殿下、決して盛ってなんかいません!私は真面目にやってるんです。おまけに魅了魔法効かないじゃないですか!どうするんです?

はなまる

文字の大きさ
上 下
55 / 58

40フィジェル宰相、ガイル大司教失墜?

しおりを挟む

 
 ティルキア国では緊急議会が開かれていた。

 議員は元貴族や騎士や街からの代表者などからなる。

 そこにはフィジェル宰相、ガイル大司教、ホワティエ元公爵、ロガレナート元侯爵、グレン騎士隊長などが揃っていた。

 ロガレナート元公爵が口火を切る。

 「ガイル大司教一体この責任はどうとられるつもりなんです?」

 「ですが、私一人の責任ではありません。聖女をマイヤにすると言ったのはフィジェル宰相です。私は反対しました。アリシアは聖女として最も優れていたんですから、それなのに…」

 「フィジェル宰相。あなたの責任は重いですよ。ご令嬢を聖女に押しておきながらマイヤ嬢は聖女としても失格おまけに魔界の扉まで…皆さん。フィジェル宰相に辞して頂くことも考えなければなりません?」

 「「「賛成!そうだそうだ!フィジェルは引退しろ!」」」

 次々に罵声が飛ぶ。


 ロガレナート元公爵はみんなが静まると次の議題にかかる。

 「静粛に!それでは後ほど採決を取りますので。次の議題についてゴールドヘイムダルの騎士隊長から報告をさせていただきます。国王ルキウス陛下のご病状についてです」

 レオンが席を立つと前に出る。

 「実は以前から国王ルキウス陛下のご病状には不審な点がいくつもありまして調査をしていたところです。陛下は水晶中毒とされて治療をされておりましたが一向に回復の兆しも見えませんでした。それで私は陛下を別の場所に移し知り合いから直接水晶中毒の解毒薬を仕入れまして医者や看護師も私が選任して解毒薬を投与しておりましたところ、すぐに効果が現れました。今ルキウス陛下はすっかり体調を回復されて今日にも王宮にお出ましになられるかと思います。陛下が依然使っていた水晶中毒の解毒薬を調べましたラ全くの偽物とわかりました。医師はフィジェル宰相の手の者に家族を人質に取られており、これも解決しております。その医師から最近の現国王ニウシス様の体調不良もフィジェル宰相の指示で毒薬の投与のせいだと訴えがありましたのですぐに対処しております。報告は以上です」


 議会は騒然とした。

 「あいつそんなことまで‥」

 「そう言えばあいつの息子を国王にとか言ってたな。ふざけるな。おい、フィジェルただで済むと思うなよ!」

 「そうだ。そうだ。」

 「フィジェルを捕らえろ!」

 ロがレナート元公爵がすぐに声を上げた。

 「近衛兵、フィジェルを捕らえて牢に」

 その指示で扉の外で控えていた近衛兵がフィジェルを連れて行く。

 「クッソ、すべてうまく行ってたのに…マイヤの奴。あいつが…」フィジェルはうなだれたまま連れて行かれる。

 「それでは皆さん、ずっと体調不良だったルキウス国王陛下ですが、元通り元気になられたということですので、国王にはルキウス陛下に戻って頂くと言うことでよろしいでしょうか?」

 すぐにルキウスを国王とすることで満場一致で決まった。

 「それではみなさんいかがでしょうか?ここで提案があります。これを機にティルキア国もそろそろ聖女に結界を張ってもらうことはやめませんか?教会は神の祈りを捧げる場所としてこれからは政治には一切かかわらないことにしてはいかがでしょう?」

 「だが、それでティルキアは大丈夫なのか?」

 そこに大声で意見を述べる男。グレンだった。

 「いいえ皆さん、結界などなくても我々はゴールドヘイムダルと国境警備隊で充分やって行けるかと思っています。これからはより一層他国とも協力関係を図りながらティルキアも変わる時ではないかと思っておます」

