しあわせの白いたぬき

マシュー

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愛の結晶

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そして それから ときがたち

そんなわたしも  とうとうおかあさんになりました

カンとのあいだにうまれたこどもは
わたしにとてもよくにた しろいけいろのおとこのこ

なまえは 『ポン』となづけました

とってもかわいくて しかたないのだけれど このさき ひとつだけ しんぱいなことがある

それは いつかポンも こどものころのわたしのように ほかのたぬきたちから なかまはずれにされないだろうか?

もしも そうなったら わたしがおかあさんにしたように わたしをせめたてるのだろうか?




わたしがそんなことをいっていると それをきいていたカンは わたしをやさしくだきしめながらいいました
「だいじょうぶだよ キミのおかあさんがしてくれたように こうやってポンをだきしめてあげればいいんだよ」

そうだ わたしは ははおやになったんだ

こんどはわたしが このこのミカタになってあげなくちゃ

わたしは すやすやとねむっているポンのねがおをみつめ やさしくだきしめた

あたたかくて やわらかくて あかちゃんのいいにおい

いまはこうして ポンがうまれて かぞくからしあわせをもらっている

だからわたしからも かぞくにしあわせをあたえられる

だからこのこにも そんなふうに だれかにしあわせをあたえられる

そんなそんざいになってもらいたいな



だれかにしあわせをあたえ 

だれかがしあわせになることが 

じぶんのしあわせになるのだから

まずはわたしが

『しあわせのしろいたぬき』

いつかそうよばれるような そんざいになりたいな


 
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