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第二十九話
讃岐ノ国と阿波ノ国
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「確執、ですか?」
「ああ、かつて阿波ノ国を縄張りに暮らしていた、ある狸の一族に白い狸が生まれた。
その白い狸の子供の両親はとても可愛がっていたが、一族の中で、『白い毛色など、我が一族ではない!』『呪われている!殺せ!』などと言い出すものが現れた。
そのせいで、両親は白い毛色の子供を守るためにその一族から逃げるように阿波ノ国を出て行った。」
「どうして!?いたいけな子供を!毛色が白いから何だってんだ!」
タマモは怒りをあらわにして言った。
しかし不動明王は、表情を変えずに話を続けた。
「親子は北へ北へと向かった。そしてようやく命からがら辿り着いたのが讃岐ノ国だった。
だが讃岐ノ国は、ある狐の一族の縄張りだった。
今度は狸だからということで、また親子は追われる身となり、また讃岐ノ国から逃げるように出て行った。」
「オレと同じ狐の一族にそんな過去があったのかぁ。狸の一族に申し訳ないことをしちまったなぁ。」
タマモは肩を撫で下ろし悲しい表情をして言った。
不動明王は、一貫して表情を変えずに話を続けた。
「そして狸の親子は、また子供を守るために、逃げるように、今度は西へ西へと向かった。
次に辿り着いたのが伊予ノ国だった。
そこでは伊予ノ国を縄張りとする狸の一族が暮らしていた。
親子はまた故郷の阿波ノ国のような同じ目にあうのではないかと怯えていた。
しかし、伊予ノ国で暮らす狸の一族たちは、親子を見るなり、これまでのそれとは違い、心良く迎え入れてくれた。
そして両親は白い毛色の子供をこの国で育てる事にした。」
「そうかー!良かったー!本当に良かった!その親子は今でも元気なんですかね!」
「あぁ、その白い毛色の子供は元気にしている。」
「でも毛色が違うだけで追い出すなんて酷すぎますよね!オレそういう差別みたいなの大っ嫌いです!」
「そうか、ならば尋ねよう。我輩が何故にこの話をしたのか分かるか?
これは讃岐ノ国の狐の一族の末裔であるタマモにしか出来ない仕事だ。」
「ええ、なんかピンときましたよ!」
「おお、やるではないか。ちゃんと頭を使って思考できるようになったか。」
「えへへっ!お陰様で!」
「では、言ってみよ。」
「それはつまり、その問題の讃岐ノ国の狐の一族と阿波ノ国の狸の一族に白い狸の存在を認めさせるってことじゃないですか?」
「まぁ、ほぼ正解だな。やるじゃないか!我輩が見込んだだけはある。」
「えへへっ!照れます!」
「実はな、この四国が危険に迫られているのだ。急を要している。」
「まだ伊予ノ国は良いのだが、讃岐ノ国と阿波ノ国がもうすでに危険な状態にあるのだ。」
「えっ?どう言うことですか?」
「詳しくはまだ言えんのだが、とにかく、『白い狸』がその危険を打ち払う存在だということだ。お前にはその子の力になって欲しいのだ。」
「分かりました!お不動さんの頼みですし、しかもそれで幸せになれるなら、オレなんでもやります!」
「ありがとうタマモ、とても頼もしいぞ。」
「えへへ~っ!だからそんなに褒められると嬉しくて照れますって!」
「喜んでいる暇は無いぞ。」
不動明王はパンッと一拍手、手を叩いた。
すると、パッと背景が変わった。
どこかの山奥のようだ。
「そうと決まったら、戦いに備えて我輩がお前に修行をつけてやる。」
「えっ?戦いに備えて修行って?そんな戦うことってあるんですか?」
「だから『備えて』と言っているだろう。備えあれば憂いなし!お前は我輩の言う事を聞いていれば良い。」
不動明王の表情が徐々に怖くなってきた。
