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第22話
植物人間
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マーブル博士はプランターのある研究室の前に到着した。
その後、少し遅れてアイ、メデタ、ジョン達も追いつき研究室の中へと入っていった。
中に入ると沢山のプランターがある中で、1つだけサイズの大きい植物が目に付いた。
そして、その植物は車椅子に載せられていて、その車椅子は背中を向けている。
すると車椅子が独りでに動き出しては、右に回るとその植物が正面に向いた。
その姿は、『植物人間』と表現すれば良いのか。植物なのに顔と腕があり、その姿から伺えるのは、まるで自らの意思があるかに見える。
一見不気味ではあるが、マーブル博士はその植物人間を見るなり吸い寄せられるように近付いて行った。
「ほほ~!こりゃたまげた!さっきは苗木程の大きさじゃったのに、もうこんなに成長しているとは!面白いことになっとるのぉ!」
「博士、これは一体??」
メデタはマーブル博士に言った。
「これは、さっきのマンドレイクじゃ、もうこんなに成長したようじゃ。まぁ何でかはまだ調べてみんと分からんが、とにかく研究は成功の一歩手前まで来とる事は確かじゃ。これはメデオ君の願いを叶えるための研究じゃったが、ようやく芽が出て花が咲こうとしておる段階じゃ。」
「父の願い。そういえばドングリの木になりたいと言っていましたね。」
「そうじゃ。メデオ君は、脳の病気によって倒れ、植物人間になってしまう以前に、自らそう言っておった。わしは何でドングリなんかになりたいのか、その時は意味が分からんかった。しかし彼は本気じゃった。そしたらドングリの木になる前に本当に植物人間になってしまった。生きてはおるが、起きることはなくなった。当然食事は摂れないため、点滴のみじゃったが、その命は長く繋ぎ止める事はできんかった。」
「それで、父は亡くなってしまった。」
「そうじゃ。わしはとても悲しかった。じゃが、彼の意思はまだ生きておった!姿型は変わったが、彼の願いという意思は、ここにちゃんと生きておったんじゃ!」
マーブル博士は目に涙を浮かべている。
「兄さん、これは凄いことになりましたね。もしかしてこのマンドレイクは?」
「そうじゃよ。メデオ君の細胞を特殊な培養液に精製した栄養剤を使用して育てた、まさにメデオくんの生まれ変わり、いや分身のようなものじゃな。しかも・・。」
そういうと、マーブル博士はポケットに手を突っ込んで何かを取り出した。
「これを培養液で育てたんじゃ!」
マーブル博士が見せたのは小さな種だ。よく見ると、それは明らかに『ドングリ』だった。
「なるほど、ドングリの木になるんですね!凄いですね!」
「そうなんじゃ。ジョン、さっきのメデルくんのデターを通貨にするという話。その話とこのドングリは切っても切り離せないものなんじゃ。」
「メデオくんも同じ事を考えておった。ドングリを通貨にしたいと。これはメデオ君が、ある慈善事業家の事を記事で見たことがきっかけだったんじゃが、その慈善事業家というのは何を隠そう、我が弟、ジョンの事じゃよ。」
「なるほど。そうだったんですねぇ。」
「そうじゃ、メデオ君はジョンが始めたドングリ貯金を知り、自分も地球の緑のために何か力になりたいと、それからドングリを拾うようになったんじゃ。」
「私も、兄も一緒に拾っていました。」
「そうじゃな、懐かしいのぉ。そんな彼が残したモノがこのマンドレイク。植物人間になった彼が残したその熱い願いは今型となって動き始めたんじゃ。この命をわしは必ず育てあげて、そして、このドングリのマンドレイクの苗木を増やす事で、季節や時期は関係のない、尚且つ成長の早いドングリの木が世界中に広がれば、緑豊かな地球を取り戻せると思うんじゃ!」
「兄さん!それは素晴らしいですよ!そんなドングリと、デターが通貨になれば世界がひっくり返りますよ!人も地球も救われるはずです!やりましょう!今すぐ取り掛かりましょう!僕にできる事なら何でもお手伝いさせて下さい!」
「ジョン、ありがとう!恩にきる!」
「何を水臭い事を言ってるんですか!あの時のお詫びだと思ってくださいよ。」
「あの時って?何のことじゃ。」
「兄さんの昆虫コレクションを僕の豚が食べちゃったでしょ。」
「あははは!その事かぁ!それじゃ、遠慮なく詫びてもらうとするかのぉ。」
「かしこまりました。」
「わははははは!」
「あははははは!」
2人は笑いながら肩を組んでいる。
「仲の良いご兄弟ですね。微笑ましいです。」
