【完結】 悪女は今日もパンを焼く 【R18】

別れ話 １

「紗栄子、俺は来週の土曜日に、お見合いをするんだ」

彼の突然の告白に驚いたが、ショックは受けなかった。
敢えて言うなら、遂にこの日が来たかって感じだった。

私は嫁だったから、八神の両親をよく知っている。
私たちが結婚した時、これで跡継ぎが出来ると期待していたはずだ。
ところが子供が出来ない上に、たった２年で離婚した。
その後、智貴は再婚もしない。
自分たちの年齢を考えれば、出来るだけ早く再婚して欲しいと思っているのは間違いない。

あれだけ私たちの結婚に尽力してくれた義母には、義理を欠いたままだ。
私には、負い目がある。
これ以上、彼の縁談を邪魔するわけにはいかない。

「智貴さん。見合いの前に、私たちは関係を解消しましょう。
私達が離婚して、もうすぐ２年になるわ。
もう、けじめをつける時期だと思うの。
今のままでは、お見合いをする相手のお嬢さんにも失礼だわ」

「判った。紗栄子が、それでいいなら俺は従うよ」

「日曜日のチェックアウトで、私たちの関係は終わり。
その代わりに貴男が未練を残こさないように、何でもしてあげる」

一緒に露天風呂に入って、彼が私を後ろから抱いている。
胸を掴まれたまま、後ろから話しかけられた。

「本当に、何でもしてくれる？」

「心と体に傷つけなければ、出来ることは何でもしてあげる」

「じゃあ、お願いがある」

お風呂から上がって、全裸にバスローブを着た。

「こっちに来て」
一人掛けのソファーに座らされた。