一途なエリート騎士の指先はご多忙。もはや暴走は時間の問題か?

はなまる

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44自信はないけど

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 シエルはボルクをゆっくりと誘導してベッドに座らせた。

 ボルクはもう諦めたようで大人しくベッドに座った。

 「ねえ、目隠ししてもいい?」

 「お好きにどうぞ。目隠しでも何でも。俺がその気になればいつでもシエルを止める事など簡単な事だ」

 当たり前だ。ボルクはシエルの力など恐るに足らない。

 「ありがとう。じゃあ手始めに服を脱いでもらえる?」

 シエルは落ち着いた風を装ってそう言った。

 だって、ベッドに寝て服を脱がすのはきっと大変だと思う。男の人の身体を一人で動かすなんて無理だもの。

 シエルのやろうとしていることを考えればまず裸になってもらう必要がある。



 「服を脱げって、いったい何をするつもりなんだ?まず、それを教えてもらいたんだが?」

 さすがにボルクも裸になることに躊躇した。

 「あら、あなた私の裸を見たくせにそんな事を言うの?それはずるいというものだわ。私だって一度くらいあなたの裸を見たいんだから。いいから早くして!」

 丸め込まれそうになって、シエルは強気にそう言った。

 良かった。上手く言えたわ。心の中で胸を撫ぜ下ろす。

 ボルクは口の中でぶつぶつ言いながらもシャツを脱ぎ始めた。

 「安心して、あなたにマッサージをしたいだけだから。あっ、ズボンも脱いでね」

 ボルクはシエルの顔を睨むと諦めたようにズボンのベルトをゆるめ始めた。



 上半身は裸に下は下着姿になったボルクにベッドに横になるように言う。

 シエルは常に命令口調で言った。

 だって彼に言うことをきかすためにはそんな言い方じゃないと聞いてくれないからだ。

 

 寝転んだボルクに目隠しをする。

 思わず彼の身体に見惚れてしまう。ああ、このしなやかな体。胸筋も引き締まった腰も完璧な彫像みたいだわ。

 これからこの体に触れられると思うと何だか興奮してきそう。

 頬の筋肉が緩んで笑みがこぼれそうになるがそこはしっかりこらえた。

 「今から目隠しをするわ。次に両手を上に上げて」

 「何をする気だシエル?ちゃんと答えてくれ!」

 「だからマッサージよ。はい、手はここに」

 シエルはきびきびとボルクの手をベッドの柵の左右に片手ずつ紐で縛り付ける。

 「シエル?何だかおかしくないか?マッサージをするんだろう?」

 ボルクはひどく胡散臭そうな顔をしてシエルを見る。

 「もう、男のくせにごちゃごちゃうるさいわよ。口も縛る?」

 「やめてくれ。そんな事どうかしてるぞ!」

 「ええ、それは私が一番思ってるわ。私きっとどうにかなっちゃったのね。あなたが好きすぎて…さあ、始めるわよ。いいからリラックスして恐がることは何もしないから、今はとにかく私を信じて欲しいの」