 「そうかもしれん。ゴールドヘイムダルの隊長が言うんだ。間違いはないだろう」

 「それに聖女ももういないんだろう?ガイル大司教どうなんです?」

 「それは…まあ、今の段階ではそうですが、ご心配には及びません。この国は神の国です。いずれまた力のある聖女となる女性が現れるはず…」

 「そんなあやふやな…」

 「あんたそれでも大司教なのか?そうだ。大司教も力をお持ちでしょう?あなたが決壊を張ってくれればいいんじゃ?」

 「いえ、私はもう年ですし…」


 レオンが言う。

 「皆さん。ガイル大司教もフィジェル宰相と一緒になってその権力を自分の利益の為に利用して来たのです。彼にはもう大司教はもうふさわしくないと思いませんか?」

 「何を!私はこれまで一生懸命…」ガイルはぎゅっと唇を噛みしめるとそれ以上は言えなくなる。

 「一生懸命自分の懐でも肥やして来たんですか?」

 「し、失礼だぞ。レオン隊長。そんな証拠でもあるのか?!」

 「ええ、フィジェル宰相がいくらでも証言してくれるでしょうね。その前に自ら身を引いた方がいいのではないですか?」

 「くっ!……」

 これまでと言うようにガイルは肩をがっくり落とす。

 ロがレナート元公爵がそこにいた議員に尋ねる。

 「皆さんガイル大司教は今日で解任と言うことでよろしいでしょうか?」

 「ああ、新たな教会には新しい司教がふさわしい。皆さんそうでしょう?」

 「「「そうだ。そうだ。ガイルに早めてもらうのがいい」」」

 ひとりがそう発言するとすべての議員の声が揃った。

 「では皆さん。ガイルは教会追放と言うことでいいですね」

 「そんな!私はどうすれば…」

 ガイルは頽れるようにその場に倒れ込んだ。

 「罪を問われないだけありがたいと思いなさい」

 「ぐふぅ…」ガイルの口から力ない息が零れた。それを近衛兵が両腕を抱えて連れて行った。

 「さて皆さん、ガイルは教会追放と言うことで。ですがいずれにしてもしばらく聖女不在ということで結界は無理でしょう。そうなると国境警備隊にしっかり警備をお願いするしか、それから国内の立て直しをして隣国との友好関係を修復しなければなりません。まずはアラーナ国。ここには元聖女アリシア様が王妃となられていますし、すぐにでも友好条約締結をしたいと考えております」

 「それにはまず宰相を決めなければ…皆さん、ロガレナート様がピッタリだと思いませんか?」

 ひとりの議員が言う。

 直ぐに決が採られて宰相はロがレナート元公爵に決まった。

 ガイルは教会を追い出されることになり、近衛兵に連れられて大聖堂に行く事になった。

 ガイルは私物を取りに行きたいと言ったからだ。

 ガイルは内心思う。”クッソ!これから私はどこに行けばいい。教会こそが私の居場所なのに…”

 どうすればいいかも決まらずガイルは大聖堂に向かっていた。

 

 

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺の番が見つからない

Heath
恋愛
先の皇帝時代に帝国領土は10倍にも膨れ上がった。その次代の皇帝となるべく皇太子には「第一皇太子」という余計な肩書きがついている。その理由は番がいないものは皇帝になれないからであった。 第一皇太子に番は現れるのか?見つけられるのか? 一方、長年継母である侯爵夫人と令嬢に虐げられている庶子ソフィは先皇帝の後宮に送られることになった。悲しむソフィの荷物の中に、こっそり黒い毛玉がついてきていた。 毛玉はソフィを幸せに導きたい!(仔猫に意志はほとんどありませんっ) 皇太子も王太子も冒険者もちょっとチャラい前皇帝も無口な魔王もご出演なさいます。 CPは固定ながらも複数・なんでもあり(異種・BL)も出てしまいます。ご注意ください。 ざまぁ&ハッピーエンドを目指して、このお話は終われるのか? 2021/01/15 次のエピソード執筆中です(^_^;) 20話を超えそうですが、1月中にはうpしたいです。 お付き合い頂けると幸いです💓 エブリスタ同時公開中٩(๑´0`๑)۶

