推しの幼なじみになったら、いつの間にか巻き込まれていた

凪ルナ

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番外編(幼稚園・小学生編)

たとえばこんな転生モブがいる4

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 修学旅行まで残り少し。私たちのクラスは、修学旅行の話題で盛り上がって少し浮き足立っていた。

 「ふふ。楽しみだねぇ、瑠花ちゃん、心雪ちゃん」

 そう言って楽しそうに笑ったりあちゃん。美少女がわくわくしてる。やだ、かわいい。瑠花ちゃんも心雪ちゃんも内心では悶えているのが分かる。分かるよ、二人とも。りあちゃん天使だし、超可愛いもんね。わかる。2人は見守る会には入ってないけど、ファンクラブ(天使会)幹部だしなあ。そうそう、二人が見守る会に入っていないのは、単純に推しと日向くんがりあちゃんにベッタリなのが気に入らないからだと言っていた。私達だってりあちゃんともっと一緒にいたいのに、と心雪ちゃん談だ。

 今日、私たちのクラスでは修学旅行のしおりが配られ、今か今かとワクワクが止まらない、といった雰囲気が流れている。来週、修学旅行で、みんな浮かれているのだろう。まあ、私もだが。そんな中でもりあちゃんは可愛い。もう既に私の推し枠に入っているりあちゃんの寝顔や寝起きの顔、さらには風呂上がりを見れるとか、は?修学旅行って神だった?

 「ねえ、慎。修学旅行って素晴らしい行事だね」

 「急にどうした」

 「いや、推しと一緒に一つ屋根の下で過ごせる素晴らしさを噛み締めていたの」

 「お前なあ…」

 「頼むからそんな引いた目で見ないで」

 「いや、だってお前…」

 そろそろマジでやめとけ?マジでやばいぞ?そう言いながら、ため息をついた慎は、頭痛が痛い、みたいな顔をした。

 「え、だって、一つ屋根の下、推しカプに何か進展があるかもじゃん?だって、七海璃空(風呂上がりのすがた)が見れちゃうんだよ?普通、張り切るよね?」

 「だから、その、『当たり前だよね?』って目で見てくるのやめろ。で?俺に何させたいわけ?」

 その言葉に、待ってました、とニヤリと口角を上げて慎を見る。慎は、あ、俺、早まったかも、と口元をひくつかせた。そんな慎の様子は、モブは気にしない。

 「慎、日向くんと夏目くんと班同じでしょ?彼らと璃空ちゃんの写真撮ってきてよ」

 きっと素晴らしいものが撮れるんだろうな、風呂上がりの璃空ちゃんに照れる推し(夏目くん)、肩を寄せ合い一つのパンフレットを見る三人、ああ、叶うならその場にいたい!ただし、私は推したちとは別の班なので、見れない場面もあるのだ。しかし、そんな私の代わりに同じ班になった腐れ縁がいる。ここで写真を頼まずにどうする?というか、その写真楽しみすぎるな?尊すぎるよな?と思う私とは反対に、予想が当たったと苦い顔をする慎。

 「えぇー、なんで俺が…」

 そんなことしたら、俺が夏目や日向に何言われるか。あいつらの過保護さ知らねぇのかよ。いや、知っていて言ってんのか、お前、天使会見守る会会員筆頭だもんな、と自分で答えに行き着いた慎はため息を吐いた。

 「ふっふっふ。これも彼らと同じ班になった自分を恨むんだね」

 腰に手をやってそんな笑い声を漏らす私に慎は若干引き気味だが、別に慎にどう思われようとモブの私には関係ないので。そう、写真が手に入るのなら慎に引かれるのなんてそんなものは怖くないのだ。

 「いや、夏目達は普通に友達だし」

 そう言える時点で、お前モブの中でも友人Aとかで役割ありそうなんだよな、本当に。と頭にそんな考えが浮かぶが、まあ、今はそれよりも写真だ。

 「慎、私は彼らのスチルが欲しいんだ」

 分かるね?なんて圧のある笑顔を浮かべている彼女に逆らうことは慎には出来なかった。断ろうとすれば、過去の恥ずかしいあれやこれやとバラすぞ、と脅されるに決まっているので。しっかりと上下関係が叩き込まれている二人であった。

 「はあ、分かったよ…。てか、スチルって…」

 彼らの美麗な写真はそう呼んでもおかしくないと思うんだ、私。と、え、普通じゃね?と言いたげな表情の彼女に、慎は、え、俺がおかしいか?と思ってしまう。

 「??見守る会や天使会のみんな、写真(璃空の写ったもの)をそう呼んでるよ?」

 「は、マジ?」

 「?まじだよ」

 その返答に、マジでうちの学校ヤバいかも、と頭を抱える慎。安心しろ、ずっと前からお前の学校はヤバい。

 「あ、ちなみに慎の撮った写真は、見守る会及び天使会に提供されて共有されるからね」

 ニコニコと笑いながら落とされたその言葉に、慎は微妙そうな顔をする。責任重大だよ、慎!と肩を叩かれながら声をかけられた慎は、見守る会や天使会のガチさに、手遅れな奴ら多すぎかよ、思わずそう言葉を零して酸っぱい顔をした。




 顔が良い×顔が良いの組み合わせって、最高なんだよな、とは、血走った目で夏目と七海を見る俺の幼馴染の言葉である。




──────
転生モブちゃんは久しぶりですね。作者です。

はい、慎くん、相当な苦労人です。
モブちゃんに振り回されまくってます。でも、なんだかんだ文句言いながら、モブちゃんの頼みを聞いてあげるあたり、慎くんはかなりいい男です。
二人の掛け合いは書いてて本当に楽しい。楽しいけど、全く話が進まないのは、なぜ?
ちなみに、修学旅行編、書く気はあるし、個人的に好きなネタもあるけど、筆は進まないし、話も進まず。地獄か?

やってみたかった次回予告。(主に書きたいところ。)

モブ「ヒロインちゃんと遭遇してる、だと…!?」
慎「ヒロインちゃんって何」
モブ「写真に写ってるってことは、お前もヒロインちゃんに会ったのか、会ったんだな!?どう思った!!???」
慎「マジで夏目達って七海以外に興味無いんだなって」
モブ「kwsk(ゲンドウポーズ)」

※なお、内容は変更してお届けする場合もあります。また、この次回予告は次回を更新したら消します。

そして、おそらく次の更新は本編。






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