 シエルは彼の呆れたような顔を見なかった事にして手を縛ることに集中しようとする。

 私を信じて欲しい?もうどうかしてる。こんな事してほんとに大丈夫か私自身もドキドキしているのに。

 でも、シエルは思った。こんなことを思いついたのは、ほんの少し前だった。

 皇帝に無理やりひどいことをされたと聞いてボルクの自尊心は傷ついてプライドもずたずたにされて彼はきっと今もそんな自分を嫌っているだろう。

 そして私にふさわしくないとも思っている。

 こんな無理やりみたいな形になってそれがいい方向に向くかなんてわからない。

 でも、私がどれだけあなたを愛しているかを感じて欲しい。

 私は今から心を込めてあなたを癒してあげたいって思ってる。

 でも、私が考えていることを始めたらきっと彼はベッドに横になってじっとしてなんかいない。彼は途中で怒りだして帰ってしまうに決まっている。

 だから、こうやって拘束することにしてしまったけれど…

 ああ…もう本当にうまくいくかなんて初めての私には想像もつかない。けれどやってみるしかないもの。

 どうか神様、私の想いをかなえて下さい。

 私に力を貸してください。

 私に彼を取り戻す勇気を下さい。

 お願いします神様。


 シエルは自分の着ている服を脱いだ。

 下には薄い生地の丈の短い下着と下履きも薄い生地で出来たものだ。これは母がオーランド国に行く時に準備してくれたものだったが着る事もなくしまってあったものだ。

 部屋の灯りは少し落としてあって、隠してあった媚薬をぐっと飲んだ。これは自分を興奮させるため。彼を受け入れる準備を整えるためでもあったのだが。

 いきなり展開があまりに衝撃的なものだったので、それだけで興奮しているみたいだ。

 シエルの少し身体はすでに火照る感じがして興奮し始めている。


 「ボルク、今から身体に香油を塗るわね。マッサージするのに滑りをよくするためよ。少し冷たいかもしれないわよ」

 「好きにしろ!っやく!」

 ボルクはもう諦めたかのようにつぶやくと大きく息を吸った。

 胸筋が大きく膨らんで吐き出される息とともにゆっくりと沈んでいく。

 シエルは香油をボルクの腕に塗り始めた。香油に媚薬を混ぜようかとも思ったが、そこまでするのはボルクのためにもやめた方がいいと判断した。

 香油はパチュリの香りを使用する。これも本で仕入れた情報で緊張を和らげゆったりとした気分になる、また精神的な落ち込みに効くとか。



 シエルはゆっくりボルクの左腕からマッサージを始めた。 

 「ボルク痛かったり嫌だったら言ってね」

 シエルは緊張でがちがちになっていたがなるべく柔らかな口調でそう言う。

 「だったらやめてくれ!こんな事するなんて俺はおかしくなりそうだ」

 ボルクはもう嫌そうで彼の腕に回した手が止まる。

 「ねぇ、私たちすごく緊張してるみたいね。もっとリラックスしなきゃ、ね。ボルク」

 「人を縛っておいてそれを言うか?ったく!」

 ボルクの機嫌は悪い。まあ、無理もないけどこんな調子でうまく行くか本当に心配。でも頑張らなきゃと彼に声を掛けた。

 「もっとリラックスしてよ」



 そこから話は続かなかった。シエルはボルクの身体のマッサージをする事にいっぱいいっぱいだったし、ボルクもシエルに施されるマッサージに次第に身を任せようとしているらしい。

 縛られていても指先を擦り合わせていたが次第に摺りあわせるのをやめていく。

 もちろん彼は怒っているみたいだったけど…



 シエルはボルクの首筋から肩にかけてマッサージを始めた。

 その手はゆっくり胸からお腹を下りていき、おへそも周りをぐるりと撫ぜる。

 ボルクは次第にゆったりとした気分になったのか身体の力が向けて行くのをシエルは感じていた。

 シエルの指先はゆっくり円を描くように筋肉を刺激してひどく凝り固まった筋を見つけるとそれをほぐすように指先をその筋に沿わしてマッサージをする。

 首筋や胸、お腹に伝い下りて行く指は気持ちの良い感触をボルクに与えているらしく彼は「はぁ…凄く気持ちいい。シエルがこんなにマッサージがうまいとは知らなかった」と言い出した。

