一途なエリート騎士の指先はご多忙。もはや暴走は時間の問題か?

はなまる

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24やっぱり皇帝は変態でした

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 皇帝の寝室はすぐ隣でほんの十歩ほど歩くと扉の前に着いた。

 扉の前には近衛兵がひとり立っている。

 メルロが目くばせすると近衛兵が二歩横にずれた。

 メルロが扉をノックする

 「陛下、シエル様のお越しです」

 「……」

 一度目のノックで返事がなかった。

 メルロはもう一度今度は少し強くノックして先ほどより少し声高に声を掛けた。

 「陛下、シエル様のお越しです」

 「ああ。そうか。待ちかねたぞ。シエル入れ!」

 皇帝の声がしてメルロが扉を少し開けるとシエルを押し出すように扉の中に入れた。

 すぐに扉が閉まる。

 「あっ…」思わず声を漏らしてしまった。

 入り口付近は燭台がないのかうす暗い。だが奥の方はいくつかの燭台に火が灯されているらしく明るかった。

 「シエルか?」

 シエルはすぐに目が明かりに慣れてここが寝室だと気づく。

 明かりのついた場所に四中式の大きなベッドが見えたがこれから行われることを思うと恐怖と恥ずかしさですぐに俯いた。

 「はい陛下、よろしくお願いします」そう言う声は震えている。

 「うむ、待ちかねたぞ。さあ、こちらに来なさい」

 

 シエルは一歩脚を踏み出しながらそろそろと顔を上げる。

 「うへっ!」

 おかしな声が出た。

 無理もなかった。

 ギストロがベッドに寝転びその上に女性がふたり跨またがっている。

 ベッドまでの距離は十歩ほど離れてはいるがはっきりとわかる。



 ひとりはギストロの顔の上に、もうひとりはまさに股間の上に。

 「さあ、お前たち少し離れろ。シエルが来た。今夜はシエルが主役だ」

 「えー。陛下いやです。こんなにご奉仕したのに…私も陛下のが欲しい」

 そう言った女性は確か晩さん会で見かけた顔だ。黒い髪の女性の側妃。

 彼女はギストロの股間の間から顔を上げてそう言った。

 その途端、皇帝の男根がシエルの目に焼き付く。ぬらぬらと濡れて光る太い欲望が。

 「きゃあ」

 とっさに顔を背ける。

 「どうした?もう興奮したか?シエル可愛いな。さあ、そんなもの脱いでしまえ。こっちに。さあシエル」

 ギストロは恥ずかしそうにする姿にさえ興奮するらしく嬉しそうにシエルを見た。



 もうひとりの女性も皇帝の顔の上から下りて金色の髪をかき上げるとシエルを見た。

 この女性も晩餐会の席にいた人だった。シエルはそんな記憶に縋りつく。

 「もう、陛下ったらシエルは初めて何ですよ。こんな刺激的なものをいきなり見せられたら可哀想ですわ。さあ、シエル心配ないわ。その邪魔なものを脱いで…そうだ。私が脱がせてあげるわ」

