな。ちょい勃ちだ。なんでだろ?」
「知るかっ! 元気な病人だなぁ……」

 呆れ顔を見せつつタオルを洗面器の中に浸して、次にミニタオルを手に持った。
先ほど、濡れタオルで拭いた部位を乾いたミニタオルで拭き取っていく。この方法は、紗月姉から教わったのだ。人の世話をする方法なのに、細かなところまで覚えている。ぶっきらぼうなクセして、根は優しくて面倒見がいい。

「なあ、スズ。里志と付き合っててもいいからさ」
「うん? なに?」
「俺の嫁になれ! お前に看病されるのは、姉ちゃんや母さんと同じぐらい安心する。これからもお前の力が必要になるだろう。つまり、嫁になれ!」
「熱でアオがアホになった! 別にさぁ、嫁にならなくても看病してやるよ。この先、里志と付き合ってても、結婚しても、子供ができても……ずっと、あたしとアオは変わんないだろ。なに、今更言ってんだか」
「……お前、本当にいい奴だな。パンツ脱がせたくなるだろ!」
「脱がしたらセクハラで訴えるからなっ!」

 荒木鈴はいい女だ。そして、いい奴だ。コイツは俺との関係性を自分なりに考えて、大事にしているに違いない。そういえば、初恋の相手が俺だとカミングアウトしていた。そのあたりの気持ちも関係しているのだろうかと、つい気になってしまう。

「スズ。もし、里志と加奈子さんがいなかったら、俺とお前って付き合ってたか?」
「それは、絶対にないね。アオはアオだ。あたしは他の男の子と付き合って、結婚するんだと思う。アオもそう思ってるんだろ?」
「うん。そうだな。俺とスズはそういう関係だ」

 体を拭き終えて、別のTシャツを着て横になる。スズも床に敷いた布団に寝転んだ。ほんの少しだが、熱が下がったような気がする。なにより、体のベタつきがなくなったのが快適だ。

「アオはさ、一番特別だけど、特別じゃないんだ」
「わかる気がする。スズとエッチするとか考えたことがない。そういうのじゃない」
「あー。わかるなぁ。アオとそういうことダメだ。イヤとかじゃないんだ」

 長い長い年月を経て、俺とスズの間には奇妙な友情と愛情が芽生えていた。
普段はくだらないことでふざけ合って、しょうもない言い合いを繰り返すような仲だ。しかし、こうしてお互いが思春期を迎えて、多感な時期だからこそ改めて思える。

 荒木鈴とは、俺の家族である。家族同然の存在だ。姉であり、妹でもある。
二人の姉や加奈子さんとは、まったく別のカテゴリに入る存在だ。その他特別というカテゴライズだ。これもまた、侵してはならない聖域なのかもしれない。いや、お互い空気のような存在というのが正しい。いて当たり前、いなくても当たり前なのだ。

「スズ。おやすみ。寝込み襲うなよ」
「アオも欲情して襲うなよ! おやすみぃ!」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々

yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

将棋部の眼鏡美少女を抱いた

junk
青春
将棋部の青春恋愛ストーリーです

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

バレー部入部物語〜それぞれの断髪

S.H.L
青春
バレーボール強豪校に入学した女の子たちの断髪物語

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

処理中です...