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3-2 エリナがここにいる理由
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部屋に入るなり複雑な表情をしたペトラ様は私に向かって言葉をかけた。
「……エリナ様はここまでの道の何もかもを知らないのですよね。ごめんなさい。ご説明をしなければですよね。私からできる限りのお話をさせていただきますわ」
「え?」
「『え?』とは?何かございまして?」
「わ、私に説明していいんだって思って」
ここまでずっと戸惑っていたものの、それと同時に私のような立場の者には教えられない何かで動いているのだろうとも思っていた。だから教えてくれないのだと、話をしないのだと考えてもいたのだ。そして、それは彼女の驚きの表情に思い違いであったと気付かされる。
「お嬢様。当たり前ですよ。エリナ様からしたら凄い地位の人がわらわら出てきて、勝手に連れてこられて、自分のことは不自然な程に触れられないとなるとそう思ってしまいますよ」
「そ、そう。そう思われていたのね。ご、ごめんなさい。私達はラズ様の願いを果たせるようにとフレドリッヒ様に頼まれ手伝っている状態ですのよ。詳しくは私にも教えてくださいませんが私の知っていること位はお伝え出来ますわ。何を聞きたい……と言われても困りますわよね。私の視点から知っていることお話いたしますわ」
ペトラ様がそう言い切ったと思うとアリナさんは端にある棚からティーセットを取り出し、お茶の用意を始める。
用意された椅子に座り私と向き合う状態になった。まじまじと彼女を見ると美しさに戸惑ってしまう。私なんかと隣にいるなんて。
「まず、エリナ様に言わなければならないこととしてこの帰還に貴方様を連れていくことは彼らに課された魔王討伐後王城へ帰還するようにとの王命に含まれたものではなく第1王子フレドリッヒ様の命との名目でラズ様がなされていることですわ。ラズ様の持つ何らかの目的をフレドリッヒ様が了承、承諾し、領主かつ婚約者の私を使いエリナ様の護衛と皆様の護送を行っております」
「そうだったのですね。ラズが王子様を巻き込んで……」
そう口にしていると、目の前に香り高いの紅茶が置かれた。アリナさんに感謝を口にしながらダージリンティーを口に含む。あぁ、凄い。目が醒めるように美味しい。質も淹れる方も良いのだろう。本当に凄い。巻き込んだ王子様と相対している公爵令嬢、メイドさんという地位の違いにも戸惑いが重なっていく。現実逃避のように後で淹れ方を教えて貰おうと決めた。
「次に、貴方を頼まれた時『勇者の守姫を確実に守れ』と言われたの。貴方はただの市民では無く勇者の地位と関連して守らなくてはならない者であるらしいわ。好意だけで決めたことならフレドリッヒ様の命とするのを許さないでしょうからそれだけではないでしょう。この言葉には意味がありそうね……私が彼らから教えられているのはこれくらいだわ。私も情報は規制されているみたい。少なくてごめんなさいね」
「いいえ。教えていただけて何も知らなかった所でも少しだけ分かってきました。それに、私が勇者の守姫と呼ばれているのですか?不思議なこともあるのですね……」
こくりともう一口紅茶を飲み込む。そして私はぐるぐると情報に満たされる中、結論を出す。
「よく分からない部分が多いですけどラズが決めたことなら大丈夫だと思います。ラズなら意味の無いことをさせたりさせないはずですから」
パチパチとまつ毛に形取られたブルーの瞳が瞬く。
「……そう、ですのね。あの、私、フレドリッヒ様達とは関係なくエリナ様とお友達になりたいのです。男性たちが情報を喋らないのは貴方様に聞かせたくない情報を聞かせて帰られては困るからでしょう。でも私は違うのです。ただ、お話をするというのが難しくて……」
彼女の肩が震えているのが見えた。柔らかい表情をしたアリナさんがクッキーを目の前に置いていく。
「私をお友達にですか?」
「私とエリナ様に身分の違いがあるのも、私という者がよく分からないと警戒されるはずなのも分かっていますわ。でも、互いに恋する者同士お話がしたいの。も、もちろんっ、貴方様がお嫌なら諦めますし、このまま寝てしまいますわ」
「いえ!そのようなことはないです!お話から始めましょう!」
必死な様子に押され、答えた回答にぱあっと花が開くように変わった明るい表情に眩しさを感じた。転生前に見た女優さんのように美しい顔で見せる素直な表情は微笑ましいとも思えるような気持ちだ。
彼女はウキウキと私の手を取って、アリナさんとアイコンタクトをする。盛り上がった、緊張した気持ちを隠せないように上擦った声を上げる。
