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13ジャネットの行動。ルドルフの胸の内
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それからしばらくして国王の執務室にアルフォンと側近のイゴールがやって来た。
「父上。お話があります」
「なんだ。お前もか…私は忙しいんだ。後にしろ!」
国王の機嫌はすさまじく悪い。あんなことを言われた後だ。
「ですが、これは最重要案件なんです」
「陛下、私からもお願いいたします。殿下のお話を聞いてください」
年配のイゴールまでもが一緒になって頭を下げて来る。
「なんだ。手短にしろ!」
「はい、実はジャネットの事なんです。ジャネットは私以外の男とも付き合いがあったようなんです」
「それはどこから?」
「はい、ヴィオレッテ公爵です。彼が諜報部の人間を使って調べてくれました。ジャネットは元の夫にも罠をかけて無理に離婚をしたらしく、その後私に近づいて…私はまんまと罠にはまったわけでして…」
そこまで話すとアルフォンはバツが悪くなったのか頭を掻いた。
「まったく…お前は女をすぐに信用しすぎだろう?自分の立場を考えなさい。お前は王族で王位継承権だって持っているんだぞ。行動に責任を持つというのはそう言うことだ。今回の事でよくわかっただろう?」
「はい、クラスメイトだったジャネットがそんな事をするなんて思ってもいなかったんです。だからジャネットのお腹の子供は私の子供ではないと言うべきで…」
「まあ事実がそうなら子供は誰の子かわからんと言うことになるだろう。そんなあやふやな子供を王家の子供とすることは出来んからな。とにかくジャネットには、その事実を突きつけて今回の事は水に流すとでも言えば引き下がるだろう。早速ジャネットと話を付けろ。お前ひとりでは頼りない。ブリューノを同席させて話をしろ。いいなアルフォン」
「はい、わかりました。では急いで話をつけます」
「ああ、そしてソルティ嬢との婚約はこのままと言うことで穏便に話をつけろ。間違っても自分は悪くないなどと言うんじゃないぞ。自分が悪かった。反省していると…なに、贈り物に宝石やドレスを贈れ。女はすぐに機嫌を直すはずだ。もう少し女の扱いにうまくなれ。優しくしてやらんからこんなことになるんだ。わかったか?」
「はい、父上。ご心配かけて申し訳ありません。すぐにジャネットとは別れます。そしてソルティとよりを戻しますので」
アルフォンと側近は国王の執務室から出て行った。
それを見ていたものがいた。
ルドルフだった。
彼は国王やアルフォンの様子を探ろうと城の中を探っていたのだ。
ソルティはあれからすぐにエミリアと一緒に馬車で屋敷に戻った。
フィアグリット家の護衛が付いていてルドルフがいなくても大丈夫だと見極め少し国王やアルフォンの出方を見ようと思ったのだ。
こんな事だろうと思った。
ルドルフは心の中で舌打ちをした。
何しろソルティの父親は国防長官で諜報部の最高司令官でもある。どんな事でも調べられるはずだ。
こうなれば早くこの事を知らせて今後の対策を練った方がいい。
何しろルドルフはソルティの護衛騎士になった時から彼女に恋をしていたのだから…
そしてやっと少し距離が縮まって最近ではソルティが微笑みかけてくれて声をかけてくれてまるで夢でも見ているかのような事になっている。
平民で孤児の自分が彼女とどうにかなろうなんて思ってもいない。
ただ、そばにいてソルティを見守っていたい。
それだけが俺の願いなんだから…
俺は生れてすぐに捨てられたらしい。
王都の教会の前に捨てられた俺は結構仕立てのいい産着を着ていたそうだ。
それにこれは誰にも内緒の話だが髪の色が白金だった。
白金は王族の色。だが、貴族にも王族はたくさんいるし金を持った貴族は街の高級娼館で遊んでいるとも聞く。
それにこの国王を筆頭に女ならば誰でもいいと貴族の令嬢だろうが侍女だろうがいとも簡単に弄ぶ。
こんなの間違っていると思うけどこれが現実だ。
そんな世の中で俺はどこかの貴族に弄ばれ妊娠した女が産み捨てた子供だったんだろう。
だから自分が王族の子供だなんて反吐が出る。
髪は小さなころから黒色に染めてもらって来た。
今は自分で染めるがこんな髪色なんか大っ嫌いだ。
あんな奴らと同じ髪色なんて…
俺はソルティを守るためなら例え命だって惜しくない。
だって彼女は俺の守るべき人なんだから。
婚約が決まって彼女がどれほど苦しんで来たか俺は知っている。
夜会で一人取り残されたその手を優しく取って一緒にダンスしたいって何度思ったか、俺は護衛騎士でしかなくそんな事の出来る立場じゃないけど、あんなの男のする事じゃないって思っていた。
学園で嫌な噂を聞いて落ち込んで帰る姿に何度胸が痛んだか…
その度にあんな奴なんかって思うけど貴族って言うのはおかしな生き物で愛はなくても結婚するのが当たり前だとほざく。
ばかなんじゃないか?