「あわわわ、急にまた怖い顔面になってるし!お不動さんの情緒どうなってんだよ!」
「タマモ行くぞ‼︎」
不動明王は背中の炎を手に取り両手でおにぎりを作るような手つきで丸めている。
すると突然その丸めた炎の球をタマモ目掛けて思いっきり投げた。
「うわっっ‼︎‼︎」
タマモは、間一髪のところで避けた。
「急に何するんですか‼︎危なっかしいモノ投げて‼︎それっ!炎の球?!」
「だから修行だと言ったろう。この灼熱の炎の球からどれだけ避け続ける事が出来るかを見てやる。」
不動明王は不敵な笑みを浮かべた。
「絶対死ぬヤツじゃないですかコレ‼︎あんなの避け続けるなんて無理ですって‼︎」
不動明王はそんなことはお構いなしに、炎の球をビュンビュンと投げ続けた。
「あつっ‼︎」「うわっっ‼︎」「いよっと‼︎」「あわわわ‼︎」「あちっ!」「くそ~!いつまで続くんだよコレ~‼︎」
不動明王は炎の球をかれこれ500球は投げた。
タマモも少しずつ避け方のコツが掴めたようで、毛を焦がしながらも飛んだりしゃがんだりしながら、素早く体全体を使って避けられるようになった。
「うむ、避ける時の身のこなし、まずまずだな。これだけ避けられるようになれば問題ないだろう。」
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、地獄だ。もうムリ。これで、修行は終わりですか?」
「何を言っている。この炎球の行は小手調べ、まだまだ序盤だ。本番はこれからだ。」
「ひぇ~~~え‼︎‼︎これはまさに生き地獄だ~~‼︎‼︎」
「そういう事だ!よく気付いたな、やるじゃないか。」
不動明王はまた不敵な笑みを浮かべた。
その後タマモは、スパルタの不動明王のもと、【滝壺の行、茨の行、断崖絶壁の行】などのとてもとても厳しい修行を全て必死で乗り越えて、耐え切ったのだった。
そしてようやく修行を終えのだった。
「ああ、かつて阿波ノ国を縄張りに暮らしていた、ある狸の一族に白い狸が生まれた。
その白い狸の子供の両親はとても可愛がっていたが、一族の中で、『白い毛色など、我が一族ではない!』『呪われている!殺せ!』などと言い出すものが現れた。
そのせいで、両親は白い毛色の子供を守るためにその一族から逃げるように阿波ノ国を出て行った。」
「どうして!?いたいけな子供を!毛色が白いから何だってんだ!」
タマモは怒りをあらわにして言った。
しかし不動明王は、表情を変えずに話を続けた。
「親子は北へ北へと向かった。そしてようやく命からがら辿り着いたのが讃岐ノ国だった。
だが讃岐ノ国は、ある狐の一族の縄張りだった。
今度は狸だからということで、また親子は追われる身となり、また讃岐ノ国から逃げるように出て行った。」
「オレと同じ狐の一族にそんな過去があったのかぁ。狸の一族に申し訳ないことをしちまったなぁ。」
タマモは肩を撫で下ろし悲しい表情をして言った。
不動明王は、一貫して表情を変えずに話を続けた。
「そして狸の親子は、また子供を守るために、逃げるように、今度は西へ西へと向かった。
次に辿り着いたのが伊予ノ国だった。
そこでは伊予ノ国を縄張りとする狸の一族が暮らしていた。
親子はまた故郷の阿波ノ国のような同じ目にあうのではないかと怯えていた。
しかし、伊予ノ国で暮らす狸の一族たちは、親子を見るなり、これまでのそれとは違い、心良く迎え入れてくれた。
そして両親は白い毛色の子供をこの国で育てる事にした。」
「そうかー!良かったー!本当に良かった!その親子は今でも元気なんですかね!」
「あぁ、その白い毛色の子供は元気にしている。」
「でも毛色が違うだけで追い出すなんて酷すぎますよね!オレそういう差別みたいなの大っ嫌いです!」
「そうか、ならば尋ねよう。我輩が何故にこの話をしたのか分かるか?