番から逃げる事にしました

みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。 前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。 彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。 ❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。 ❋独自設定有りです。 ❋他視点の話もあります。 ❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

嫌われ聖女さんはとうとう怒る〜今更大切にするなんて言われても、もう知らない〜

𝓝𝓞𝓐
ファンタジー
13歳の時に聖女として認定されてから、身を粉にして人々のために頑張り続けたセレスティアさん。どんな人が相手だろうと、死にかけながらも癒し続けた。 だが、その結果は悲惨の一言に尽きた。 「もっと早く癒せよ! このグズが!」 「お前がもっと早く治療しないせいで、後遺症が残った! 死んで詫びろ!」 「お前が呪いを防いでいれば! 私はこんなに醜くならなかったのに! お前も呪われろ!」 また、日々大人も気絶するほどの魔力回復ポーションを飲み続けながら、国中に魔物を弱らせる結界を張っていたのだが……、 「もっと出力を上げんか! 貴様のせいで我が国の騎士が傷付いたではないか! とっとと癒せ! このウスノロが!」 「チッ。あの能無しのせいで……」 頑張っても頑張っても誰にも感謝されず、それどころか罵られるばかり。 もう我慢ならない! 聖女さんは、とうとう怒った。

急に運命の番と言われても。夜会で永遠の愛を誓われ駆け落ちし、数年後ぽい捨てされた母を持つ平民娘は、氷の騎士の甘い求婚を冷たく拒む。

石河 翠
恋愛
ルビーの花屋に、隣国の氷の騎士ディランが現れた。 雪豹の獣人である彼は番の匂いを追いかけていたらしい。ところが花屋に着いたとたんに、手がかりを失ってしまったというのだ。 一時的に鼻が詰まった人間並みの嗅覚になったディランだが、番が見つかるまでは帰らないと言い張る始末。ルビーは彼の世話をする羽目に。 ルビーと喧嘩をしつつ、人間についての理解を深めていくディラン。 その後嗅覚を取り戻したディランは番の正体に歓喜し、公衆の面前で結婚を申し込むが冷たく拒まれる。ルビーが求婚を断ったのには理由があって……。 愛されることが怖い臆病なヒロインと、彼女のためならすべてを捨てる一途でだだ甘なヒーローの恋物語。 この作品は、他サイトにも投稿しております。 扉絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(ID25481643)をお借りしています。

君は番じゃ無かったと言われた王宮からの帰り道、本物の番に拾われました

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
ココはフラワーテイル王国と言います。確率は少ないけど、番に出会うと匂いで分かると言います。かく言う、私の両親は番だったみたいで、未だに甘い匂いがするって言って、ラブラブです。私もそんな両親みたいになりたいっ!と思っていたのに、私に番宣言した人からは、甘い匂いがしません。しかも、番じゃなかったなんて言い出しました。番婚約破棄?そんなの聞いた事無いわっ!! 打ちひしがれたライムは王宮からの帰り道、本物の番に出会えちゃいます。

元聖女だった少女は我が道を往く

春の小径
ファンタジー
突然入ってきた王子や取り巻きたちに聖室を荒らされた。 彼らは先代聖女様の棺を蹴り倒し、聖石まで蹴り倒した。 「聖女は必要がない」と言われた新たな聖女になるはずだったわたし。 その言葉は取り返しのつかない事態を招く。 でも、もうわたしには関係ない。 だって神に見捨てられたこの世界に聖女は二度と現れない。 わたしが聖女となることもない。 ─── それは誓約だったから ☆これは聖女物ではありません ☆他社でも公開はじめました

王弟殿下の番様は溺れるほどの愛をそそがれ幸せに…

ましろ
恋愛
見つけた!愛しい私の番。ようやく手に入れることができた私の宝玉。これからは私のすべてで愛し、護り、共に生きよう。 王弟であるコンラート公爵が番を見つけた。 それは片田舎の貴族とは名ばかりの貧乏男爵の娘だった。物語のような幸運を得た少女に人々は賞賛に沸き立っていた。 貧しかった少女は番に愛されそして……え?

処理中です...