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「お姉様、せっかくの休みなんですよ。
お出かけしませんか?」

私は、社長に出すレポートに追われていた。
各店の問題点を追いかけていくうちに、高代祐樹に逢いたくなる。
彼は、数字に強い。
私が雑談の中で話す、向き合ってる問題に的確な答えをくれた。
解らなくても、一緒に考えてくれる。
あの姿勢が懐かしい。

「じゃあ、出かけよう」

妃奈と二人で、温泉センターに出かけた。
ウィクリーマンションのお風呂が狭すぎて、ゆっくりできない。
岩盤浴で身体の芯まで温まり、露天風呂でゆっくりした。

「お姉様、お肌がツヤツヤです」

「妃奈ちゃんも、ピンクの肌が色っぽい。
武尊に見せてあげたい」

「そんなあ、でも逢いたいです」
実習も3週間を過ぎて、疲れが溜まってくる。
それ以上に二人共に、彼氏不足だった。

夕食を済ませて、部屋に戻った。
ノートPCで柚木社長に依頼された、各店のレポートを書きあげる。

その時、閃いた。

直ぐに、思い付きのBäckereiベッケライStammシュタイムにおける定量評価と定性評価の違いと使い方の報告書を書き上げた。

高代祐樹氏に送信する。

「紗栄子、久しぶり。
面白いから一気に読んだけど、俺の意見が欲しい?」
電話の声は、弾んでいた。

「電話を掛ける、きっかけが欲しくて論文を書いたの。
祐樹の声が聞きたかったけど、意地になってたんだ」

「だろうと思ってた。
この論文に、情報のオープン化と共有化、セキュリティ問題を加えるともっと良くなる」
彼は私が欲しい答えを、直ぐに出してくれる。

「逢えば、もっと詳しく教えられるのにな」

「私も逢いたいの」

「後一週間の辛抱だ、頑張れ」

「うん、愛してる」

「いきなり、何だよ。俺も、愛してるよ」

「ありがとう、切るね」
泣きたい思いで、電話を切った。

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