メデタは笑い合う2人を見て言った。
こうしてジョンも強力な協力メンバーとして加入する事となった。
その後、少し遅れてアイ、メデタ、ジョン達も追いつき研究室の中へと入っていった。
中に入ると沢山のプランターがある中で、1つだけサイズの大きい植物が目に付いた。
そして、その植物は車椅子に載せられていて、その車椅子は背中を向けている。
すると車椅子が独りでに動き出しては、右に回るとその植物が正面に向いた。
その姿は、『植物人間』と表現すれば良いのか。植物なのに顔と腕があり、その姿から伺えるのは、まるで自らの意思があるかに見える。
一見不気味ではあるが、マーブル博士はその植物人間を見るなり吸い寄せられるように近付いて行った。
「ほほ~!こりゃたまげた!さっきは苗木程の大きさじゃったのに、もうこんなに成長しているとは!面白いことになっとるのぉ!」
「博士、これは一体??」
メデタはマーブル博士に言った。
「これは、さっきのマンドレイクじゃ、もうこんなに成長したようじゃ。まぁ何でかはまだ調べてみんと分からんが、とにかく研究は成功の一歩手前まで来とる事は確かじゃ。これはメデオ君の願いを叶えるための研究じゃったが、ようやく芽が出て花が咲こうとしておる段階じゃ。」
「父の願い。そういえばドングリの木になりたいと言っていましたね。」
「そうじゃ。メデオ君は、脳の病気によって倒れ、植物人間になってしまう以前に、自らそう言っておった。わしは何でドングリなんかになりたいのか、その時は意味が分からんかった。しかし彼は本気じゃった。そしたらドングリの木になる前に本当に植物人間になってしまった。生きてはおるが、起きることはなくなった。当然食事は摂れないため、点滴のみじゃったが、その命は長く繋ぎ止める事はできんかった。」
「それで、父は亡くなってしまった。」
「そうじゃ。わしはとても悲しかった。じゃが、彼の意思はまだ生きておった!姿型は変わったが、彼の願いという意思は、ここにちゃんと生きておったんじゃ!」
マーブル博士は目に涙を浮かべている。
「兄さん、これは凄いことになりましたね。もしかしてこのマンドレイクは?」
「そうじゃよ。メデオ君の細胞を特殊な培養液に精製した栄養剤を使用して育てた、まさにメデオくんの生まれ変わり、いや分身のようなものじゃな。しかも・・。」
そういうと、マーブル博士はポケットに手を突っ込んで何かを取り出した。
「これを培養液で育てたんじゃ!」
マーブル博士が見せたのは小さな種だ。よく見ると、それは明らかに『ドングリ』だった。
「なるほど、ドングリの木になるんですね!凄いですね!」
「そうなんじゃ。ジョン、さっきのメデルくんのデターを通貨にするという話。その話とこのドングリは切っても切り離せないものなんじゃ。」
「メデオくんも同じ事を考えておった。ドングリを通貨にしたいと。これはメデオ君が、ある慈善事業家の事を記事で見たことがきっかけだったんじゃが、その慈善事業家というのは何を隠そう、我が弟、ジョンの事じゃよ。」
「なるほど。そうだったんですねぇ。」
「そうじゃ、メデオ君はジョンが始めたドングリ貯金を知り、自分も地球の緑のために何か力になりたいと、それからドングリを拾うようになったんじゃ。」
「私も、兄も一緒に拾っていました。」
「そうじゃな、懐かしいのぉ。そんな彼が残したモノがこのマンドレイク。植物人間になった彼が残したその熱い願いは今型となって動き始めたんじゃ。この命をわしは必ず育てあげて、そして、このドングリのマンドレイクの苗木を増やす事で、季節や時期は関係のない、尚且つ成長の早いドングリの木が世界中に広がれば、緑豊かな地球を取り戻せると思うんじゃ!」
「兄さん!それは素晴らしいですよ!そんなドングリと、デターが通貨になれば世界がひっくり返りますよ!人も地球も救われるはずです!やりましょう!今すぐ取り掛かりましょう!僕にできる事なら何でもお手伝いさせて下さい!」
「ジョン、ありがとう!恩にきる!」
「何を水臭い事を言ってるんですか!あの時のお詫びだと思ってくださいよ。」
「あの時って?何のことじゃ。」
「兄さんの昆虫コレクションを僕の豚が食べちゃったでしょ。」
「あははは!その事かぁ!それじゃ、遠慮なく詫びてもらうとするかのぉ。」
「かしこまりました。」
「わははははは!」
「あははははは!」
2人は笑いながら肩を組んでいる。
「仲の良いご兄弟ですね。微笑ましいです。」
メデタは笑い合う2人を見て言った。
こうしてジョンも強力な協力メンバーとして加入する事となった。
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