隣人は不愛想な警部!大人の階段登りたい男性恐怖症のわたしはロマンチックを所望しています

はなまる

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 陽介は最後にはつねの最奥に穿つと彼女を抱きしめた。

 呼吸は大きく乱れ、息をすると肩が大きく上がる。

 もうダメだ。

 はつねはかわいすぎる。

 これじゃあ気持ちよくてあっという間に果ててしまう。

 彼女を離したくなくて俺はずっとずっとこうしていたいのに…‥なのに我慢できなくなった。

 彼女の中は熱くて俺を締め付けて俺の思考をぐちゃぐちゃにしてしまう。

 とろけそうで、もっと、もっと、もっとずっとこうしていたい。

 それなのに彼女の中に自分の精を吐き出したい衝動にかられてしまう。

 そして俺はあっけなくはつねの中に吐精してしまった。

 それはきっとはつねだから…こんな気持ち生まれて初めてだ。

 俺にはこれ以上の女はもういない。

 陽介は確信した。


 「はつね?どうして?泣いてる?」

 気づくと驚いた。

 彼女の涙を拭い、そっとまぶたにキスをした。

 「だって…うれしくて勝手に出ちゃう」

 陽介の心をまたまた揺さぶられる。

 可愛すぎて唇を奪う。容赦なく激しく奪った。

 そっと彼女の中から出るとはつねを後ろから抱き寄せた。


 もう彼女を離さない。迷う必要はなかった。俺の気持ちは最初から決まっていたんだから。

 「明日一緒にはつねの実家に行こう」

 「ああ、あの話ね。ええ、でも予定を聞いてみないと、うちの両親よく出かけてるから」

 「なあ、はつね。俺と本気で結婚を前提に付き合わないか?そのつもりで明日はご両親に挨拶をしたい」

 はつねがくるりと向きを変えた。

 「それってわたしに本気で交際を申し込むって事?」

 「ああ、君と出会って俺はどんどん君に惹かれて行く自分を抑えられなかった。でも今までの事があってなかなかそれを受け入れるのが恐かった。でも、もう迷わない。はつねはどう?」

 「わたしだって、こんな気持ちは初めてで陽介さんと同じで最初は迷ったし恐かった。でもあなたが好き。どうしようもないほど好き。こんなわたしでもいいの?」

 「はつねだからこそいいんだ。何も心配するな。俺は君のありのままが好きだ」

 「ありがとう陽介さん」

 「俺は本気だからな。あいつのためでもない。もう嘘はつかなくていい」

 はつねは陽介に抱きついた。

 それから母の所に電話をした。明日は父がいるかを聞いた。父は夕方には帰って来るというのでその頃家に行くと伝えた。ふたりに大事な話があるとも…

 そしてふたりはそのまま眠りについた。



 翌朝はつねは目ざめるとお腹が空いた。

 そう言えば昨日はたい焼きとプリンしか食べてなかった。

 陽介はまだぐっすり眠っていた。

 はつねは起き上がると脚腰が痛かった。

 でも、陽介さんと愛し合ったって思うとそんな痛みも着にはならなかった。

 早速陽介の家のキッチンを借りて朝食を作る。とは言っても簡単に納豆と卵焼きとインスタントの味噌汁だったのだが。


 「ねぇ、陽介さん。起きて」

 はつねは彼の体を揺する。

 まだ裸のままの彼。瞼は閉じられていて改めて陽介のまつ毛の長さにどきりとする。

 それにこんなの新婚さんみたいで何だか照れ臭い。

 寝起きの薄っすら目を開けた陽介の顔は何とも言い難いほどイケメンではつねはさらにうっとりとなる。

 「は、はつね?」

 「お、おはよう陽介さん、あの…朝食作ったんだけど、まだ寝るなら…ううん、全然後でもいいんだけど…」

 自分から起こしておいて今さら何をと思いながらも声が上ずる。

 「はつねが朝ごはん作ったのか」

 陽介さんは驚いたみたいで急いで上半身を起こした。

 陽介さん、髪、乱れてるのもかっこいい。

 

