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47シエル君って人は
しおりを挟むボルクはシエルの子宮奥深くにぐっと男根を突き入れた。何度も腰を奥まで突き入れてこれでもかと言うくらい最奥の果てに愉悦と陶酔感に浸りながら迸ほとばしる精をぴゅくぴゅく放った。
シエルを抱きしめ彼女を愛していると何度も何度も心の中で繰り返しながら…
やっと脳内で理性と言うものが働き始めて驚く。
シエルは狂おしいほどの喜びの中で意識を失っていたらしい。
っやく。
ボルクはシエルにそっと口づける。その愛しい人の顔にキスの雨を降らせ緑色に輝く乱れた髪を指先に絡めながらひとしきり彼女を眺めた。
ほんのり桜色に染まった肌に薄っすらとかいた汗。
まぶたを閉じていても薄っすらと幸せを浮かべたような笑顔。
何より愛しい人のナカにまだ自身のソレがまだ入っていて、ひくひく蠢うごめいている感触が伝わってくる。
これほどの幸せを感じた事が今までにあっただろうか。
いや、ない!こんな幸せな気持ちは後にも先にも初めてだ。
あまりに幸せ過ぎてこれは幻ではないのかとさえ思ってしまう。
でも、ふたりが愛し合った事は間違いのない事実なんだ。
知らず知らずのうちに口元がほころんでしまう。
とにかくいつまでもこのままと言うわけには……なぁ。
やっと自身の分身を彼女から抜き去り彼女の身体をきれいにする。そんな事さえもうれしくてたまらなかった。
シエルはまだ意識がなくて心配になったがその息は穏やかで眠っているのだと気づいてほっとする。
ボルクは下着をつけると上半身は裸のままシエルの横に横たわる。
身体に上掛をそっとかけるとシエルを後ろから抱きしめた。
規則正しい息が聞こえて重なり合う肌の温もりにととめどなく湧き上がる思いにたじろいでぐっと拳を握り締めた。
押し殺そうとしても切なく深まる思いを持て余すと大きく息を吐いた。
わかっている。自分はシエルにふさわしい男じゃないってことくらい。
でも、こんなふうに身体を繋ぎ合ってしまうともう今まで見たいに理性が働かなくなる。
何かを期待する気持ちが芽生えてしまう。
いっそ。このままシエルをさらって誰にもわからない所に連れて行って閉じ込めてしまおうか。
ふたりだけで愛を交わし自分だけを見つめさせていられたらどんなにいいかと。
そんな途方もない事を考えてしまう自分をやっとの思い出さえ込むとボルクはシエルから少し離れて仰向けに転がって目を閉じた。
まったくシエルには驚かされるばかりだ。
ジュリエッタがそんな手紙を書いてよこしたとは…俺が一番知られたくなかった事をよくもあいつ!
ジュリエッタが余計な事さえしなければこんなことにはならなかったんだ。
シエルだって俺の為にこんなことをしようとは思わなかったはずだ!クッソ!
でも、本当はものすごくうれしかった。
彼女とどんな形でさえ結ばれて彼女の初めてをもらえて本当はすごくすごくうれしい。
例えこの先結婚できなくても彼女が他の男の元に嫁いでも俺は…
シエルのあんなに乱れて歓喜にむせび泣く姿をこの目で見れたのはこの上ない喜びだ。
しかしシエルのしつこさにはまいったよな。
思っていた通りだ。彼女が俺がこんなことになったのも自分のせいだと感じさせてしまった。
シエルのせいじゃないのに。この病気は精神的なもので誰もせいでもないのに。
あなたを助けたいのなんてそんな事を言われて俺がどうなるかわかってるんだろう?
ったく。俺の一番弱いところを突いてくるんだから。
シエルを愛しているに決まっている。俺の気持ちは未来永劫変わることはない。
でもそんな事は彼女を苦しめることになると分かっていたんだ。
俺は何にも持ってはいない。地位も財産もない男に君を幸せに出来るはずがないだろう。そんな事は誰よりわかっている。
君は愛さえあれば何て言うけど、そんなうまくいくはずがないだろう?
