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中学生編
15.【Side】玲弥 玲弥の危惧2 後半【Side】侑利
しおりを挟む「に、兄ちゃん。でも、そんなこと言ったって…」
兄ちゃんは簡単に「大丈夫」だって言うけど、俺にはそうは思えなくて俯く。ずっと一緒、だなんて、俺の願いなんて、到底叶いっこない。颯もだけど、きっとこれからもっとすげーやつらが璃空を好きになる。そんな中で、俺が、だなんて高望みに思える。
兄ちゃんはいつだってそうだ。俺には無理だって思うことを簡単に「大丈夫」なんて言ってやってのける。一度無理だと思うと弱気になってしまうのは、俺の悪い癖だ。璃空には見せないようにしているし、兄ちゃんにいつも注意されるけど、直すのは難しい。
「おや?その程度だったんですか?」
「え?」
「お前の、璃空さんを思う気持ちは、その程度だったんですか?」
ニヤリと口角を上げた兄ちゃんのその言葉にハッとなる。そして、次の瞬間、勢いよく立ち上がった。
「違う!!おれは、俺は!…」
勢いに任せて叫んだ言葉だったが、そこで一旦口篭ってしまった。でも、言葉を繋げた。
「俺は、りあを思う気持ちは本気だよ。本気で、好きなんだ…。この気持ちが恋じゃないなら!!りあを思うだけで、キュッて心臓が高鳴るこれが恋じゃないなら、何なんだよ…」
あの時、初めて会った時、
『よろしくね!れいやくん!』
そう、花が咲くように微笑った璃空を見た時、おれは心臓を掴まれたような気持ちになって、ああ好きだなって思ったんだ。そして、璃空のことを知っていく度に、『好き』の気持ちは積もっていった。これは、誰のものでもなくて、俺だけの気持ち。
半ば叫ぶような俺の答えに、目を見張り、そして、一瞬の後、微笑んだ兄ちゃん。その兄ちゃんの微笑みはとても優しかった。直ぐにその表情は隠されてしまったけど。
兄ちゃんは、たぶん、りあのことが好きなんだと思う。
俺は兄弟だから。たった一人の血の繋がった兄だから、兄ちゃんのことは色々分かってしまう部分もある。というか、同じ女の子に惚れてるのくらい、見てれば分かる。それが、血の繋がった兄なら尚更。
年が離れているとか、色々、まあ、俺のこととか璃空のこととか、考えて、考えて、それで、気持ちを抑えつけてんのかなって思うけど。でも、好きって気持ち抑えつけてんのって、辛いだけだ。
俺は、ーー
「兄ちゃん。俺、りあが俺から離れていくの、不安だった。…俺は兄ちゃんみたいにはなれないって分かってる。いくら大丈夫って思っても、やっぱり不安は不安だと思うんだ。だから、不安はそのままで、俺は俺のままで、これからもりあのそばにいる。りあが俺に振り向いてくれるように努力する」
ーー兄ちゃんのことも好きだからさ、気持ちを抑えつける、なんて辛いことして欲しくないんだ。
あと、俺のため、なんてそんな気持ちで譲って欲しくない。そんなことされても嬉しくともなんともない。だったら正々堂々、ライバルとして戦って欲しい。
「いくら兄ちゃんでも、りあは渡さないからな!」
俺は、兄ちゃんには適わないって、今でもそう思ってる。たぶん、ずっとそう思うと思う。
でも、璃空を思う気持ちは兄ちゃんにも負けてないって、そう思うよ。
俺の言った言葉に対してか表情に対してか、目を丸くして珍しく驚いた表情を見せた兄ちゃんを後目に、俺は兄ちゃんの部屋を出ていった。
◇◆◇◆◇
side侑利
弟がバタバタと部屋を出ていったのを目だけで見送る。
「『焚きつけるような真似はしたくない』ん、でしたけどね」
俺の「大丈夫」に対して不安気に俯いた弟を見て、焚きつけるような真似をした自分に思わず笑ってしまった。自分はバカかと。弟の好きな人は、俺が好きになってしまった人。敵に塩を送るなど、バカのすること。そう思って、いたんだが、な。
机の上に置いた、写真立てに入れられた俺と玲弥と颯真と璃空の写った写真をチラリと見る。
玲弥が俯いた時、
『侑利さんは、本当にいいお兄ちゃんですよね』
そう言って、『私も侑利さんみたいなお兄ちゃんが欲しかったなあ』なんて無邪気に笑う彼女を思い出してしまって…。
「本当、重症だな…」
見ていた写真立てを手に取り、笑顔で写っている彼女をなぞる。
『いくら兄ちゃんでも、りあは渡さないからな!』
部屋を出ていった弟の最後の言葉が脳裏に蘇った。
「『りあは渡さない』、ね」
するりと彼女の隣に写っている弟を撫でた。
抑えつけていた『それ』。
日を重ねる毎に重みを増していくそれは、彼女、そして弟のためにもならないものだと、心の奥底で蓋をして置いていた。
「まさか、お前に焚きつけられるとは思いませんでしたよ」
確かな重さを持った、『恋心』。
「玲弥。お前が俺を焚きつけたんです。後悔しないでくださいね」
目を覚ましたのは、龍か虎か。
鬼が出るか蛇が出るか、それは、今は誰にも分からない。
──────
遅くなりましたー!作者です!