 「ううんいいの、起きなくても。せっかくのお休みなんだしゆっくり寝てていいから」

 はつねはこれ以上は朝からもったいない気がして後ずさりし始めた。

 「もったいない。せっかくはつねが作ってくれたんだ。起きる」

 陽介はがばりと裸のまま起き上がった。

 下着も付けていない彼の裸体が露わになりはつねは真っ赤になって顔を逸らす。

 「もー、よーすけさんってば!」

 彼のあそこは立派に育っている。

 はつねの心臓は一気に全開で血液を放出する。



 「いいから‥‥気にするな生理現象だ。シャワーしてすぐ行く」

 陽介は頭をかきながらシャワーを浴びに浴室に行った。

 しばらくすると服を着た陽介がキッチンに現れた。

 その頃にははつねはやっと落ち着きを取り戻していた。


 ふたりで朝食を食べる。

 はつねは味噌汁を入れた椀を陽介の前に置きご飯をよそう。

 これ、完全に恋人のお泊まりってやつかしら?

 「卵焼きうまい。はつねは料理上手だな」

 「ありがとう。ねぇ陽介さん、わたし達って付き合うことになったんだから今日はデートしない?」

 そうよ。恋人ならデートしたいもの。


 「デートか。そうだな。はつねどこがいい?」

 思わぬ陽介さんの反応に気を良くする。

 「そうね…でも、時間も限られてるし、都内の水族館とかどう?その後映画見てもいいし、夕方まではふたりきりでいれるんだから」

 はつねはうきうきして今日の予定を考える。

 これって少しはロマンチックじゃない。

 やっと彼とデートなんだから今日は水族館に行ってランチを食べて映画を見て‥‥妄想は限りなく膨らんでいく。

 「ああ、任せる。俺そんな事するの高校生の時以来だし、はつねの行きたいところに行こう」

 「じゃあ、食べたらわたし支度してくるから」

 はつねは大喜びで食事を終えると自宅に帰って支度をした。


 シャワーを浴びると急いで服を選ぶ。

 困ったなぁ…初めてのデートなのに帰りはパパのところに行くからあまり派手な服は着ない方がいいわよね。

 パパは派手な格好をするのが嫌いだ。

 陽介さんとの付き合いうまくまとめたいしこれにしよう。

 はつねは淡い花柄のブラウスとひざ丈のフレアースカートにした。

 髪は急いでいたのでそのまま長い髪を下ろして後ろで上の方をまとめてとめた。



 「陽介さんお待たせ」

 急いで陽介の部屋のチャイムを鳴らす。

 ドアを開けた陽介が声を漏らす。

 「すごくかわいい…」

 陽介がはつねを引き寄せキスした。

 「さあ、行こうか。そうだ。忘れないうちに家の鍵渡しておく。もしはつねが先に帰っても入れるように」

 陽介さんがスペアの鍵を渡してくれた。

 「ありがとう陽介さん、うれしい…」

 うれしさで胸が震えた。



 ふたりは都内の水族館に行くとそこで2時間ほど楽しんだ。

 手をつないで色々な水槽を見て回った。

 それから近くのイタリアンレストランでランチを楽しんだ。

 「陽介さんすごくおいしかった。ごちそうさま」

 はつねは陽介に手をつながれたままでお礼を言った。

 「そうだ、はつねさん、君の家に行く時何かお土産を持って行った方がいいだろう。何かおすすめはあるか」

 「そうね…うちの両親は和菓子が好きだから、あっ、この近くにある老舗和菓子屋『林』の葛餅が好きよ」

 「そうか、じゃそれにしよう」

 ふたりでお土産の葛餅を買って映画に行こうとした時だった。

 陽介さんの携帯電話が鳴った。

 「はい、ええ…わかりました。今から向かいます」

 
 「すまんはつねさん。急な仕事が入った。夕方には君の実家に行くようにするから」

 「大変なんだね陽介さん。気にしないで、じゃあ、わたし先に家に行こうかな…あっ、場所わかる?」

 「ああ、住所聞いたから、じゃあ悪い。5時過ぎには行くから」

 「これどうする?」

 はつねは菓子折りの袋を指さす。

 「はつねさん持って行って、俺は持ち歩くわけにいかないし」