なのに…どうしても止めさせるつもりならいつだって止めることは出来たんだ。
目隠しされようが手を縛られようが俺がその気になればそんなものどうにでも出来たんだ。
でも、出来なかった。君の熱い思いがうれしくて目隠ししててもシエルが俺のものに触れた時のあのとまどうような指先に。
肌にかかる息が震えているのを感じた時に。
俺はもう無理に止める事をやめたんだ。
でも、あんな偉そうな君は初めて見た。
俺に言うことをきかそうとしてわざと強い口調でしゃべるシエルにたまらなくそそられた。
シエルはどう思ったが知らないが俺はそんな君に煽られてものすごく興奮した。
目隠しを取ってほしかったのはシエルの姿がどうしても見たかったからなんだ。
皇帝の事なんか思い出す余裕すらなかった。
シエルが一生懸命俺にしてくれるその姿に俺の胸は震えて脳芯が痺れた。
俺の脳にあったあのいやな記憶は、君のしてくれた事を前にしたら濁流のように流れ去って行ったんだ。まったく信じれないよ。
おまけに目隠しを外されたら俺は顎が落ちるかと思った。
シエルのそんな色っぽい姿を見れるなんて想像もしていなかったから。
シエルが俺のを一生懸命に口に頬張って俺がどれだけ…こめかみがキリキリ痛くなるほど我慢したんだからな。
ほんと。何も感じないふりをするのがどれほど苦しかったか。
でも、だんだんそんな余裕もなくなって来て俺もシエルを感じさせたいって、それで君に俺の方に向くように頼んだんだ。
嫌な奴だよな。そうした方が興奮するからなんて…シエルは何も知らないから素直に言うことを聞いてくれて。
君は恥ずかしそうにそれでも俺の為にと頼みを聞いてくれた。
そしたら…あっ、もう。息が止まりそうになったよ。
君の可愛い花びらはもう蜜でたっぷり濡れていて俺の中で何かが切れた。
俺は夢中で君のを貪った。何も考えれなくてただ君の蜜が欲しくて。
頭の中はクラクラ蕩けて恍惚感が押し寄せてめまいを感じた。
脳内には幸せオーラがとめどなく放出されて行くみたいだった。
それだけでも信じれない事だったのに、シエル君はとんでもないことをしようとして…
驚いたなんてもんじゃない。シエルが俺のを自分のあそこに入れようとしているなんて。
俺がどれだけ焦ったかわかってるのか!全く。君は無茶苦茶だ。
そんな事をしたらシエルの将来にどれほどの傷がつくかわかってるのかって!
でもシエルのあんな一生懸命な姿に俺は一生分の幸せをもらった気がして止める事なんか出来なかった。
お前のナカに入ったらもう何も考えれなくなってシエルと繋がっていると感じるともっと欲しくなってしまった。
ほんと勝手だよな。
俺がやめさせるべきだったのに、シエル後で絶対後悔するんだろうな。
ったくお前ってやつは……とんでもない奴だ。
ボルクの深いため息はただ真っ暗い闇の中に消えていく。
それからどれくらいたったのだろう。
シエルが身じろぎして気づいた。
「うん?私…」
シエルは自分が裸だと気づくと上掛をぎゅっと巻き付けるようにした。
ボルクはすぐ横にいたが彼女を抱きしめていたわけではなかった。
「シエル?大丈夫か?気を失ったから驚いた」
シエルの顔色を伺う。
「えっ?あの…やだ。私ったら、も、もちろん大丈夫よ。心配しないで」
シエルは何でもない風を装っているが恥ずかしさで頬がぱぁと熱を帯びて行くのが手に取るようにわかる。
だから何なんだ。彼女を抱きしめて愛してるとでも言うつもりか?
そんな事をしてみろシエルを勘違いさせてしまうんだぞ。
これ以上ここにいたらまたどんな間違いを犯すか知れない。さっさとここから出て行くんだ。
脳内の理性が早く立ち去れとうるさくわめく。
ボルクは平然を装い何もなかったように冷静な口調で言う。
「ああ、良かった。じゃあ、俺、もう帰るから」
一瞬シエルの顔が引きつった。
「ええ、そうね。もうすっかり良くなったみたいだもの。良かったわ。これで私も責任を感じなくていいわね。も、もちろん結婚してなんて言ったりしないわ。安心して」
「ああ、そうだな。わかってる。あの時だって興奮はしたんだ。でも持続しなかった。まだショックが大きかったのかもな。でも今夜みたいにあんなに必死でしてもらえば男は誰だって興奮するに決まってる。それに止められなくて悪かった。シエルが後悔しなければいいんだが」
「言ったでしょ、これは自分で決めた事だって、後悔なんかするもんですか。さあ、もう行って。私は大丈夫だから」
強がるシエルが愛しくてたまらない。腕を伸ばして抱き締めてキスしたい。でも、それは出来ない。
「ああ、じゃあ、お休みシエル」
張り裂けそうな心を無視してわざと何でもないように唇に薄っすら笑みを浮かべる。
「ええ、お休みボルク」
シエルはボルクの方を見たりしなかった。そのまま上掛を頭から被ったらしい。
ボルクは後ろ髪をひかれる思いを断ち切るように振り返らずその場を後にした。
彼の指先を擦ったりしなかった。
こらえ切れない思いはただ抑え込んで拳を握りしめていなければやりきれなかったからだ。
シエル君を心から愛してる。ずっと死ぬまでこの想いは変わりはしない。
そう心の中でつぶやきながら……
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