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18看病します(1)
しおりを挟む「ご主人様…しっかりして下さい。こんなになるまでどうして放っておかれたのです。ほんとに。もう!」
私はご主人様の額の布を変えながらぶつぶつ文句を言っていた。
彼は時折苦しそうに息をして咳き込む。
私はその度に胸をゆっくりさする。
母もぜんそくの持病があったのでよくこうやって看病した。
こんなに咳がひどいならヨモギやオオバコが…庭にヨモギがあったはずだ。
いや、そんな事をしなくても医者が来れば薬は手に入るはず。
胸を痛めながらそんな事を考え彼の看病をする。
「はぁはぁはぁ…ミーシャ…?」
ご主人様が目を開けた。
「ご、ご主人様。どこか苦しいところは?」
「なんで…君が‥ここに…?俺は夢…を見て…いるの…か?」
「ご主人様は熱があるんです。きっと風邪です。今はしゃべらずに…そうだ、喉が渇いていますか?」
「ああ‥口の中が甘いな」
「さっきシロップを飲ませたんです。すぐにお茶を用意しますね」
私は立ち上がろうとした。
とっさに彼の手が私の手首をつかむ。
「ここに‥いてくれ…」彼の声はかすれている。喉も痛いのだろう。
「ええ、すぐ戻りますよ。扉から声をかけるだけですから。ね」
私はクスッと微笑んで子供を諭すようにご主人様の手をさする。
ふわりとつかんだ手が緩んで彼がクシャッと笑った。
チリチリっと心臓が痛んだ。
何この破壊力。こんな姿で笑うなんて…
ご主人様罪な人ですよ。あなたは。
それから使用人が持って来たお茶を飲ませて使用人と一緒に身体を拭いて着替えをした。
ひとりでしなかった。もちろんひとりでは出来ないしまたおかしな誤解を生んでも行けないと思ったからだ。
まさかこんな形でまたご主人様の裸を見ることになるとは思わなかったが。
いや、これからも見るに違いないだろうが…
それから医者が来て診察をした。
私はその間にヨモギを取って来てカモミールやジンジャー、さっきのエルダーフラワーのシロップを入れたお茶を用意する。
それからパンがゆと野菜チキンスープの用意も頼んだ。
医者からは取りあえず薬は私が持っていたもので大丈夫だからと言われたのでまた明日様子を見てと言う事になった。
私は彼に用意した薬を飲んでもらいそれからしばらくしてお茶を飲ませた。
そこにガストン侯爵が入って来た。
「ミーシャ。妻から聞いた。いろいろとすまんな。君のような経験者がいてくれて助かった。我が家は病気知らずでネイトがこんな熱を出したことも子供の頃以来でな。悪いが今晩付き添ってもらえないだろうか?マーガレットもすっかり狼狽えていて君が看病してくれると…いや、もちろん使用人も1人つける。いろいろ必要なものもあるだろうし‥「もちろんです。今夜は付きっ切りで看病します。私に出来る事はこれくらいですから…あっ、いえ、そうではないんですけど…」もちろんわかっている。息子がすまん。君には気を使わせてるんだろうな。でも、君にはこれからもいて欲しいと思ってる。子供を産んでほしい気持ちは変わらん。まあ、それもしばらくお預けだが…とにかく頼んだ。私達も様子を見に来るから」
「はい、お任せください。何かあればすぐに呼びしますので、大奥様にもご安心くださいとお伝えください」
「ああ、頼んだ。そうだ。夕食がまだだろう?ここに持って来させよう」
「大丈夫です。私、食事は早い方なので、ネイト様の調子がよさそうな時にさっさとすませますから」
「そうか、いろいろすまん」
ガストン侯爵はそう言われるとネイト様の額にそっと触れて出て行かれた。
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