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43やってられるか(ネイト)
しおりを挟む「本当に申し訳ありません。ですがメリンダは「やってられるか!散々俺やミーシャを振り回してさぞ楽しかっただろう」…本当に申し訳ありません」
デュークが頭を下げる。
俺は立ち上がって下げた頭の髪の毛を掴んで顔をあげさせる。
デュークの胸ぐらを掴んでぐらぐら揺すり倒す。
(そんなことされたって許さるわけない。ミーシャはいなくなって俺は気が狂いそうなんだ。散々小細工しやがって!)
それなら何でもっと早くと俺は苛立った。腹が立った。どうしようもなく苛ついた。
「だったらもっと早くそう言ってくれればよかったんだ。いつまでも意地なんか張らずに…クッソ!」
苦しそうに顔を歪めるデュークの胸ぐらを離すと彼を突き飛ばした。
「申し訳ありません。ですが…」
デュークは尻もちをついたがすぐに立ち上がりまた頭を下げた。
「ネイト私が悪いの。デュークは悪くない」
メリンダがデュークに走り寄る。
「メリンダは黙ってて」
そんな庇い合いが余計にイライラを煽った。
俺はぐちぐち苛立ちをぶつける。
「いい加減にしろよ。俺の事なんかどうでもいいんだろう?俺達はそう言う関係だった。そうだよなメリンダ。俺達の間にはお互いを思いやる感情もなければ労わる感情もない。もう無駄な時間は過ごしたくない。離縁しよう。これですべて解決だ。いいよな。そうなればお前の望み通りだ」
「それは…」メリンダは口ごもる。
「そりゃそうだろう。自分はこれから好きな男の子供と一緒に暮らすんだ。厄介な俺がいなくなって良かったよな…」
嫌味を言うが脳内はすぐに現実に晒された。
ああ、お前はいいよな。だが、俺はどうなる。このままミーシャが見つからなかったら?俺は…
「メリンダお前のせいでミーシャは出て行った。お前がもっと早く本当の事を話していたらこんな事にはならなかったんだ!お前のせいで!クッソクッソ!!」
「待ってミーシャが出て行ったっていつ?」
「昨日だ。今日は子爵の所にも行って来た。でも、いなかった。あちこち探した。でもどこにもいない…」
「待って、ミーシャに似た人を見たの」
「なんだよ。それを早く言えよ。それでどこで見たんだ?」
俺はメリンダに駆け寄る。
「繁華街を抜けている時にレストランの前で似た人がいると思って」
「レストランの名前は?」
「行っても無駄よ」
「なんでだよ。まだ近くにいるかも知れないだろう」
俺は急いでリビングを出ようと向きを変えた。
「ちょっ、待って。ネイト。ミーシャは離れにいるわ」
「えっ?離れ?どういう事だ?」
「私、もしかしたらと思って声をかけたの。ミーシャだったわ。それで話をしたら、もうここには帰れないって言うから無理やり馬車に乗せたのよ。私はあなたと別れるつもりだって話したの。それで離れで待つように言ったわ。でもミーシャは信じてくれないからお腹の子供が貴方の子供じゃないって事も話したの。彼女はあなたが来るのを待ってると思うわ」
「はっ?」
俺の混乱は最高値に達した。
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