 金色の髪をすっと後ろに払うとその女性が立ち上がってシエルに近づく。

 シエルは驚きのあまり動くことも出来ずにその場に立ったままで。

 「私はヒメル。あなたは何も心配しなくていいわ。陛下の言う通りにすればいいの。安心して、さあこれを脱ぎましょうね」



 ヒメルと名乗った女性がシエルの薄い寝間着の前合わせを広げる。

 「まあ、あなたけっこう大きいのね」

 ヒメルは何の躊躇もなくシエルの胸を優しくつかんだ。

 「ヒェッ」

 「うふっ、可愛いわ。まだあまり経験がないの?でも、男は知ってるって聞いたけど?」

 「わ、私は…あんな噂、うそなんです。私はこのような事初めてで…うぐぅ…」

 だからもう許して下さいと言いたいのをぐっとこらえる。

 「まあ、初めてですって、陛下御存じだったんですか?」

 「シエルそれは本当か?」

 「本当です。ですから、このような変態じみた事は私とても…」

 思わず本音が出てしまい途中で口を閉じる。



 「それは悪かった。だが、初めても今日で終わるぞ。これからは楽しい時間になると保証しよう。だから今夜はこのまま、さあ、こっちへおいで」

 ギストロの声が先ほどよりまたいっそう柔らかくなる。

 「もう、陛下ったらシエルが困ってますわ。少し緊張を和らげましょうか」

 ヒメルさん助かりました。と思ったのも束の間。



 ヒメルはシエルの胸の先を指先でつまむとグリグリとそこを刺激し始めた。

 「あっ、何を…ゃ、ぁあ」

 「うーん、可愛い。もう尖って来たわ。ほら、気持ちいいでしょう」

 彼女はすぐに両手で左右の胸を揉みしだき指先で蕾を優しく転がす。

 「…ゃ、やめてください。こんな、こんな事…」

 ボルクに触られた時のような刺激が胸の先を伝ってシエルの意志とは関係なく甘い刺激に身体が震えた。

 「もう、シエルったら」

 ヒメルはシエルが感じていると知って、今度は片方の胸をキュッと手でつかむとその先に唇を寄せた。

 舌先でチロチロ舐められ,先を舌で転がされる。

 感じたくないと思っているのに、その刺激はあまりに強烈で思わず声が漏れる。

 「ぁつ、…あぅ、んん…ゃ」

 いやだと思っているのに身体は快感をひろってしまう。

 ヒメルはもう夢中になってシエルの蕾をちゅうちゅう吸い上げる。

 波が寄せるように快感がやって来てシエルはキュッと両脚をすぼませる。

 あわいの間が熱を持ち始めて、強い刺激にピクンと身体は震えた。

 ああ…もう、どうしていいかわからなくなっていく。

 蕩けるような快感に胸の先はさらに硬くなってヒメルはもう片方の蕾に歯を立てた。

 「あっ!」



 ああ、こんなの。どうして…こんなに感じてしまって、私…わたし。

 脳内で”こんな事いけない”と叫んでいる。なのに身体はもっと甘い刺激を求めているようでシエルは混乱する。



 「さあ、シエルベッドに行きましょうか。陛下、シエルをたっぷり可愛がってあげて下さいよ」

 見ればギストロはベッドの上で手ぐすねを引いて待っているかのように起き上がって手を差しだしている。

 「もちろんだ。シエル何も心配しなくていい、わしがうんと気持ちよくしてそしてこの滾りを埋め込んでやるからな。そうすればすぐにお前は私の味を知ることになる」

 シエルはヒメルに押し出されベッドに一歩ずつ近づく。



 もう逃げ場はない。

 いや!こんな、こんな変態じみた事をするなんて、ボルク助けて!

 その瞬間ボルクの言った事が脳をよぎる。

 ”危険を感じたら迷うことなく吹いて下さい。いつでもすぐに駆け付けますから”そう言ったボルクの声が脳裏に浮かぶ。

 途端に笛の事を思い出す。

 そうよ。笛を吹けばいいんだわ。

 助けてボルク。こんなことをするのはいや!

 シエルは首に下げていた笛を吹く。何度も何度も、笛は音がしないので驚かれはしなかったがギストロが気づいた。

 「何をしておる?それはなんだ?」

 「こ、これは私のお守りで…いや、返して。それは大切な…」



 ギストロが立ち上がって来てシエルの笛を取り上げた。

 「何をしたシエル?これは何だと聞いておる?」

 「ですから、これはお守りです。音さえ出ません。壊れたただの笛なんです」

 「そう言えば音は聞こえなかった。そうか。おかしなことをするな。気分が悪くなる。さあ、いいから来い.これ以上私を待たせない方がいいぞ」

 「そうよ。陛下、シエルはちょっと驚いたんです。だって私たち3人で楽しんでたからですわ。すぐにシエルも仲間に入れてあげるわ。でも、今日はシエルのために…はい、もっと胸吸ってあげる。うふ」