おっかしいなぁ~!!!
侑利くん?お前、何で????(困惑した作者)
侑利くんも玲弥くんも好き勝手動きやがる…。
侑利くんが璃空に対して本気になるのもっとずっと先の話だったよね…????え、何で?(2度目の困惑)
さて、気分を変えるために!
ここだけ裏話!!ぱちぱち~!!
侑利くんは玲弥くんの五つ年上の高校三年生。とっても頭が良くて優秀で、玲弥くんは侑利くんのことをとっても尊敬しているよ!!
ちなみに侑利くんの名前の由来は、侑が人が有ると書くので、人の輪に(和)にいる人、字の形からそんな意味を取りました。そして、利は人の役に立つ、みたいな意味がある字なので、人の輪(和)にいて、人の役に立つ、つまり、誰かのために頑張れる、そんな意味でつけました。
ただし!!予定を変更してお送りした今回のside侑利で分かるように侑利くんは少し意地悪で少し性格が悪いです。まあ、そんな侑利くんの活躍はまた話の中で…。
そして、ここだけ、キャラたちの兄弟構成(小学生編までに出てきたキャラ(番外編含む))
【本編】
颯真→一人っ子。
璃空→弟一人。
玲弥→兄一人。
御園愛奈(ヒロインちゃん)→???
【番外編】に登場
転生モブちゃん→兄と妹が一人ずつ。
高橋慎→弟二人。
瑠花ちゃん→姉一人。
心雪ちゃん→一人っ子。
変更が入るかもしれないけど、だいたいこんな感じのイメージで書いてる。
さーて、次回の「推しの幼なじみになったら、いつの間にか巻き込まれていた」は~??
りあです。最近推し以外と絡むことが多くて困惑しているりあです。
オリエンテーションに、テンション高く臨んで行こうとした矢先!まさかまさかの天春兄に三人目の攻略対象者に遭遇してもう大変!しかも、同じ班だって??
もう波乱が目に見えてて思わず遠い目をしてしまうよ~!!
次回!「幼なじみ、喧嘩を売る」、「私のために争わないで!って言った方がいい?」「急募、ツッコミ」の三本でお送りします!!
次回もみんな見ていってね!
ばいばーい!
ふぅ。
次回予告はただやりたかっただけで、内容は変更してお送りすることもありますので、ご注意ください。
てか、タイトル長くない?略称欲しいね???
何か良い略称考えよう。
候補的には、「おしおさ」?「おしまき」?「おしいつ」?
うーむ。なにかいい案がある方は、感想欄などで教えてください!見に行きます。
では、次回もよろしくお願いします!!!
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けれど、久し振りに読みたくなり戻ってきたらまさかの更新されていてほんとに嬉しいです!
私のドストライクの作品尚且つ気になる所での更新停止だったので続きとっても嬉しいです〜!
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この小説気に入ってます!!!
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忙しいとは思いますが、更新楽しみに待ってますね。