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中学生編
14.【Side】玲弥 玲弥の危惧
しおりを挟む今日はオリエンテーション。俺は、颯と璃空が同じ班だし、それなりに楽しみにしていたわけだ。まあ、他の学年との合同の班だし、班のメンバーによっては、少し面倒かもしれないとは思っていた。主に颯との相性とか、璃空についてとかで。そんな俺(や颯)の気持ちを知らずに、「楽しみだね」と心から笑う璃空に、まあ、璃空が楽しそうだしいいかと思っていた。
そう、思っていたんだが…。
先輩たちと話して笑っている璃空を見つめていると、なんだかモヤモヤする。
璃空が楽しそうにしているのは、まあ、いいけど、でも、何でそんなに仲良さそうにしているんだ。いつの間にそんなに親しげに話す男が増えているんだ。
俺の嫌な予感が当たってしまったと思った。
思い返すのは、中学に入学してすぐ、璃空のことがあって颯と話した後のことだ。ある人に相談した時のことだった。
俺はある部屋の扉の前にいた。
「兄ちゃん、今いい?」
「おや…玲弥?どうしたんだい?」
その扉をコンコンコンと3回ノックして声をかけると、すぐに扉が開いた。そう、俺が相談したのは、俺の兄ちゃんーー日向侑利だった。
すぐに招き入れてくれた兄ちゃんは勉強机の椅子に座り、俺は兄ちゃんのベッドに座って、俺は口を開いた。
「兄ちゃん。俺、どうしたらいいのかな」
「?何のことかな??」
「りあの話だよ」
その一言に、ああと納得したように兄ちゃんは、一つ頷いた。
「璃空さんか…。彼女はとても素敵なお嬢さんだよね」
璃空が家に来る度によく二人で楽しそうに話している兄ちゃんが、口元を綻ばせながら璃空についてそう評する。
「…玲弥には何か心配なことでもあるのかな?」
頭が良くて運動神経も良くて、俺が勉強では絶対に敵わない俺の大好きな兄ちゃん。心の中まで見透かされそうな澄んだ色のヘーゼルが、目を細めて俺を見る。
「俺はいつかりあの隣に居られなくなるんじゃないかって…そう、思うんだ」
やっぱり俺は兄ちゃんには敵わない。そう思って本音を漏らす。
璃空は俺の尊敬する兄ちゃんが素敵だと思うほどの女の子だ。不安にならないはずがない。心配にならないはずがない。だって、璃空は誰彼構わず惹き付ける。眩しい、けれど心地よい居場所を作ってくれる、そんな陽だまりのような女の子。俺の、初恋の女の子。他の男達が惹かれてしまうのも、理解できてしまう。だからこそ、俺はこれからも璃空の隣にいれるのかって不安に思ってしまう。
だって、そうだろう?
あの時、たまたま颯の隣の席になって、話しかけてくれて、それがきっかけで、俺も璃空の隣にいれるようになった。でも、それだって、颯の隣の席にならなかったら?なんて、「もしも」を考えて、ただ、運が良かったってだけだと思うから。
璃空は、俺のことを、明るくて、快活で、人当たりがよくて、コミュニケーション能力が高くて、ポジティブな男の子だって思っていると思う。でも、本当の俺は、そんな「もしも」を考えて君の隣に居られないことをどうしようもなく怖いと思う、君の隣に居られなくなることを不安に思う、意気地無しでネガティブで璃空のことをどうしようもなく好きな一人の男だった。
「確かに、いつか璃空さんは玲弥の隣から離れていってしまうかもしれないね」
そんな俺の思考を割くように、兄ちゃんが容赦なく無慈悲に告げる。俺は思わず息を呑んだ。でも、兄ちゃんは静かに微笑んでいた。
「玲弥。お前は少し考えすぎだ。もっと肩の力を抜いて、フラットに考えてみなさい」
「ふらっと?」
「お前はどうしたいんだい?玲弥」
その質問には迷わず素直に答えることが出来た。ずっとそれだけは変わらないから。
「おれ、俺は、璃空と一緒にいたい。出来ればずっと」
その言葉を聞いて、兄ちゃんは微笑んだ。
「それでいいんだ。その気持ちを持っていれば、大丈夫でしょう」
「??兄ちゃん?」
玲弥には兄の言っている意味が分からなかった。相談しに来たのに、迷宮入りした気分だった。だから、小さく呟いた兄の言葉を聴き逃していた。
「あまり焚き付けるような真似をしたくないのでね」
────────
久しぶりです。
はい、ようやく、満を持して玲弥くんの兄が登場です。いずれ璃空視点の本編にも絡んでくるキャラです。ずっといつ出そうか悩みながら、ここじゃないよなあ、でも高校生編で初出はなあ…。と思いながら満を持して玲弥視点しかも回想ですけど出てきました。え、玲弥兄弟いたの!?な感じかもですが、玲弥を出した時からずっと温めてきていたお兄ちゃんです。だって玲弥のキャラ的に弟キャラでしょ、と思いながら、なかなかお兄ちゃん(侑利くん)を出せず…。
コソコソ裏話~!!ぱちぱち~!!
実を言うと、侑利くんと璃空ちゃん仲良しです。普段は仲良くおしゃべりって感じだけど、たまーに、侑利くんに色気を出されて、ひぇってなってるのが璃空ちゃんで、でも、色々振り回す側は璃空ちゃんって感じの仲の良さです。侑利くんが色気を出してひぇってさせるのは大体仕返しの時。
初めて会った時の侑利くん視点の番外編とか書いてみたいですね。まあ、そんな侑利くんですが、倖誠とはまた違ったお兄ちゃんらしいキャラにしていきたいですね。ちなみに、侑利の方が倖誠よりもSっ気があって余裕があって、それでいて参謀とか軍師タイプだと思いながら書いています。倖誠が爽やか系お兄ちゃんタイプなら侑利はクール系魔性お兄さん(魔性よりもお兄さん要素多め)。
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