 「ええ、あなたからって伝えとく」

 「そんなのいいから、じゃあ、すまん」

 陽介さんはそう言うと走り去っていった。


 はつねはそれから実家に行った。

 母がいたので一緒に庭いじりを手伝う。

 父も珍しく早めに帰って来た。

 「はつね来てたのか」

 「ええ、パパ早かったのね」

 「ああ、それで海斗とはどうなってる?」

 「どうって?断ったじゃない」

 「よく考えろと言ったじゃないか。まあいい、これから海斗が来るからよく話をしなさい」

 「海斗さん今から来るの?」

 はつねは会いたくなかったのにと嫌な気分になった。


 すぐに海斗さんが家に現れた。

 「こんにちはおじさん、おばさん、はつねちゃんもいたのか。うれしいよ。今日にでも君の所に行ってみようかと思ってたんだ」

 海斗の機嫌はすこぶる上がったらしい。

 「海斗さんこっちで話しましょう」

 はつねは海斗をダイニングに連れて行った。



 今日こそはっきり言った方がいい。

 陽介さんと正式に付き合うって決まったんだもの。

 「海斗さんわたしあなたと結婚できないって言ったじゃない。パパはまだ話してないみたいだけど…」

 「君がそんなことを言うから叔父さんに確かめに来たんだ。叔父さんは結婚させるてやるって言ってるし、はつねちゃんまだ可能性がないわけじゃないだろう?」

 「いいえ、全く可能性ゼロだから、もう諦めてよ。わたしは‥‥」

 そこまで言いかけて言葉に詰まった。

 海斗の顔がまるで変ったのだ。

 

 目つきが変わった海斗さんは体がすくみそうなほど恐かった。

 今、陽介さんとのことを言うのはまずいかも。

 はつねはとっさにそう思う。

 そうだ。この人は何をするかわからないんだから…‥



 「はつねちゃんまさかあいつと付き合ってるのか?」

 海斗の手がはつねの手首をつかむ。

 恐怖で喉の奥が強張った。

 「まさか‥‥いいから離して」

 彼の手を振りほどく。

 海斗がはつねの顔を覗き込むようにじっと見つめる。

 その視線はゾクリとするほど恐い。

 「いいからよく聞くんだ。あいつは信用できないって言ってるだろう?何人もの女と付き合って騙して捨てた。そんな男なんだぞ!はつねは騙されてるんだ。あんな男と付き合っちゃダメなんだ!とにかくあいつは信用ならないから」

 海斗はそう言うとはつねの腕を強くつかんだ。

 その力はとても強くギリギリ彼の恐怖をねじ込まれるみたいではつねは心底彼への嫌悪感を強くした。

 なによ。あなたこそ信用ならない男じゃない。

 いい加減嘘ばかりつくのはやめてよ!



 「そんなのわたしの勝手でしょ。海斗さんこそ信用できないじゃない。わたしわかってるのよ海斗さんが…‥」

 そこまで言って言葉に詰まった。

 これ以上は証拠もないしわたしの憶測でそれにわたしが気づいてるって知ったら‥‥

 はつねの背すじに冷たい汗が流れた。恐怖が体を包んで肩がプルリと震える。



 「何が分かってるんだ。言ってみろよはつね。おい、言えよ!」

 海斗ははつねの肩をつかんだ手に力を入れる。

 声はどすの聞いた声でそれだけではつねは言葉に詰まる。

 喉の奥が詰まったみたいに息が苦しくなって胸の奥が締め付けられるみたいになって…‥

 「…‥」

 「それ見ろ、口だけだろう?いい加減なことを言ったら承知しないからな。俺はおまえとの結婚やめる気はないからそのつもりでいろよな!」

 そんなの嫌だ。

 突然どうしようもなく腹がたつ。



 「嫌よ!海斗さんなんか大っ嫌い。絶対結婚なんかしないから、もう帰ってよ」

 「クッソ!覚えてろよ。はつね、桐生がどんな奴かわからせてやる!」

 海斗はそう吐き捨てて帰って行った。



 恐かった。陽介さん、早く来て…はつねは携帯電話を握りしめた。

 彼は大事な仕事中だ。こんな事言えるはずもない。



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