 「そう?良かったわ。じゃあ、今度は足よ」

 シエルの指先は太腿を揉みこんでふくらはぎから足首、足の裏にまで及んだ。


 ボルクはすっかり緊張を解いてリラックスしている様子だ。

 シエルはゆっくり太ももに指を運んでいよいよここからが勝負の大切な場所に向かう。

 ”うまく行きますように”シエルは心の中で祈る。

 ゆっくり彼の下着に手をかけてずりさげる。

 「シエル?何をする気だ!やめろ」

 ボルクは慌てて腰を折り曲げる。

 「私に任せるって言ったでしょう?男なんだから文句言わないでよ!」 

 シエルはボルクの言うことなど無視するみたいに下着を思いっきりずらして脱がせてしまう。

 行動は大胆だったが内心は酷く怯えている。当たり前だろう。

 「おい、何する。やめてくれ。シエル?何考えてるんだ。そんな事をするならもうやめる!」

 ああ、やっぱり。こうなると思ったから。でもここで引き下がるわけにはいかないのよ。

 シエルは負けずに言い返す。

 「私なりのお返しなのよ。いいからもう黙ってて!」やっぱり口も塞いでおけばよかったわと思った。

 
 シエルはもがいて足をばたばたさせるボルクの足に困って彼の間にまたがって座てしまう。

 こうすれば彼はほとんど身動きできないはずだもの。

 必死で彼の足の上にまたがったものの、目の前の彼の股間を見て目を反らしそうになる。

 恐る恐るソレを凝視する。下着を脱がせるときはそれどころではなかったのだ。

 こ、これがボルクの…皇帝の滾った物を一瞬見た時はおぞましいものを見たようで吐き気を催した。

 でも彼のソレはまだ滾ってなどいなくて、それは別な生き物のように息づいている。それなりの大きさはあるが気持ち悪いなどとは思わなかった。

 シエルはそっと男性器を両手に包み込むようにして指を這わせてみる。

 ボルクのお腹が波打ちそれがピクンと震えるとぞわぞわした感覚が背筋を駆け上がった。


 シエルは一度深呼吸をすると本で読んだ知識を思い返すようにしてソレをおずおずと握る。

 何だか不思議な感触だった。柔らかいのに弾力があり頼りなさそうに見えてそれでいて自己主張をしているように見える。

 これは彼の一部であるけど指や胸とは全く別のものだわ。でもここまで来たら都気持ちを奮い立たせた。


 左手をそっと膨らみの上あたりに添えて、右手でその茎を優しくゆっくりと上下に動かしてみる。

 「っぅ…」

 ボルクが息を乱した。

 「痛い?」

 シエルは心配そうにボルクの顔を伺う。

 「いや、でもそんな事はやめてくれないか。俺はそんな事をして欲しいとは思っていない」

 「もぉ、まだ言うつもり?いい加減諦めてよね。そんな事ばかり言ってたら気持ちよくなんかなれないじゃない。いいからもう私に任せてくれない」

 一体私は何を言っているのだろう?先生みたいに偉そうなことを言って。何の経験もない私が…おかしくなる。

 でも、何とか少しでも気持ちよくしてあげれるならいいんだけど。



 シエルは彼の肉茎を擦り続けると、ソレは徐々に大きく膨らんできた気がした。

 先端の割れ目から透明な雫が溢れて来てシエルの指を濡らす。

 シエルはうれしかった。これって興奮すると出て来るって言う液体じゃないかしら。

 もう少し。少し握っていた手のひらは潤ったせいで先ほどより滑りも良くなりぴちゃぴちゃと淫猥な音がした。

 先ほどより張りが出てきたせいで先のくびれがきゅっと広がって手を動かすたびにそこを摺り上げる。

 「ううっ、はぁ、は…」

 ボルクが吐息を吐くと肉茎が大きさを増していく。

 「ぼるく…あなたの大きくなってる」

 「そんな事をされれば…頼むシエル。目隠しを外してくれ。見えないとあいつにされた時の事が頭に浮かんで苦しいんだ。シエルがしている所が見えればきっとそんな事忘れられる」

 シエルははっとする。

 「ごめんなさい。すぐに取るから」

 シエルは急いでボルクの目隠しを外す。ボルクは本当に苦しかったらしく目隠しを外すとほっとした顔をした。

 「ぼるく…」

 愛しい気持ちが込み上げてシエルはボルクの唇に自分の唇をそっと触れ合わせる。

 「ごめんなさい。いやな思いをさせたかったわけじゃないの。そんなつもりじゃなかったの」

 彼の唇の上でそう呟いた。

 「分かってる。シエルがそんな事をする人じゃないって事くらい。ずっと君を見て来たんだから」

 たまらなくなってシエルはまた柔らかなキスを落とす。

 「もっとあなたを気持ちよくさせてあげたいから」

 シエルはまた彼の足の間にまたがると肉茎に手を伸ばした。



 
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