これは讃岐ノ国の狐の一族の末裔であるタマモにしか出来ない仕事だ。」
「ええ、なんかピンときましたよ!」
「おお、やるではないか。ちゃんと頭を使って思考できるようになったか。」
「えへへっ!お陰様で!」
「では、言ってみよ。」
「それはつまり、その問題の讃岐ノ国の狐の一族と阿波ノ国の狸の一族に白い狸の存在を認めさせるってことじゃないですか?」
「まぁ、ほぼ正解だな。やるじゃないか!我輩が見込んだだけはある。」
「えへへっ!照れます!」
「実はな、この四国が危険に迫られているのだ。急を要している。」
「まだ伊予ノ国は良いのだが、讃岐ノ国と阿波ノ国がもうすでに危険な状態にあるのだ。」
「えっ?どう言うことですか?」
「詳しくはまだ言えんのだが、とにかく、『白い狸』がその危険を打ち払う存在だということだ。お前にはその子の力になって欲しいのだ。」
「分かりました!お不動さんの頼みですし、しかもそれで幸せになれるなら、オレなんでもやります!」
「ありがとうタマモ、とても頼もしいぞ。」
「えへへ~っ!だからそんなに褒められると嬉しくて照れますって!」
「喜んでいる暇は無いぞ。」
不動明王はパンッと一拍手、手を叩いた。
すると、パッと背景が変わった。
どこかの山奥のようだ。
「そうと決まったら、戦いに備えて我輩がお前に修行をつけてやる。」
「えっ?戦いに備えて修行って?そんな戦うことってあるんですか?」
「だから『備えて』と言っているだろう。備えあれば憂いなし!お前は我輩の言う事を聞いていれば良い。」
不動明王の表情が徐々に怖くなってきた。
「あわわわ、急にまた怖い顔面になってるし!お不動さんの情緒どうなってんだよ!」
「タマモ行くぞ‼︎」
不動明王は背中の炎を手に取り両手でおにぎりを作るような手つきで丸めている。
すると突然その丸めた炎の球をタマモ目掛けて思いっきり投げた。
「うわっっ‼︎‼︎」
タマモは、間一髪のところで避けた。
「急に何するんですか‼︎危なっかしいモノ投げて‼︎それっ!炎の球?!」
「だから修行だと言ったろう。この灼熱の炎の球からどれだけ避け続ける事が出来るかを見てやる。」
不動明王は不敵な笑みを浮かべた。
「絶対死ぬヤツじゃないですかコレ‼︎あんなの避け続けるなんて無理ですって‼︎」
不動明王はそんなことはお構いなしに、炎の球をビュンビュンと投げ続けた。
「あつっ‼︎」「うわっっ‼︎」「いよっと‼︎」「あわわわ‼︎」「あちっ!」「くそ~!いつまで続くんだよコレ~‼︎」
不動明王は炎の球をかれこれ500球は投げた。
タマモも少しずつ避け方のコツが掴めたようで、毛を焦がしながらも飛んだりしゃがんだりしながら、素早く体全体を使って避けられるようになった。
「うむ、避ける時の身のこなし、まずまずだな。これだけ避けられるようになれば問題ないだろう。」
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、地獄だ。もうムリ。これで、修行は終わりですか?」
「何を言っている。この炎球の行は小手調べ、まだまだ序盤だ。本番はこれからだ。」
「ひぇ~~~え‼︎‼︎これはまさに生き地獄だ~~‼︎‼︎」
「そういう事だ!よく気付いたな、やるじゃないか。」
不動明王はまた不敵な笑みを浮かべた。
その後タマモは、スパルタの不動明王のもと、【滝壺の行、茨の行、断崖絶壁の行】などのとてもとても厳しい修行を全て必死で乗り越えて、耐え切ったのだった。
そしてようやく修行を終えのだった。
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