 ヒメルの声は最初慌てていたが、すぐに意味ありげな笑みをするとシエルの手を引っ張った。



 シエルはベッドに転げるように倒れ込んだ。

 その上にギストロがまたがるように覆いかぶさって来る。

 ヒメルともう一人の女性が片方ずつ手を握りシエルは身動きできなくなった。



 「さあ、わしのものになれシエル」

 ギストロがシエルの胸にむしゃぶりついた。手でこねこねと揉まれすぐに先を指でしごかれる。

 反対の胸は舌先でころころ転がされいやだと思うのに、気持ちいい快感が湧き起こった。

 「いや、やめて。…やぁ…助けてボルク。ぃやぁぁぁ」

 「そのように叫ばずともすぐに良くなる。ナターシャお前たちが胸を、わしはこっちを可愛がってやろう」

 ヒメルとナターシャと呼ばれた女性がシエルの左右の腕を抑え込むとふたりはシエルの胸に指を伸ばした。

 蕾を摘ままれクニクニ揉まれ頭がおかしくなりそうだ。

 その間にギストロはシエルの脚を割りその間に身体を滑り込めせる。

 シエルの脚はぐっと押し広げられ秘めやかな場所が露わになる。

 「ああ。シエル。なんてかわいい。ピンクの蕾がほれ、もうヒクヒクしておる。どれ…もう濡れておるぞ。何とうまそうな」

 エロ皇帝のつぶやきにシエルは震えあがる。



 気持ちいいと感じていた事は一気に吹き飛んで、恐怖がヒタヒタ身体の芯から湧いて来てまた声を上げる。

 「ゃです…お願いです。こんな、こんな事やめてください。陛下、お願いです…」

 

 だが、そんな言葉など気にもならない様子でギストロはシエルのあわいの間に顔を埋める。

 生暖かい舌先が隠れた芽をくすぐろうと彼の指がぐっとその芽を押し広げる。冷たい空気がぐっとむき出しにされた芽に触れるとそれだけずくっと疼いた。

 「あっ、イゃ、お願い…」

 シエルの頬に涙が伝う。

 女性たちはさらに胸に吸い付き舌先で愛撫し始める。

 チロチロ蕾を舐め上げられ先はもっと固くなっていく。

 「あっ、そんな。だ、めぇ…ぃやぁぁぁ」

 シエルは泣きながら抵抗する。だが、快感があちこちから湧き上がり頭がおかしくなりそうになる。

 こんな…こんな変態じみた事に感じるなんて…どうかしてる。やぁぁぁぁ。



 その間にギストロはシエルの芽を舌先で転がし始める。

 舐め上げられぴちゃぴちゃと芽の周りを舐めるいやらしい音が部屋中に響く。

 舌で何度も舐め上げられ次第に芽はコリコリ存在を主張し始める。

 「ほれ、シエル。こんなに膨らんで来たぞ。そろそろ気持ち良くなってきたか?ナカはどうだ?」

 ギストロの指がシエルの襞を割り開いて中ににゅちゅりと差し込まれた。

 「えっ?これは…ゃあぁぁぁぁ」

 感じたことのない違和感。初めてナカに指を突っ込まれてシエルは混乱する。

 「やめて。やめて。やめて、いやー!」



 シエルはとっさに脚で皇帝の身体を蹴飛ばす。

 思いっきり力を入れて蹴飛ばしたのでギストロが後ろに吹き飛ばされた。

 「シエル。何をする。お前、誰に向かって」

 ギストロの声色が変わる。

 彼は暴君として恐れられている。カッとなると見境いがなくなることも有名なのだ。

 「陛下、落ち着いてください。きっとシエルは混乱して」

 ヒメルが慌てて彼をなだめる。

 だが、彼の顔は鬼のような形相になっている。

  シエルはもう恐怖ですくみ上った。

 助けてボルク…

 ギストロが転がったせいで笛がベッドに転がっていた。

 シエルはその笛を拾うとその笛を口にくわえて思いっきり吹いた。

 何度も何度もその笛を吹く。

 息が切れそうになるほど。

 そうすればボルクが助けに来てくれると。

 それは今のシエルが出来るたったひとつの微かな望みだった。



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