「で、ではエリナ様はいつからラズ様とご一緒なのですか?」
「……エリナ様はここまでの道の何もかもを知らないのですよね。ごめんなさい。ご説明をしなければですよね。私からできる限りのお話をさせていただきますわ」
「え?」
「『え?』とは?何かございまして?」
「わ、私に説明していいんだって思って」
ここまでずっと戸惑っていたものの、それと同時に私のような立場の者には教えられない何かで動いているのだろうとも思っていた。だから教えてくれないのだと、話をしないのだと考えてもいたのだ。そして、それは彼女の驚きの表情に思い違いであったと気付かされる。
「お嬢様。当たり前ですよ。エリナ様からしたら凄い地位の人がわらわら出てきて、勝手に連れてこられて、自分のことは不自然な程に触れられないとなるとそう思ってしまいますよ」
「そ、そう。そう思われていたのね。ご、ごめんなさい。私達はラズ様の願いを果たせるようにとフレドリッヒ様に頼まれ手伝っている状態ですのよ。詳しくは私にも教えてくださいませんが私の知っていること位はお伝え出来ますわ。何を聞きたい……と言われても困りますわよね。私の視点から知っていることお話いたしますわ」
ペトラ様がそう言い切ったと思うとアリナさんは端にある棚からティーセットを取り出し、お茶の用意を始める。
用意された椅子に座り私と向き合う状態になった。まじまじと彼女を見ると美しさに戸惑ってしまう。私なんかと隣にいるなんて。
「まず、エリナ様に言わなければならないこととしてこの帰還に貴方様を連れていくことは彼らに課された魔王討伐後王城へ帰還するようにとの王命に含まれたものではなく第1王子フレドリッヒ様の命との名目でラズ様がなされていることですわ。ラズ様の持つ何らかの目的をフレドリッヒ様が了承、承諾し、領主かつ婚約者の私を使いエリナ様の護衛と皆様の護送を行っております」
「そうだったのですね。ラズが王子様を巻き込んで……」
そう口にしていると、目の前に香り高いの紅茶が置かれた。アリナさんに感謝を口にしながらダージリンティーを口に含む。あぁ、凄い。目が醒めるように美味しい。質も淹れる方も良いのだろう。本当に凄い。巻き込んだ王子様と相対している公爵令嬢、メイドさんという地位の違いにも戸惑いが重なっていく。現実逃避のように後で淹れ方を教えて貰おうと決めた。
「次に、貴方を頼まれた時『勇者の守姫を確実に守れ』と言われたの。貴方はただの市民では無く勇者の地位と関連して守らなくてはならない者であるらしいわ。好意だけで決めたことならフレドリッヒ様の命とするのを許さないでしょうからそれだけではないでしょう。この言葉には意味がありそうね……私が彼らから教えられているのはこれくらいだわ。私も情報は規制されているみたい。少なくてごめんなさいね」
「いいえ。教えていただけて何も知らなかった所でも少しだけ分かってきました。それに、私が勇者の守姫と呼ばれているのですか?不思議なこともあるのですね……」
こくりともう一口紅茶を飲み込む。そして私はぐるぐると情報に満たされる中、結論を出す。
「よく分からない部分が多いですけどラズが決めたことなら大丈夫だと思います。ラズなら意味の無いことをさせたりさせないはずですから」
パチパチとまつ毛に形取られたブルーの瞳が瞬く。
「……そう、ですのね。あの、私、フレドリッヒ様達とは関係なくエリナ様とお友達になりたいのです。男性たちが情報を喋らないのは貴方様に聞かせたくない情報を聞かせて帰られては困るからでしょう。でも私は違うのです。ただ、お話をするというのが難しくて……」
彼女の肩が震えているのが見えた。柔らかい表情をしたアリナさんがクッキーを目の前に置いていく。
「私をお友達にですか?」
「私とエリナ様に身分の違いがあるのも、私という者がよく分からないと警戒されるはずなのも分かっていますわ。でも、互いに恋する者同士お話がしたいの。も、もちろんっ、貴方様がお嫌なら諦めますし、このまま寝てしまいますわ」
「いえ!そのようなことはないです!お話から始めましょう!」
必死な様子に押され、答えた回答にぱあっと花が開くように変わった明るい表情に眩しさを感じた。転生前に見た女優さんのように美しい顔で見せる素直な表情は微笑ましいとも思えるような気持ちだ。
彼女はウキウキと私の手を取って、アリナさんとアイコンタクトをする。盛り上がった、緊張した気持ちを隠せないように上擦った声を上げる。
「で、ではエリナ様はいつからラズ様とご一緒なのですか?」
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