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プロローグ 全てを変える夜

4 落とされた薬

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 長々とした話の中、シルファは行為以前まで着ていた下着とワンピースを急ぎながらも覚束無い手つきで着直す。服は脱いでから行為に縺こんだ為、行為の痕跡から無事であったのが幸いだ。流石にちょっと汚いかもしれないが見える汚れもないためこのまま着て帰れるはず。明日の朝になってアルディスの部屋から私が出てきたと騒ぎになっても彼が困るだけだろう。

「シルファ、お前は剣が強くともしがらみが多いのだな。俺は聞くまで知らなかったよ」
「そうよ。私は剣しか強味がないの……私にはそれだけなのよ」
「……そうか。では、シルファは絶縁後はどうするんだ」
「私は変わらず騎士団に騎士として務め続けたい。それだけ。もうなんの力も持たず、全てを諦めて、流されて、救われたいと夢見がちでいろなんて相手の理想を押し付けられる人生なんてイヤ」
 よろよろと立ち上がったシルファは扉に手をかける。瞬間、アルディスがシルファの前に立ち塞がった。ふわり、魔力の残滓が舞う。

 アルディスが触れたシルファの手にはカプセルが置かれた。

「……これは、避妊薬だ。飲んでおいてくれ。飲まずに後々困るのはお前だからな」
「あら、てっきりヤリ捨てられると思ってたけどくれるのね」

「うるさい。……悪かったな。お前は今日ここで寝ていろよ」
 後ろ手に閉められた扉が静かながらもキィーと音を立てて閉まる。
 ここは彼、アルディスの部屋だ。この深い帳落ちた夜は他の女の所にでも行くのだろう。達成感の裏で感じる寂しさは心にしまい込んだ。
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