殿下、決して盛ってなんかいません!私は真面目にやってるんです。おまけに魅了魔法効かないじゃないですか!どうするんです?

はなまる

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39-2遂に結婚式。そこに現れたのは…

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 おはようございます。今日の投稿遅くなって済みません。朝から少し体調悪くて…皆さんも暑いのでたいちょうにはきをつけてください。

  

 ーそして結婚式ー

 王都マコールの中心街にある国で一番大きな教会で結婚式は行われた。

 式にはすべての貴族が参列し、教会がある表のメイン通りには街の人たちがお祝いに駆けつけた。

 ベルジアンは最前列でふたりを見守る。

 アラーナ国もティルキア国と動揺にオーディン神を信仰いているので神は同じだ。

 だが、ティルキア国のように結界を貼る必要もないので教会には司教がいるだけだ。

 祭壇の前で司教が夫婦の宣言をする。

 「今日ここに我がアラーナ国、国王陛下グレン・シーヴォルト陛下とアリシア・デヴィアヌスが夫婦になることを宣言します。では、誓いの言葉を…」

 アリシアは正式にティルキア国王の娘であることははっきりしていたので、ここではティルキア国王のデヴィアヌスを名乗る事にしたのだった。


 グレンはこの日の為にアリシアと揃いの生地で正装を作った。マントにはアリシアと同じオートクチュールのレースがあしらわれている。

 アリシアは全身をゴージャスで美しいレースに包み込まれたままグレンと向かい合う。

 「私、グレン・シーヴォルトはここに誓う。アリシア・デヴィアヌスを妻としいかなることがあろうと生涯をかけて愛しぬく事をここに誓う」

 グレンの瞳は真っ直ぐにアリシアを見つめたままで。

 「私、アリシア・デヴィアヌスはグレン・シーヴォルトを夫とし生涯そばを離れず愛しぬく事を誓います」

 アリシアも真摯にグレンを見つめたままで。

 「それでは誓いのキスを」

 グレンの美しいレースのベールを持ち上げる手は緊張で小刻みに震える。

 「アリシアすごくきれいだ…」

 アリシアがふっと微笑んでそっと背伸びをして目を閉じるとグレンはアリシアの頬を両手で挟み込むようにする。

 ふたりの身体が近づき唇が触れ合う。

 「ちゅぅ」グレンはアリシアの唇を食むようにわざと音を立てた。

 アリシアは口元をほころばせてグレンの唇に吸い付いた。

 そして唇が離れた。

 その瞬間!

 ステンドグラスになった天井部分から幾重にも光が差し込んだ。

 ステンドグラスの周りには神々の天地創造の絵画が描かれておりまるで神が降臨して来るかのような光が。


 すると突然。幾重にも注がれる光の中から女神エイルが現れた。

 女神エイルはアリシアとグレンに微笑んだ。

 「あなたは…」アリシアは言葉を失う。

 「私はオーディン神の使い。エイルです。アリシア結婚おめでとう。これは神からの祝福です。さあ、受け取りなさい」

 女神エイルがキラキラ光る小箱を差しだした。蓋が開くと中にはオルグの泉で見たような神々しく光輝く玉が入っていた。

 「これは…」

 「ええ、これは大地の恵みよ。オルグの泉で見たでしょう?もう一つは暗黒の揺らぎ。悪しきものを呼び寄せる…あなた方は二度もそれを防いで国を守ったわ、そう世界を守ったのです。神はそれをとてもお喜びになっていてどうしてもふたりの結婚の祝いにとこれを授けるとおっしゃっているんです。どうかこの国や世界に幸をもたらす大地の恵みを受け取って」

 エイルはさらに輝きを増す。

 アリシアも光に包み込まれて祭壇の前はもうスポットライトを当てたようになっている。

 参列していた貴族や司教はそれはもうまばゆい光に包まれた女神を前にたじろいでしまう。

 ベルジアンさえも腰を抜かすほどの驚きだ。

 貴族がこっそりベルジアンに聞く。

 「陛下の妻になる方は一体どのようなお方なのだ?」

 貴族たちにアリシアの詳細は一切知らされておらず今日初めてアリシアがティルキア国の国王の性を名乗ったのを聞いて驚いていた。

 「ええ、アリシア様は元ペルシス国王妃とティルキア国ルキウス様との間に生まれた高貴なお方。母上は聖女でもあってそのお力を引き継いでティルキア国ではずっと聖女として結界を張られていたんです。それに先祖に魔族もいらっしゃって陛下の番でもあります。これであの方がいかに陛下にふさわしいかお判りでしょう?」

 ベルジアンはそう言うと自分が間違がっていたことを痛感していた。

 「ああ、それならそうと陛下もおっしゃって下されば…それに女神エイルから祝福まで…陛下はとんでもないお方を妻にされた。これは目出たい」

 貴族たちはざわざわ騒がしくなる。

 そんな中アリシアの顔は引きつっていた。

 「でも、私がそんなものを?エイル様受け取れません」

 「アリシアいいから受け取れ」

 アリシアはグレンを見る。グレンは後押しするようにアリシアの手を取った。

 その手を空中にかざして差しだされた箱を受け取らせる。


 聖堂内から拍手が沸き起こった。

 「「「おめでとうございます。グレン国王陛下。アリシア王妃!!」」」

 貴族たちから拍手が沸き起こる。

 アリシアは照れながらエイルにお礼を言う。

 「ありがとうございます。私なんかが…何だかすごく恥ずかしい。でも、エイル様。グレンとふたりでこの玉がますます輝くようにこれからも正しい事をやって行くと誓います」

 「ああ、俺。いえ、私もこの国いえ世界の為に正しい行いをすると誓います」

 「わかっていますよ。あなた方はきっと約束を守ってくれるでしょう。あなた方に神からの祝福を…」

 光のシャワーがふたりに振り注ぐ。

 そして女神エイルはスゥっと光の中に消えた。

 ステンドグラスから差し込んでいた光が消えて辺りは元の聖堂に戻った

 司教が駆け寄る。

 「配下。これはすごい事です。おふたりに神の祝福が…それにこの大地の恵みが我が国に。これはこの国の繁栄を約束された事です」

 貴族たちも口々にお祝いの言葉を叫ぶ。

 グレンは壇上に立つと叫んだ。

 「ああ、これもすべてアリシアのおかげだ。みんなアリシアをよろしく頼むぞ。わが王妃アリシアを」

 そしてアリシアを壇上に上げてふたりで手を掲げた。


 場内は興奮と熱気で沸き上がった。結婚式は素晴らしいものとなった。

 聖堂を出て街の大通りを馬車に乗ってパレードをする。

 すでに女神エイルが現れふたりに神の祝福が与えられ、大地の恵みの玉がもたらされたことが広まっていた。

 アラーナ国はお祭り騒ぎとなった。

 そのおかげかバード感染者も一気にいなくなっていた。



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