Love Me Detar

マシュー

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第20話

メデルマネー

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メデルは、これらの事を踏まえて、お金の持つ要素にゴキブリを当てはめて考えてみた。

《①価値の保存》
価値の保存とは、その価値が腐ったりせず長期的保存が出来る事を意味する。(紙幣や貨幣の場合は金庫や財布などに保存できる。)
これをゴキブリに当てはめると、昆虫のゴキブリを保存するためには、虫かごに入れる事で保存が可能。しかし昆虫のゴキブリには寿命があるためいずれ死んでしまう。ゴキブリの平均寿命は成虫で約200日、およそ半年弱。いわば価値の期間限定保存ができる事になる。この場合、生きている期間がお金としての価値があるとする。

②価値の尺度
価値の尺度とは、価値の大きさを比較する尺度があるかを意味する。(紙幣や貨幣の場合は数字が尺度になる。)
これをゴキブリに当てはめると、ゴキブリは昆虫であるため、卵から幼虫として生まれ何度も脱皮を繰り返しながら成長して成虫になる。例えば成長過程によるサイズ感を数字で表して価値を付加することで「卵→10、幼虫→100、成虫→1000」という成長過程によるサイズ感
を尺度にできるため価値の尺度は当てはまる。

③価値の交換
価値の交換とは、その価値とモノやサービスを等価交換できる事を意味する。
これをゴキブリに当てはめた時に、例えば虫かごに保存されたゴキブリを現金としてモノやサービスと交換しようとした時、現金のゴキブリはきっと逃げ出すだろう。お金が逃げてしまっては困るし、これでは価値の交換に当てはまらない。

しかし、お金というのは時代に合わせて進化し、変化してきた。現代のお金はこれまでとは姿形だけではなく『支払い方法』が大きく変わった。現代の支払い方法は現金を使用する事が少なくなった。代表的な支払い方法として、『クレジットカードでの支払い』から始まり、『チャージタイプのプリペイドカードでの支払い』や『QRコードを読み取っての支払い』へと進化してきた。まさに『キャッシュレス時代』の到来だといえる。

それとともにレジも進化している。『セルフレジ』だ。これを受けて改めて考えてみる。

ゴキブリは昆虫なので、現金で支払うと逃げてしまうのだが、セルフレジを例にして捉えた場合、現金であるゴキブリの価値の尺度を計るためにゴキブリはボックスに入れたまま専用のスキャン機でサイズによる価値の尺度のデータを数値化し、スマホやカードにチャージする事で
、現金ではなく電子マネーとして使用することができる。そのため価値の交換は当てはまる。

④価値の流通量
価値の流通量とは、その価値がどれだけ流通しているかを意味する。
これをゴキブリに当てはめた時に、容易に想像できる事は、ゴキブリは『生きた化石』と言われるほどに、人類が生まれる遥か昔から子孫繁栄し生き続けているほど、『生命力、繁殖能力、環境適応能力』が優れている昆虫である事が分かっている。
そして種類は様々だが、その種は世界中に点在しているため、価値の流通量は当てはまる。

⑤価値の投機
価値の投機とは、その価値を投資し、資産運用できる事を意味する。
これをゴキブリに当てはめた場合、価値の流通量と同じく、繁殖能力に長けている事から、実はゴキブリはオスがいなくてもメス単体でも繁殖する事ができ、1度に約100個の卵を産むと言われている。例えば成虫のメス1匹に投資し、育てただけで卵の数+成長により資産増幅する事ができるという事になる。
そのため価値の投機は当てはまる。

⑥価値の偽造
価値の偽造とは、その価値の偽物が作られないかを意味する。
これをゴキブリに当てはめると、ゴキブリは昆虫で生き物なので、これを偽造しようとしても精巧なリアルなオモチャを作れたとしても、生きていないと価値がないので、偽造する方がコストがかかるので、それなら大切に育てた方が賢明である。


このように、ゴキブリをお金の6つの条件に当てはめてみると、全て当てはまる事が分かった。
ゴキブリを通貨にする時に大切なのは、寿命で死んだり、殺したら価値がゼロになるという点で、そうなると人は大切に育てようとするのではないだろうか?

元々嫌いなモノでもそれが価値のある物だと分かれば、人は好きになる努力をするのではないか?

僕の母はゴキブリが嫌いなのだが、よく考えると何故ゴキブリの事をそんなに嫌うのか?という疑問が芽生えてきた。

ゴキブリはムカデみたいに噛んだり蚊みたいな血を吸われて痒くなったり、僕たち人間に危害を加えてなんかいないのに、ただ衛生的に不快感を抱いているだけだと思うのは僕だけなのかな?

それならゴキブリが母の好きなモノになればと良いとは思ってお金にしてみたらとは考えてみたけど、まだ何か引っかかる。

もしかしたら『ゴキブリ』という名前がそもそものネガティブなイメージを作っているのかもしれない。

それならゴキブリという呼び方をやめて、新しい名前に変えてやれば良いんじゃないか?

そう、ニックネームみたいに。確かニックネームで呼ばれるとイメージが変わる気がする。

さて、『ゴキブリ』をどんなニックネームにしようか?

『ゴキちゃん』
いや、単純過ぎる。これではゴキブリ感が残ってしまう。

『G』
これもイニシャルの頭文字ってだけで、ひねりが無い。

そうだ、思い出した。確か、母はいつもゴキブリが現れた時には決まって

「キャー!ゴキブリが出たー!」て叫んでいたな。

『ゴキブリが出たー』→『ゴキブリがデター』→ゴキブリのニックネームは『デター』

これだ!!『デター』なら、なんだか響きもカッコいいし、まったくゴキブリ感が無い!これなら名前からくるネガティブなイメージは無くなる筈だ。

そしてこの『デター』を使った通貨の事を『メデルマネー』と呼ぶことにしよう。

こうして、メデルはゴキブリのネガティブなイメージを一新するための斬新なアイデアとネーミングを考えてついたのだった。









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