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4 危険と守り
しおりを挟む夜の帳が落ちて、お客さんがぞろぞろと現れてくる。
騒がしく馨しい店内は僕の仕事を必要としていた。そんな中、忙しなく騒ぐ僕は後ろからの悪意に気づかない。
「はい、シーザーサラダと生ハムと、エール2杯です」
「あ、はーい。ありがとうございまーす」
「ごゆっくりどうぞ」
「あ、店員さん!俺らにもエール追加で」
「はーい!」
小走りで走りながら1つ、2つと注文を取って、置いて、伝えて。ぐるぐると動き続けて、止まらなくて。
目の前から迫る男に気づかなかった。
「なぁ、お前」
「え、あ、ひっ」
注文後、腕を引っ張られ転げた先には首筋に触れる刀。
息が詰まる。
周囲からは驚きと悲鳴の音が上がった。
「お前のせいだ!お前の!お前があの時!マルクが!」
いきなりの怒号にキーンと耳鳴りが聞こえてくる。この声、多分あの告白前に時マルクさんから怒られていたガイという男だ。そう気づくのは一瞬。次には与えられる刺激に目をつぶる。
「うぐっ」
「そんなに可愛い顔してりゃぁなぁ、人生に苦労なんてないんだろうさ!俺は!」
「っう……」
お腹を打つ拳が鈍く音を立てる。苦しくて、痛くて、動けなくて。願うように我慢するように目をつぶった。マルクさん、助けて。
瞬間、胸元の石が光る。
響く鋭い金物の音。
「遅くなってすまない!大丈夫か?」
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