愛のない結婚なんてむなしいだけじゃないか。
貴族は一生そうやって生きていけるのか?
違うだろう。
現に第1王妃がああやって乗り込んで国王に言ったじゃないか。もう我慢の限界ですって。そりゃそうだろう。
それにあの父親もひどい。
おかしいと思ってたんだ。
ソルティの歩き方がやけに足をひきずるようにして、聞いたらつまずいて足をひねったとか言うもんだから俺はソルティの言う事なら何でも信じるから、あのブリューノが暴力をふるっていたなんて思ってもいなかった。
どうしてもっと早く気づいてやれなかったのかってホントに俺はだめな奴だ。
でもソルティはいままで良く我慢して来たよ。ほんとに呆れるのを通り越すってもんだ。
でもソルティが決断したらすごいのなんのって。
惚れてしまうだろう?いや、もうとっくに惚れてるんだけどな。
だって他の女は皆諦めて政略結婚をして好きでもない男の子供を産んで育てて行くんだからな。
ソルティがそうなったらって思うとぞっとする。
ここ数日のソルティの輝いている事と言ったらもう胸が疼いて疼いてどうしようもないほどで…
ソルティがとてつもなく可愛くて愛しくて抱きつぶしたくて…
俺ほんと気が狂いそうなんだ。
今日だって王妃を相手に扉越しにソルティの焦った声や嬉しそうな声が手に取るように聞こえて来た。
みんながソルティを応援してくれてるって思うとすごくうれしくなった。
おまけに王子たちまで駆け付けてさぁ。
アンナ王妃が出て来た時には驚いた。
みんな国王には泣かされているって事だな。
こりゃアルフォンだけじゃなく国王にまで飛び火するかもな。
おっと、行けない。こんなことをしている場合じゃない。
ジャネットの事をソルティに知らせないと。アルフォンの野郎がまたソルティに言い寄って来るのを何としても阻止しないといけないからな。
ルドルフはそう思い直すと急いでフィアグリット家の屋敷を目指した。
「父上。お話があります」
「なんだ。お前もか…私は忙しいんだ。後にしろ!」
国王の機嫌はすさまじく悪い。あんなことを言われた後だ。
「ですが、これは最重要案件なんです」
「陛下、私からもお願いいたします。殿下のお話を聞いてください」
年配のイゴールまでもが一緒になって頭を下げて来る。
「なんだ。手短にしろ!」
「はい、実はジャネットの事なんです。ジャネットは私以外の男とも付き合いがあったようなんです」
「それはどこから?」
「はい、ヴィオレッテ公爵です。彼が諜報部の人間を使って調べてくれました。ジャネットは元の夫にも罠をかけて無理に離婚をしたらしく、その後私に近づいて…私はまんまと罠にはまったわけでして…」
そこまで話すとアルフォンはバツが悪くなったのか頭を掻いた。
「まったく…お前は女をすぐに信用しすぎだろう?自分の立場を考えなさい。お前は王族で王位継承権だって持っているんだぞ。行動に責任を持つというのはそう言うことだ。今回の事でよくわかっただろう?」
「はい、クラスメイトだったジャネットがそんな事をするなんて思ってもいなかったんです。だからジャネットのお腹の子供は私の子供ではないと言うべきで…」
「まあ事実がそうなら子供は誰の子かわからんと言うことになるだろう。そんなあやふやな子供を王家の子供とすることは出来んからな。とにかくジャネットには、その事実を突きつけて今回の事は水に流すとでも言えば引き下がるだろう。早速ジャネットと話を付けろ。お前ひとりでは頼りない。ブリューノを同席させて話をしろ。いいなアルフォン」
「はい、わかりました。では急いで話をつけます」
「ああ、そしてソルティ嬢との婚約はこのままと言うことで穏便に話をつけろ。間違っても自分は悪くないなどと言うんじゃないぞ。自分が悪かった。反省していると…なに、贈り物に宝石やドレスを贈れ。女はすぐに機嫌を直すはずだ。もう少し女の扱いにうまくなれ。優しくしてやらんからこんなことになるんだ。わかったか?」
「はい、父上。ご心配かけて申し訳ありません。すぐにジャネットとは別れます。そしてソルティとよりを戻しますので」
アルフォンと側近は国王の執務室から出て行った。
それを見ていたものがいた。
ルドルフだった。
彼は国王やアルフォンの様子を探ろうと城の中を探っていたのだ。
