推しの幼なじみになったら、いつの間にか巻き込まれていた

凪ルナ

文字の大きさ
上 下
11 / 19
番外編(幼稚園・小学生編)

たとえばこんな転生モブがいる4

しおりを挟む

 修学旅行まで残り少し。私たちのクラスは、修学旅行の話題で盛り上がって少し浮き足立っていた。

 「ふふ。楽しみだねぇ、瑠花ちゃん、心雪ちゃん」

 そう言って楽しそうに笑ったりあちゃん。美少女がわくわくしてる。やだ、かわいい。瑠花ちゃんも心雪ちゃんも内心では悶えているのが分かる。分かるよ、二人とも。りあちゃん天使だし、超可愛いもんね。わかる。2人は見守る会には入ってないけど、ファンクラブ(天使会)幹部だしなあ。そうそう、二人が見守る会に入っていないのは、単純に推しと日向くんがりあちゃんにベッタリなのが気に入らないからだと言っていた。私達だってりあちゃんともっと一緒にいたいのに、と心雪ちゃん談だ。

 今日、私たちのクラスでは修学旅行のしおりが配られ、今か今かとワクワクが止まらない、といった雰囲気が流れている。来週、修学旅行で、みんな浮かれているのだろう。まあ、私もだが。そんな中でもりあちゃんは可愛い。もう既に私の推し枠に入っているりあちゃんの寝顔や寝起きの顔、さらには風呂上がりを見れるとか、は?修学旅行って神だった?

 「ねえ、慎。修学旅行って素晴らしい行事だね」

 「急にどうした」

 「いや、推しと一緒に一つ屋根の下で過ごせる素晴らしさを噛み締めていたの」

 「お前なあ…」

 「頼むからそんな引いた目で見ないで」

 「いや、だってお前…」

 そろそろマジでやめとけ?マジでやばいぞ?そう言いながら、ため息をついた慎は、頭痛が痛い、みたいな顔をした。

 「え、だって、一つ屋根の下、推しカプに何か進展があるかもじゃん?だって、七海璃空(風呂上がりのすがた)が見れちゃうんだよ?普通、張り切るよね?」

 「だから、その、『当たり前だよね?』って目で見てくるのやめろ。で?俺に何させたいわけ?」

 その言葉に、待ってました、とニヤリと口角を上げて慎を見る。慎は、あ、俺、早まったかも、と口元をひくつかせた。そんな慎の様子は、モブは気にしない。

 「慎、日向くんと夏目くんと班同じでしょ?彼らと璃空ちゃんの写真撮ってきてよ」

 きっと素晴らしいものが撮れるんだろうな、風呂上がりの璃空ちゃんに照れる推し(夏目くん)、肩を寄せ合い一つのパンフレットを見る三人、ああ、叶うならその場にいたい!ただし、私は推したちとは別の班なので、見れない場面もあるのだ。しかし、そんな私の代わりに同じ班になった腐れ縁がいる。ここで写真を頼まずにどうする?というか、その写真楽しみすぎるな?尊すぎるよな?と思う私とは反対に、予想が当たったと苦い顔をする慎。

 「えぇー、なんで俺が…」

 そんなことしたら、俺が夏目や日向に何言われるか。あいつらの過保護さ知らねぇのかよ。いや、知っていて言ってんのか、お前、天使会見守る会会員筆頭だもんな、と自分で答えに行き着いた慎はため息を吐いた。

 「ふっふっふ。これも彼らと同じ班になった自分を恨むんだね」

 腰に手をやってそんな笑い声を漏らす私に慎は若干引き気味だが、別に慎にどう思われようとモブの私には関係ないので。そう、写真が手に入るのなら慎に引かれるのなんてそんなものは怖くないのだ。

 「いや、夏目達は普通に友達だし」

 そう言える時点で、お前モブの中でも友人Aとかで役割ありそうなんだよな、本当に。と頭にそんな考えが浮かぶが、まあ、今はそれよりも写真だ。

 「慎、私は彼らのスチルが欲しいんだ」

 分かるね?なんて圧のある笑顔を浮かべている彼女に逆らうことは慎には出来なかった。断ろうとすれば、過去の恥ずかしいあれやこれやとバラすぞ、と脅されるに決まっているので。しっかりと上下関係が叩き込まれている二人であった。

