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第零章【管理局資料室】

第零章【亜空間創設者】第三幕『対の間の幕間劇』

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【前書き】

琉満成ルミナ博士の適当なある目覚めの一日】



「そして、私は遡る。」幕外編


後日談ともいえる話です。ネタバレする可能性あり。
本編を読まれていないと理解不能です(・.・;)







【本文】
 「起きてください! 博士、博士! 琉満成《ルミナ》博士!」

誰かが俺を呼ぶ声がする……。聞き覚えのある澄んだ声だ……。

「――ん――? んぁ、あーっ……、よっく寝たぁー!」

研究室のベッドで目を覚ますと、助手のサキ君が俺の顔をのぞき込んでいる。


 「博士? 大丈夫ですか? 実験宇宙《ミニチュア》はどうでした!?」

そんなに目を輝かせて質問されてもな……。なにから思い出せばいいんだっけ?

とりあえず、ここは宇宙科学研究所の一室で……俺の研究室《ラボ》だ。




 「――うーん、二時間かぁ。たった二時間でも実験宇宙《ミニチュア》で、何年過ごしたかな?」

目の前にある水槽、その中には黒い塊が浮かんでいる。

我々が実験で創り出した、小さな宇宙《ユニバース》だ。

「博士ってば! さっきから聞いてるんですけど? 実験宇宙《ミニチュア》はどうでしたか?」

「悪《わり》い、悪《わり》い! 実験宇宙《ミニチュア》はこの世界と同じように育ってるぞ。つい面白くてな、長居しちまったな」

長居したのはいいんだが……、必要なことを思い出せねえ。

研究費を遣いまくって、論文が書けませんって結果はヤバ過ぎるよな……。

思い出せ俺っ!






 「へぇー! こんな実験宇宙《ミニチュア》にもう人間が住んでたんですか?」

実験宇宙《ミニチュア》も時間の流れを急速に進めればそれなりの文明はできる。

もっとも、我々の宇宙のコピー、模造品みたいなもんだから同じような歴史を辿るんだけど……。

「つーか、俺は実験宇宙《ミニチュア》に関係ねえだろ……。亜空間の管理と研究が目的で実験宇宙《ミニチュア》に入り込んでたんだからな……」

「実験宇宙《ミニチュア》の研究員《スタッフ》は、まだ意識《アストラル》体で行って帰って来てない人もいますよ?」

そりゃあご苦労なこった。精々、良い研究結果を残したまえよ。

――俺はどんと疲れた。なんでこんなに疲れたんだろうな?







 「サキ君、次は君が行ってみるか? 意識《アストラル》体は脳が疲れるんだよな……」

なにか重要なことを忘れてねえか……。思い出せんな。

「え!? 意識《アストラル》体でこの水槽の宇宙に飛び込むんでしょ!? 嫌ですよー!」

――――おい、人がさっきやり終えて来たことをそんなに嫌がるなよ……。

「なんだか頭がクラクラしてな、覚えていたはずのこと全部すっ飛んだ」

「博士、それヤバいです! シャレになってません。それじゃもう一度……」

行くか、アホ! 俺があの中で何年過ごしたと思ってるんだ……。







 「……でサキ君、実験宇宙《ミニチュア》から戻って来てない研究員《スタッフ》って俺の他に誰がいるんだ? 随分ゆっくりしてるんじゃねえか? 死んでねーだろうな」

「ああ、その人ならこちらで眠っていらっしゃいますよ。意識《アストラル》体喪失反応がありますからまだ実験宇宙《ミニチュア》にいるんでしょうね」

どんなアホだ。俺以上に寝坊助で研究熱心な奴は……。

ちょっとツラでも拝みに行ってやるか。間抜けな寝顔とご対面ってか。








 「――――こいつは――――!!」

見覚えがあるどころの騒ぎじゃねえ……。けど、頭に靄がかかったようで思い出せん。

……親友? 友人? 知人? 好敵手? いや、敵か……?

「この人って博士の同期の人でしたっけ? 実験宇宙《あっち》で会いませんでした……って示し合わさないと時代も場所も違いますもんね! 何の任務で行ってるんでしょうね?」

「ちょっと待て、サキ君。こいつの寝顔に落書きをしてみてえよな!?」

極太のマーカーで極太の眉毛を書いて、そうだな……ちょび髭なんかどうだ?

あとは猫の髭を書いて……。まぶたにキラッキラの目玉を書いてやろうか……。

口から出るヨダレを書き足すのも面白い……。












 「胡蝶の夢の人でしたっけ? ほら、いつも始まりの謎について熱く語る人」






「ああ……そういうことね。落書きは中止かよ。いい夢見ろよ親友……」

【後書き】
この作品を最後まで読んでいただきありがとうございました(・▽・)
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