ソルティはあれからすぐにエミリアと一緒に馬車で屋敷に戻った。
フィアグリット家の護衛が付いていてルドルフがいなくても大丈夫だと見極め少し国王やアルフォンの出方を見ようと思ったのだ。
こんな事だろうと思った。
ルドルフは心の中で舌打ちをした。
何しろソルティの父親は国防長官で諜報部の最高司令官でもある。どんな事でも調べられるはずだ。
こうなれば早くこの事を知らせて今後の対策を練った方がいい。
何しろルドルフはソルティの護衛騎士になった時から彼女に恋をしていたのだから…
そしてやっと少し距離が縮まって最近ではソルティが微笑みかけてくれて声をかけてくれてまるで夢でも見ているかのような事になっている。
平民で孤児の自分が彼女とどうにかなろうなんて思ってもいない。
ただ、そばにいてソルティを見守っていたい。
それだけが俺の願いなんだから…
俺は生れてすぐに捨てられたらしい。
王都の教会の前に捨てられた俺は結構仕立てのいい産着を着ていたそうだ。
それにこれは誰にも内緒の話だが髪の色が白金だった。
白金は王族の色。だが、貴族にも王族はたくさんいるし金を持った貴族は街の高級娼館で遊んでいるとも聞く。
それにこの国王を筆頭に女ならば誰でもいいと貴族の令嬢だろうが侍女だろうがいとも簡単に弄ぶ。
こんなの間違っていると思うけどこれが現実だ。
そんな世の中で俺はどこかの貴族に弄ばれ妊娠した女が産み捨てた子供だったんだろう。
だから自分が王族の子供だなんて反吐が出る。
髪は小さなころから黒色に染めてもらって来た。
今は自分で染めるがこんな髪色なんか大っ嫌いだ。
あんな奴らと同じ髪色なんて…
俺はソルティを守るためなら例え命だって惜しくない。
だって彼女は俺の守るべき人なんだから。
婚約が決まって彼女がどれほど苦しんで来たか俺は知っている。
夜会で一人取り残されたその手を優しく取って一緒にダンスしたいって何度思ったか、俺は護衛騎士でしかなくそんな事の出来る立場じゃないけど、あんなの男のする事じゃないって思っていた。
学園で嫌な噂を聞いて落ち込んで帰る姿に何度胸が痛んだか…
その度にあんな奴なんかって思うけど貴族って言うのはおかしな生き物で愛はなくても結婚するのが当たり前だとほざく。
ばかなんじゃないか?
愛のない結婚なんてむなしいだけじゃないか。
貴族は一生そうやって生きていけるのか?
違うだろう。
現に第1王妃がああやって乗り込んで国王に言ったじゃないか。もう我慢の限界ですって。そりゃそうだろう。
それにあの父親もひどい。
おかしいと思ってたんだ。
ソルティの歩き方がやけに足をひきずるようにして、聞いたらつまずいて足をひねったとか言うもんだから俺はソルティの言う事なら何でも信じるから、あのブリューノが暴力をふるっていたなんて思ってもいなかった。
どうしてもっと早く気づいてやれなかったのかってホントに俺はだめな奴だ。
でもソルティはいままで良く我慢して来たよ。ほんとに呆れるのを通り越すってもんだ。
でもソルティが決断したらすごいのなんのって。
惚れてしまうだろう?いや、もうとっくに惚れてるんだけどな。
だって他の女は皆諦めて政略結婚をして好きでもない男の子供を産んで育てて行くんだからな。
ソルティがそうなったらって思うとぞっとする。
ここ数日のソルティの輝いている事と言ったらもう胸が疼いて疼いてどうしようもないほどで…
ソルティがとてつもなく可愛くて愛しくて抱きつぶしたくて…
俺ほんと気が狂いそうなんだ。
今日だって王妃を相手に扉越しにソルティの焦った声や嬉しそうな声が手に取るように聞こえて来た。
みんながソルティを応援してくれてるって思うとすごくうれしくなった。
おまけに王子たちまで駆け付けてさぁ。
アンナ王妃が出て来た時には驚いた。
みんな国王には泣かされているって事だな。
こりゃアルフォンだけじゃなく国王にまで飛び火するかもな。
おっと、行けない。こんなことをしている場合じゃない。
ジャネットの事をソルティに知らせないと。アルフォンの野郎がまたソルティに言い寄って来るのを何としても阻止しないといけないからな。
ルドルフはそう思い直すと急いでフィアグリット家の屋敷を目指した。
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