 「はあ、分かったよ…。てか、スチルって…」

 彼らの美麗な写真はそう呼んでもおかしくないと思うんだ、私。と、え、普通じゃね?と言いたげな表情の彼女に、慎は、え、俺がおかしいか?と思ってしまう。

 「??見守る会や天使会のみんな、写真(璃空の写ったもの)をそう呼んでるよ?」

 「は、マジ?」

 「?まじだよ」

 その返答に、マジでうちの学校ヤバいかも、と頭を抱える慎。安心しろ、ずっと前からお前の学校はヤバい。

 「あ、ちなみに慎の撮った写真は、見守る会及び天使会に提供されて共有されるからね」

 ニコニコと笑いながら落とされたその言葉に、慎は微妙そうな顔をする。責任重大だよ、慎!と肩を叩かれながら声をかけられた慎は、見守る会や天使会のガチさに、手遅れな奴ら多すぎかよ、思わずそう言葉を零して酸っぱい顔をした。




 顔が良い×顔が良いの組み合わせって、最高なんだよな、とは、血走った目で夏目と七海を見る俺の幼馴染の言葉である。




──────
転生モブちゃんは久しぶりですね。作者です。

はい、慎くん、相当な苦労人です。
モブちゃんに振り回されまくってます。でも、なんだかんだ文句言いながら、モブちゃんの頼みを聞いてあげるあたり、慎くんはかなりいい男です。
二人の掛け合いは書いてて本当に楽しい。楽しいけど、全く話が進まないのは、なぜ?
ちなみに、修学旅行編、書く気はあるし、個人的に好きなネタもあるけど、筆は進まないし、話も進まず。地獄か?

やってみたかった次回予告。(主に書きたいところ。)

モブ「ヒロインちゃんと遭遇してる、だと…!?」
慎「ヒロインちゃんって何」
モブ「写真に写ってるってことは、お前もヒロインちゃんに会ったのか、会ったんだな!?どう思った!!???」
慎「マジで夏目達って七海以外に興味無いんだなって」
モブ「kwsk(ゲンドウポーズ)」

※なお、内容は変更してお届けする場合もあります。また、この次回予告は次回を更新したら消します。

そして、おそらく次の更新は本編。






しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

【完結】貴方の後悔など、聞きたくありません。

なか
恋愛
学園に特待生として入学したリディアであったが、平民である彼女は貴族家の者には目障りだった。 追い出すようなイジメを受けていた彼女を救ってくれたのはグレアルフという伯爵家の青年。 優しく、明るいグレアルフは屈託のない笑顔でリディアと接する。 誰にも明かさずに会う内に恋仲となった二人であったが、 リディアは知ってしまう、グレアルフの本性を……。 全てを知り、死を考えた彼女であったが、 とある出会いにより自分の価値を知った時、再び立ち上がる事を選択する。 後悔の言葉など全て無視する決意と共に、生きていく。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。

鶯埜 餡
恋愛
 ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。  しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

【完結】離縁など、とんでもない?じゃあこれ食べてみて。

BBやっこ
恋愛
サリー・シュチュワートは良縁にめぐまれ、結婚した。婚家でも温かく迎えられ、幸せな生活を送ると思えたが。 何のこれ?「旦那様からの指示です」「奥様からこのメニューをこなすように、と。」「大旦那様が苦言を」 何なの?文句が多すぎる!けど慣れ様としたのよ…。でも。

悪役令嬢に転生したので、人生楽しみます。

下菊みこと
恋愛
病弱だった主人公が健康な悪役令嬢に転生したお話。 小説家になろう様でも投稿しています。

転生したら乙女ゲームの主人公の友達になったんですが、なぜか私がモテてるんですが?

rita
恋愛
田舎に住むごく普通のアラサー社畜の私は車で帰宅中に、 飛び出してきた猫かたぬきを避けようとしてトラックにぶつかりお陀仏したらしく、 気付くと、最近ハマっていた乙女ゲームの世界の『主人公の友達』に転生していたんだけど、 まぁ、友達でも二次元女子高生になれたし、 推しキャラやイケメンキャラやイケオジも見れるし!楽しく過ごそう!と、 思ってたらなぜか主人公を押し退け、 攻略対象キャラからモテまくる事態に・・・・ ちょ、え、これどうしたらいいの!!!嬉しいけど!!!

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

【完結】私はいてもいなくても同じなのですね ~三人姉妹の中でハズレの私~

紺青
恋愛
マルティナはスコールズ伯爵家の三姉妹の中でハズレの存在だ。才媛で美人な姉と愛嬌があり可愛い妹に挟まれた地味で不器用な次女として、家族の世話やフォローに振り回される生活を送っている。そんな自分を諦めて受け入れているマルティナの前に、マルティナの思い込みや常識を覆す存在が現れて―――家族にめぐまれなかったマルティナが、強引だけど優しいブラッドリーと出会って、少しずつ成長し、別離を経て、再生していく物語。 ※三章まで上げて落とされる鬱展開続きます。 ※因果応報はありますが、痛快爽快なざまぁはありません。 ※なろうにも掲載しています。

処理中です...