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中学生編

13.オリエンテーションと攻略対象者三人目

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 入学式から一週間。

 今日は学外オリエンテーション。この学園の中等部では、生徒の自主性を養うという意味でも結構自由に決められ、毎年やることは変わるらしい。もちろん金持ちの子供が多いが、ただの中学生でもあるし、昨年度は貸し切りにした水族館に行ったらしく、(貸し切りはともかく)結構庶民的なことをする。高等部に入ると、結構贅沢なことをさせてくれるようになるらしい。今から楽しみだ。

 今年はというと、動物園と植物園だ。そして、そこを貸し切ってレクリエーションをして、高級旅館に一泊という日程らしい。本当は山登りになりそうだったらしいが、標高が高い山に登ることになりそうだったので、さすがに教師が止めたらしい。生徒会、何やってるの?高い山の登山なんてかなり準備必要だし、体力的にもきついでしょ。え、そこに山があるからって?どこの登山家だ、君は。と突っ込みたくなるような生徒会だ。まあ、そんな訳で、動物園と植物園になったわけだけど…。


 オリエンテーションで、三人班なのだが、私は、いつもの通り、私はそーくんとれーくんと同じ班になった。そして、交流がメインだから、1、2、3年の全学年混合の班になる、のだが、…。

 「「あ、」」

 思わず声を上げた私と被った声、その声の持ち主は、天春倖誠だった。なんと、班が同じだったのだ。何らかの力が働いているとしか思えない偶然だ。

 「きみが同じ班だったんだ。よろしくね」

 「はい。天春先輩」

 そうやって、天春先輩と和やかに話していると、「りあ、その人、知り合い?」と、そーくんが声をかけてきたのに、「うん。前にちょっと、ね」と返す。

 「あ、天春先輩。彼らが私と同じ班で、夏目颯真と日向玲弥です」

 私が二人を天春先輩に紹介すると、そーくんはチラリと天春先輩に目線をやり「夏目颯真」と名前だけ言い、れーくんは「どーも、日向です」と軽くぺこりと頭を下げた。
 あーもう、れーくんはまだしも、そーくんは…。と頭を抱えそうになるが、いつものことだな、と思ってしまう私は、多分、相当重症だと思う。

 「ああ、きみらが…」

 何か思い当たることでもあったのか、天春先輩は含みのあるような声音でそう言った後、「俺は天春倖誠。よろしくね」と笑顔で二人に挨拶をしている。さすが、人間ができてる…。天春先輩は、二人を知っていたのかな?

 「りあちゃん、俺の班のメンバーも紹介するよ」

 そう言った天春先輩に呼ばれたやって来たのは二人の先輩。

 「お、君らが、俺たちと同じ班の子達?俺、若宮朝陽!気軽に朝陽先輩って呼んでね!」

 ニコニコと眩しい笑顔のその人は、明るい茶色の髪で、前髪をゴムで結んで後ろに流している特徴的な髪型をしていて、その前髪を揺らしながら、明るく話しかけて来た。
 これは、紛れもない陽キャだ…。確か、サブキャラだったな、この人。

 そして、もう一人が。

 「ん~?おれ、冬崎とうざき天満てんま~。まぁ、よろしく~」

 首を傾げた動作と共にサラリと顔に零れる艶やかな黒髪と青いメッシュが片側に入った髪。メッシュ部分は伸ばしているのか長いけど、それ以外は短く整えられた髪型。さらには、くっきりとした二重瞼に、珍しい翠玉のような右目と黒曜石のような左目というオッドアイ。間延びした喋り方。
 攻略対象者の冬崎天満じゃん!!!そうだった、天春先輩の友達だった!!!!天才で優秀だけど、ジェットコースターみたいな超がつくほどの気分屋の、あの、何物にも執着しない冬崎天満じゃん!!!
 そう、冬崎天満は、とにかく気分屋だ。「飽きた」の一言で何でも捨てる男だった。え、昨日までこれお気に入りなんだよねって言ってたじゃん!何で!?なんてことが、攻略中何度もあった。だから、初心者にはオススメできないタイプのキャラだった。しかし、攻略に成功すると、「何でだろうねぇ、オマエには全然飽きねぇや」ってそれはもう優しい笑顔でこっちを見てくるその一言で、全てが報われた気分になれる、そんなキャラだった。ちなみに、付き合ってからのデート編での天満は、それはもう完璧なスパダリだった。天満とのデートで、「私はプリンセスだった?」と錯覚するプレイヤー多数で、「麻薬のような男」と評されていた。まあ、簡単に言えば、その男、沼である。

 (うわ、大丈夫かな、この班。確か、そーくんと冬崎天満は混ぜるな危険、じゃなかった…?)

 そう、そして、有名だったのが、夏目颯真と冬崎天満の仲の悪さである。というか、颯真が一方的に苦手としていた。苗字、夏と冬だしなあ、と思うこの二人は、対照的な天才だったからね、仕方ないよね。


 ちなみに、私達が入ることになった班の残りのメンバーは、二年生は天春先輩、若宮朝陽先輩、冬崎天満の三人で、一年生は私達三人で、ここまでは、え、何この詰め込みセットって感じの班だったけど、三年生は普通の女子生徒だったので、安心したのはまた別の話である。



 (なんか濃いな、この班…)


 そして、全員揃ったところで、メンバーを眺めてそう思ったのは仕方ないだろうと思う。




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お久しぶりです。作者です。
前回更新の時間見て驚いてます。1年半前、だと…!?
色々忙しかったので、なかなか執筆する時間が取れず…。すみません。とりあえず、書けたところまで、アップします。

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